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2019年11月19日

【新人ルカのセチュアン・レポート#4】リタとは?リコとは?

みなさま、こんにちは。
10月下旬より『RITA&RICO(リタとリコ)~「セチュアンの善人」より~』第2期稽古がスタートしました。

今回のブログでは作品タイトルにもある「RITA(リタ)」と「RICO(リコ)」について書いていきたいと思います。
タイトル公開後、どっちが男の子でどっちが女の子なの?と聞かれることが多々あります。
名前だけ見ると「リタくん」と「リコちゃん」だと思いがちですが、正解は「リタちゃん」と「リコくん」です。
実はこの二人の名前には、ちゃんと意味があるんです!

原作『セチュアンの善人』の主人公は「シェン・テ」と「シュイ・タ」。
貧しいながらも心優しく、自分の生活が危うくなるまで知人を助けてしまうシェン・テ。
シェン・テのいとこで冷酷な資本家のシュイ・タ。
『RITA&RICO』の台本も書いている演出・渡辺敬彦さんは、原作を読んだときに他人のために生きるシェン・テと、自分のために生きるシュイ・タを見て、これは利他主義と利己主義の話だと思い、シェン・テとシュイ・タの名前をリタとリコに変えました。
そして正式タイトルは悩みに悩み、『RITA&RICO(リタとリコ)~「セチュアンの善人」より~』とすることに!
他のタイトル案としては、主人公(原作のシェン・テ)が物事をすぐに鵜呑みにしてしまうことから『UNOMI』などの案が挙げられていました。
 
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▲誰にでも優しいリタ(山本実幸 写真右)。この後三人の神様を家に泊めてあげます。
 
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▲自分の利益しか考えないリコ(山本実幸)。
 
そんな『RITA&RICO』は、現在絶賛稽古中!
まだ何もなかった8月の第1期稽古が終わってから、舞台装置が少しずつ作られていて、第2期稽古では稽古場に仮装置が登場。再び色々と試しながら稽古が進められています。
 
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▲イスを担いだり被ったり。様々な使い方をしています。
 
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▲一体何のポーズなのでしょうか!?尚、これを実際の公演でやるかは未定です(笑)
 
原作をご存じの方からするとあれあれ、登場人物に対して出演俳優が少ないのでは?と思うかもしれません。

そうなんです!
『RITA&RICO』では、1人で複数の役を演じています。
みんな個性の強いキャラクターばかりで面白いです。
(私は稽古を見ながら思わずクスクスと笑ってしまうことも多々……)
1つの作品で様々な役を演じる姿を見ることができるので、ファンの方々必見な作品となっています!

そんな実験的な稽古場を、ちょっと覗いてみたくありませんか?
今回『RITA&RICO』では、稽古を覗ける「おためし劇場」を開催いたします!
このブログをご覧の方は、そんなことないと思いますが、
「興味はあるけど、舞台は敷居が高くてちょっと…」という方、あなたの周りにいませんか?
そんな人へのお誘いにもピッタリ!
まずは、おためしあれ~。

otameshi_ritatorico_flyerSPACおためし劇場
『RITA&RICO(リタとリコ)~「セチュアンの善人」より~』

定員:50名(要予約)
開催日時:2019年11月30日(土) 13:30~15:00
会場:静岡芸術劇場(グランシップ内) 静岡市駿河区東静岡2丁目3-1
◆ご予約・お問い合わせ SPACチケットセンター
TEL.054-202-3399 (受付時間:10:00~18:00)
詳しくはこちら

 
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SPAC秋→春のシーズン2019-2020 #3
『RITA&RICO(リタとリコ)~「セチュアンの善人」より~』
2019年12月14日(土)、15日(日)、21日(土)、22日(日)
各日14:00開演
会場:静岡芸術劇場
原案:ベルトルト・ブレヒト
構成・演出・台本:渡辺敬彦
台本協力:守山真利恵
出演:泉陽二、大内智美、木内琴子、貴島豪、小長谷勝彦、三島景太、山本実幸、吉植荘一郎
★公演詳細はこちら
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2019年11月13日

『ペール・ギュントたち』開幕!

11月5日のげきとも公演で初日を迎えた『ペール・ギュントたち ~わくらばの夢~』。
一般公演も無事に11月9日(土)に開幕いたしました。

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中高生の皆さんも引きこまれるようにご覧くださっている本作。
(なんと週末にもう、リピートして観に来てくださった生徒さんも!
ありがとうございます!)

一般公演にお越しくださったお客様からも、
アンケートに嬉しいコメントをたくさんいただいています。
いただいた感想の一部をご紹介します。

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・考えさせられる内容でした。また来たいと思います。
(10代・女性)

・演者さんの作品への愛や普段からの仲の良さも伝わってきて、とてもほっこりしました。
(10代・女性)

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・グローバル、というテーマはすばらしいと思います。
私も海外出身者なので、こういうテーマにすごく共感しました。

(20代・男性)

・多様性を示すためにその“違い”が強調されるような印象を受けることがある気がしますが、
今回の作品は、色の違いはあっても境目が分からない、というように感じた。
素晴らしい舞台をありがとうございました。

(40代・女性)

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・現代へ、こういう形で古典を接続させることができるんだ、と
とても素晴らしかったです。

(50代・男性)

・以前に観劇した『ペール・ギュント』とは全く違って、最初はとまどいましたが
次第に引き込まれ、この世界に一緒に生きている感覚になりました。

(50代・女性)

・インターナショナルな舞台。生きづらい世の中にあって大切なものを感じた。
(50代・女性)

・時間をかけて創作した作品だと聞いてはいましたが、
そのかけた時間のすべてまでも感じられるようなすばらしい作品。
今日この作品を見ることができた自分の幸運に感謝します。
たくさんの人に観てほしい

(50代・女性)

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・観劇中、そして観劇後、こんな切り口がこの作品にはあったのか、と圧倒されました。これまで見たどの『ペールギュント』たちとも異なり、その切り込み口の鋭さ、独創性は際だっていたように思います。
(年代不明、男性)

・「問う」現代劇として見事
(60代・男性)

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イプセンによる原作の中に、
今回の作品の創作過程で生まれたテキストや、出演者たち自身の語りが挟み込まれ
次々に場面が展開していく物語を通して、
めまぐるしく動いていく「アジアの今」を問いかける本作。

さまざまな国々の間で起きているさまざまな問題、
アーティストたちが実際に体験した出来事…
心にずっしりとくるようなエピソードもありますが、
詩的で、どこかあたたかさがあるのがユディさんらしいといえるかもしれません。

“生”の言葉、“生”の身体でそれが語られることの力強さを、
ひとりでも多くのお客様に感じていただければと思います。

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ペール・ギュントたちに出会いに、
そしてアジアに出会いに、劇場へお越しください。

ご来場お待ちしております!

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SPAC秋→春のシーズン2019-2020 #2
『ペール・ギュントたち〜わくらばの夢〜』
2019年11月16日(土)、17日(日)
各日14:00開演
会場:静岡芸術劇場

原作: ヘンリック・イプセン
訳:毛利三彌

上演台本・演出: ユディ・タジュディン

共同創作:
ウゴラン・プラサド(ドラマトゥルク)
川口隆夫(パフォーマー/ダンサー/振付家)
ヴェヌーリ・ペレラ(振付家/ダンサー)
美加理(俳優)
ムハマッド・ヌル・コマルディン(俳優/ダンサー)
森永泰弘(サウンドアーティスト/作曲家)
グエン・マン・フン(ヴィジュアル・アーティスト)
アルシタ・イスワルダニ(俳優/パフォーマー)
グナワン・マルヤント(俳優/作家)

大内米治、佐藤ゆず、舘野百代、牧山祐大、
宮城嶋遥加、若宮羊市(俳優〔SPAC〕)

\チケット販売中/
詳細はこちら
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2019年11月12日

『メナム河の日本人』の魅力① 長政ゆかりの地でリーディング・カフェ♪

静岡芸術劇場では現在、SPAC秋→春のシーズン#2『ペール・ギュントたち ~わくらばの夢~』を好評上演中ですが、
シーズン最後の作品となる『メナム河の日本人』のブログを、制作担当・西村が本日より更新していきます!3か月先の開幕までじっくり作品の魅力を紹介していきますので、ぜひ予習がてら時々ブログをのぞいていただけたら嬉しいです。

A4チラシ&「すぱっく新聞」が完成し、作品を詳しく紹介するページも公開しました!
 
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▲「すぱっく新聞」はこちらからもお読みいただけます。(PDF)
 
『メナム河の日本人』は、キリスト教文学でもよく知られる遠藤周作さんが1973年に発表した作品です。実は遠藤さん、戯曲も書いていたんです!江戸時代初め日本を離れアユタヤ(タイ)にわたり活躍した山田長政を主人公とした歴史活劇で、長政の英雄譚にとどまらない、登場人物の多様な生きざまを描いた壮大な戯曲です。
そして演出は、SPACでは2010・13年に上演した『わが町』以来7年ぶりとなる、文学座の今井朋彦さんです。SPAC俳優とともにこの隠れた名作をどのように蘇らせるのか。ご期待ください! 
7月に行われた第一期の稽古場のようすや、チラシ・新聞作成の裏側などなどご紹介したいことは山ほどあるのですが、まずは現在開催中の山田長政ゆかりの地3か所をめぐるリーディング・カフェツアーをご紹介します!
 
「リーディング・カフェ」はSPAC俳優による作品解説を聞きながら、お茶を片手に演劇の台本を声に出して読んでみるSPACアウトリーチ事業の人気企画。本作で描かれる山田長政は駿河国(現在の静岡)の出身で、市内には長政ゆかりの地が数多く存在します。そのうち3か所をめぐる特別企画が「山田長政ゆかりの地3か所をめぐるリーディング・カフェツアー」です。
ツアー第1回目のゆかりの場所は、山田長政が信仰を寄せ、アユタヤでの諸願成就を感謝し”故郷に錦を飾る”べく軍艦絵馬を奉納したと言われる静岡浅間神社。地元では「おせんげんさん」と呼ばれ親しまれている神社で、旧社務所である斎館で開催させていただきました。
 
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▲まずは参加者の自己紹介&戯曲の紹介から。ナビゲーターの奥野が手に持っているのは、『メナム河の日本人』(書き下ろし新潮劇場) の書籍。
 
浅間通り商店街でお店を構えながら長政を顕彰するおまつり「日・タイ友好 長政まつり」を続けられている実行委員の方、先日の「オクシズ縁劇祭」でSPACを知ってくださった方などなど、個性豊かな19名の参加者が集まりました。(なんと、高校時代の先生と教え子の再会も!)
 
奥野は「この戯曲は自分の心中を話す独白が多用されていて、ギリシャ悲劇に通じるものがある。遠藤周作さんも西洋の演劇を意識しながら書いたのでは」と魅力を紹介。
緊張の面持ちの参加者もいるなか、奥野が場を盛り立てて早速台本読みがスタート!
 
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▲順番に役を振り分けて声に出して読み、戯曲の言葉や行間を味わいます。
 
作中に出てくる<嘉助>という人物は長崎出身で、偶然参加者のなかに出身者がいたので、このセリフをお任せしました。
すると、さすがネイティブ!ご本人は久しぶりに話したと仰っていましたが、見事な長崎弁で参加者からは拍手が。
戯曲の言葉を味わい、イントネーションの違いを発見しながら読み進めることができました♪
 
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そして実はこの方、山田長政の菩提寺・西敬寺(さいきょうじ)の副住職の別符さん(「すぱっく新聞」ウラ面でもご紹介しています)。
西敬寺は2つ目の山田長政ゆかりの地をめぐるリーディング・カフェツアー先で、今週15日(金)に開催します♪ まだ空きがありますのでぜひご参加ください!
 
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▲休憩時間には『戦艦図絵馬』のレプリカをご紹介。
 
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最後には偶然再会した演劇部の顧問の先生と生徒で、師弟競演も実現しました!
奥野からポーズの指示も飛び、途中でとめるのがもったいないくらいの熱演に。
 
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▲会の終わりに、浅間神社の権禰宜・宇佐美さんと奥野でツーショット。遅くまでありがとうございました!
 
様々な参加者のみなさんが集まってくださったおかげで、ただ読むだけではなく、お浅間さんに残る伝承などを学び合える豊かな時間となりました♪
山田長政ゆかりの地をめぐるリーディング・カフェツアーはあと2カ所!初回は主に日本人町や山田長政とペトロ岐部の台詞を中心に読みましたが、次回はアユタヤ王宮に焦点を当てて読む予定です。たくさんのご参加をお待ちしています!詳細はスライドをクリック☑

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SPAC秋→春のシーズン2019-2020 #5
『メナム河の日本人』
2020年2月15日(土)、16日(日)、23日(日・祝)、24日(月・休)、29日(土)、
3月1日(日)、7日(土)
各日14:00開演
会場:静岡芸術劇場

演出:今井朋彦
作:遠藤周作
出演:SPAC

▼チケット
SPACの会会員先行:11/16(土)
一般前売り:11/23(土)
詳細はこちら
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2019年11月9日

「茶色いパン」から見えてくるペール・ギュント

 『ペール・ギュントたち 〜わくらばの夢〜』は、アジアのアーティストたちがアジアの視点からイプセンの『ペール・ギュント』を読み解いていく、というもの(詳しくはこれまでのブログへ)。
 大口を叩いては、あちらこちらへ自由奔放な旅を続けるペール・ギュント。荒唐無稽なお話で、ちょっと捉えどころのない印象も受けるペールさん、なのですが、母国ノルウェーでは国民的な存在なのだとか(!)…そもそもペールを生んだノルウェーの文化って?と知りたくなり、静岡芸術劇場の近くにあるノルウェーパンのお店「シリケカフェバーケリ」の永井美香子さんにお話を伺いに行きました。素朴なパンから、ペールの気質の一端が見えてきます。
すぱっく新聞第10号『ペール・ギュント』に短縮版を掲載。<クリックするとPDFが開きます>)
 
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▲シリケカフェバーケリにて、永井美香子さんと匠さん。
 
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 永井さんご夫妻はノルウェー最古の都市トンスベルグに近い村に住み、ご主人の匠さんがパン作りの修行を、美香子さんは福祉関係の仕事をしていた。
 
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▲ノルウェーの港町 トンスベルク(撮影:永井美香子さん)
 
美香子さん:ノルウェーは自然が豊かで、みんな自然を誇りに思っています。山や海にヒュッテ(小さな小屋)があり、ちょっとした休みにはオフグリッド*の生活を楽しんでいます。そこには水道もなく、川から水を汲んで、薪ストーブでお湯を沸かして。トイレもバイオトイレ、用を足したらおがくずを一杯かけておく、みたいな。都会的な暮らしをする人ももちろんいるけれど、わざとそういう不便な、自然に近い暮らしを楽しむ、そのことを誇りにしている印象を受けました。
*太陽光や風力などの自然エネルギーを電力に変え使用すること

 
kirkekafe_3「ゴーポトゥール(散歩に行かない?)」とよく誘われるんですが、ノルウェー人の「ゴーポトゥール」は恐ろしくて(笑)、平気で2時間くらい歩くんです。彼らは軽装に見えて山道も歩きやすい靴で、何気ないリュックの中にちゃんとコーヒーとサンドイッチ、岩場でも座りやすい敷物を入れていて、私たちが気軽について行ったらえらい目にあった、という経験があります。それ以来、家族の中では「ゴーポトゥールには気をつけろ!」が合言葉になりました(笑)。それをスウェーデン人に話したら、「ああ、ノルウェー人だからね」と言われたんです。北欧の中でもノルウェーはよりワイルドなのかもしれないです。(写真:トンスベルクの夕暮れ(撮影:永井美香子さん))

 
 
『ペール・ギュント』で展開する現実ではありえないような物語も、ノルウェー人の気質を知るとうなずけるところもあるよう。
 
美香子さん:ノルウェー人には発想の自由さがありますね。そして自由な発想を応援しようとする気質も。荒唐無稽と思われるようなことでも、ノルウェー人に話すと、「ああ、いいんじゃない。面白そう。やってみたら?」とみんな言うんです。み〜んな言うんです本当に(笑)。実際にノルウェーの人たちも、気負わず、大胆なことをポンとやってしまう。やれる状況があって、パッションがあればやってみるということが普通だし、誰も止めることはない、という印象があります。
 
永井さんご夫妻の経歴も驚くほどフレキシブル。日本で看護師の仕事をしていた美香子さんは結婚直後にイギリスで福祉の仕事に就き、日本で印刷機械のエンジニアをしていた匠さんは、その後にスウェーデンの車椅子を日本で販売する仕事を8年ほどしていた。スウェーデンに移住したいと考えながら、たまたまノルウェーの「キャンプヒル・コミュニティ(シュタイナーの思想による知的障がいがある人とない人が共生する村)」で職を見つけ、匠さんがドイツ人からノルウェーパン作りを学び、今に繋がっている。
美香子さんは、「日本に帰ってくると波乱万丈ですね、と言われるんですが、そんなに特別なことじゃないんです」と笑う。
 
美香子さん:ノルウェー人は自分たちを「ヴァイキングだ」とよく言うんです。どんどん色んな所に行く血が流れているんだと。また自分たちには交渉力があるという自負もあるみたいです。他の北欧の人と比べても(ここがポイント)ノルウェー人は交渉力があって、世界の政治の揉め事を交渉でまとめているのもノルウェー人なんだと言っていましたね。
 
またノルウェー人には受け入れる気質もあり、表立って差別的なことをしないという強いポリシーも感じたそう。しかし昨今は南の方から移民が増え、政策的に移民を制限する傾向も強まってきているのだとか。ノルウェーもまた世界の情勢の中で少しずつ変化している。
 
美香子さん:食の視点でいうと、ノルウェーは寒くて野菜があまり育たないので、その昔、ブロッコリーが入ってくるまでは、じゃがいもと人参、根菜くらいしかなかった。茹でたタラにバターソースをかけて、茶色いパンと食べるというのが一番のディナー。
パンは、小麦よりも、寒さに強いライ麦などを使った茶色いパンが多くて、糖質の少ない茶色いパンを食べなさいとよく言われました。朝と昼はパン、バターをぬってチーズをスライスしたものを乗せて食べます。ナッツを足したりしてミネラルやタンパク質などを摂り、素朴だけど彼らにとっては理にかなった食事です。
毎週土曜日は「ゴッテリの日」=甘いものを食べる日で、映画『ロッタちゃん』にもでてくるんですが、この日は甘いお菓子を買いに行ったり、チョコやレーズンの入ったパンを焼いたりします。今では日常的にも食べますが、職場でも10時・3時のおやつの時間がちゃんとあって、手を休めて甘いものを食べ、適度に休憩を取ることで仕事の効率もあがるそうです。オフの時間も大切にしていましたね。

 
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▲シリケカフェバーケリのパン(写真:お店より)
 
***

「茶色いパン」を中心としたシンプルな暮らし。ペール・ギュントが生まれた背景が少し見えたでしょうか。今回のペールがどんな風に描かれるのかは…、ぜひ劇場でご覧ください。
 
そんなシリケカフェの味わい深い「茶色いパン」、一般公演では2Fカフェ・シンデレラの特別メニューとして皆さまにも味わっていただけます。ペール・ギュントのエッセンスを感じていただけるかもしれません。
(文:制作部 坂本彩子)
 
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▲『ペール・ギュントたち』カフェ特別メニュー
「ブラウンチーズとペリーのオープンサンド」
数量限定です。お早目にご来場ください。

 
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シリケカフェバーケリ
https://kirkekafe.crayonsite.info/
静岡市駿河区大和1-4-20
TEL: 090-8472-3929
お店の名前はノルウェー語で「教会のカフェベーカリー」の意。長野県産の小麦・ライ麦などを使用したパンはどれも深い味わい。
 
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SPAC秋→春のシーズン2019-2020 #2
『ペール・ギュントたち〜わくらばの夢〜』
2019年11月9日(土)、10日(日)、16日(土)、17日(日)
各日14:00開演
会場:静岡芸術劇場

原作: ヘンリック・イプセン
訳:毛利三彌

上演台本・演出: ユディ・タジュディン

共同創作:
ウゴラン・プラサド(ドラマトゥルク)
川口隆夫(パフォーマー/ダンサー/振付家)
ヴェヌーリ・ペレラ(振付家/ダンサー)
美加理(俳優)
ムハマッド・ヌル・コマルディン(俳優/ダンサー)
森永泰弘(サウンドアーティスト/作曲家)
グエン・マン・フン(ヴィジュアル・アーティスト)
アルシタ・イスワルダニ(俳優/パフォーマー)
グナワン・マルヤント(俳優/作家)

大内米治、佐藤ゆず、舘野百代、牧山祐大、
宮城嶋遥加、若宮羊市(俳優〔SPAC〕)

\チケット販売中/
詳細はこちら
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2019年11月7日

『ペール・ギュントたち』稽古場ブログ 番外編スタッフインタビュー

◆中高生鑑賞事業「SPACeSHIPげきとも!」パンフレット連動企画◆

中高生鑑賞事業公演では、中高生向けの公演パンフレットをみなさんにお渡ししています。パンフレット裏表紙に掲載しているインタビューのロングバージョンを掲載しますので、ぜひお読みください。
『ペール・ギュントたち ~わくらばの夢~』にて音響を担当する右田聡一郎(SPAC創作・技術部)が舞台音響の仕事をご紹介いたします。(インタビューは2019年9月11日に行ったものです)

 
-どのように舞台音響の仕事を始めたのですか?

 子どもの頃から、映画や舞台、音楽などを楽しむときに、表舞台に立っている人ではなくて、作っているクリエイターやスタッフを調べる癖がついていました。高校生のときに自分の聴いているCDを並べてみたら、渡辺美里、小室哲哉、坂本龍一、ジャネット・ジャクソン、マドンナ……と一見バラバラだったのですが、ひとつの共通点があって、すべて同じ人がミキシング(※)を手がけていたんです。バラバラの音楽を聴いているようでいて、実はこのミキシング・エンジニアの人の音を聴いているんだと気づいて、この職業に就きたいと思いました。アメリカにミキシングを専攻できる大学を見つけたので、思い切ってそこへ行くことにしました。

 大学を卒業して仕事を始めた頃、ちょうど音楽配信が盛んに行われるようになって、みんなパソコンで録音するようになり、レコーディングを自宅でできるようになってしまった。上司には「この先、仕事がなくなるかもしれないから、レコーディングだけにこだわらない方がいい。ニューヨークには舞台や映像など、同じ能力を活かした仕事が色々ある」と言われました。上司の影響も受けて色々な現場を見たり手伝ったりしているうちに、舞台芸術の仕事が増えるようになりました。

※ミキシング:別々に録音された音源を、それぞれの音色や音量などを調節して、ひとつの音楽として仕上げること。
 
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-そもそも舞台音響の仕事ってどんなお仕事なんですか?

 演出家のやりたいことを汲みとって、それを音という形で実現させることです。

 ひとつは、SE(効果音)などの音を決めていく。たとえば雨のシーンでも色々な雨の音が考えられます。演出家によっては「ギザギザした感じ」とか「もっと情熱的な雨で」とか、抽象的な言葉で希望を言うので、その意味を自分なりに考えて、どうかな? こうかな?と試しながら選択していきます。場合によっては、自分で音を録音しに行くこともありますね。
 もうひとつは、劇場の音をつくること。これはエンジニアとしての側面が強い仕事です。音響のはね返りや残響時間など、その劇場がもっている特徴をふまえて、いかに客席の人に聴きやすく、演出家の意図通りに届けられるかを調整していく。たとえば、スピーカーを30センチ動かすだけで、音の飛び方は全く変わるんですよ。
 一定の音楽をある程度聴きやすくどの客席にも届けるだけだったら、固定のスピーカーがあれば良いです。でも、場面によっては、どこから聞こえてくるかが分からないようにすることもあるし、その逆の場合もある。だから、スピーカーの位置を固定するのではなく、毎回考えて動かさなければならないんです。図面を引くこともありますが、現場での調整がとても重要ですね。

 今回の『ペール・ギュントたち』では、演出家だけでなくサウンドアーティスト/作曲家の森永泰弘さんが参加されるので、アーティストの方々がやりたいことを「SPACの劇場で」形にしていく役割になりそうです。この劇場の特徴を把握しているスタッフとして、全体のバランスを取りながら調整役になれればいいなと思っています。
 人によって「良い音」は違うし、その作品によって求められる「良い音」も違ってくるので、現場での擦り合わせがとても重要になりますね。

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-お仕事で大変なことはありますか?

 舞台の仕事はチームで進めていくお仕事です。レコーディングの仕事はひとりで作業することが多いから、自分の調子次第で一気に仕事が進められる利点もありますね。でも、劇場での作業は多くの人と時間を共有している。自分の作業が滞れば、他の部署のスケジュールにも迷惑がかかる。僕自身がのんびりした性格なので、時間との戦いになるのが大変ですね。
 
-舞台音響の仕事をやりたいと思ったら?

 基礎となる部分は学ぶ必要があるでしょう。学校へ行ってもいいし、独学でもいいかもしれません。でも、舞台音響は<正解がない世界>です。時代が経てば、いままで正しいとされてきたことが、そうではなくなっていくことも多い。ルールに従ったり、従来のやり方を参考にしたりするのはいいけど、まったく同じにやる必要はないと思っています。「こっちの方が良いのでは?」と、自分で疑ってみて、トライしてみて、自由に自分のやり方を模索していける音響家を目指してほしいと思います。
 
-最後に中高生の皆さんへメッセージをどうぞ

 僕はもともと英語が不得意だったなかで留学を決めました。苦手なことがあっても、やりたい気持ちがあれば、大概のことはどうにかなる(笑)。何事にも楽しんで取り組んでもらえればと思います。
 
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SPAC秋→春のシーズン2019-2020 #2
『ペール・ギュントたち〜わくらばの夢〜』
2019年11月9日(土)、10日(日)、16日(土)、17日(日)
各日14:00開演
会場:静岡芸術劇場

原作: ヘンリック・イプセン
訳:毛利三彌

上演台本・演出: ユディ・タジュディン

共同創作:
ウゴラン・プラサド(ドラマトゥルク)
川口隆夫(パフォーマー/ダンサー/振付家)
ヴェヌーリ・ペレラ(振付家/ダンサー)
美加理(俳優)
ムハマッド・ヌル・コマルディン(俳優/ダンサー)
森永泰弘(サウンドアーティスト/作曲家)
グエン・マン・フン(ヴィジュアル・アーティスト)
アルシタ・イスワルダニ(俳優/パフォーマー)
グナワン・マルヤント(俳優/作家)

大内米治、佐藤ゆず、舘野百代、牧山祐大、
宮城嶋遥加、若宮羊市(俳優〔SPAC〕)

\チケット販売中/
詳細はこちら
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2019年11月2日

『ペール・ギュントたち』稽古場ブログ#3 タイトルのひみつ(?)

劇場稽古が始まっています。

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げきとも公演初日まであと3日…!というドキドキの時期ですが、
本日は、作品のサブタイトルについて少しご紹介します。

7月、ララントゥカでのワークショップを終えたしばらく後
ユディさんから届いた今回のタイトルが
“Peer Gynts – Asylum’s Dreams”でした。
メインタイトルの「ペール・ギュントたち」
どうして複数形なの?とよく尋ねられます。
物語の登場人物たちのこと?
アーティストたちのこと?
現代を生きる私たち?
それとも、もっと他のこと?
たった1文字の「」、たった2文字の「たち」ですが、
皆様がどうお考えになったか、ぜひ劇場でお聞かせください♪

さて、副題です。

英題にある“Asylum”は、
避難所、難民保護施設、精神病院、亡命…など複数の意味をもつ言葉です。

今回のプロジェクトの中で、ユディさんや参加アーティストたちが見つめている
様々な政治的・社会的問題、
原作の4幕でペールが訪れる「精神病院」(と呼ばれていた建物)のイメージ……
それらを大きく含めたこの言葉。

正直なところ、
ユディさんからこのタイトルが届いた時は

「これ、邦題、どうしようか……!」

でした。
悩みに悩む制作チーム。
まさに「夢」に見るまで悩みました(ホントです)。

結果、付けた副題は
「わくらばの夢」

これをご覧になって、
「わくらば」ってなんだ?と思われた方も多いと思いますが…

わくらば:
病葉/嫩葉 と書いて、
病気にかかって変色した葉のこと。
木の若葉のこと。

そして古語では「邂逅」を「わくらば」と読み、
「わくらば-に」で「たまたま、偶然に」という意味になります。

4ヶ国のメンバーが集まり、
旅をしながら各地で創作を重ねてきた今回の作品。
たくさんの「出会い」が背景にあることは言うまでもありません。

そんな作品が、どちらの「葉」、どんな「葉」なのかは、ご覧くださる皆様次第。

あら?
劇場を覗いていると、どうやらこんな「葉」も…

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アーティストたちそれぞれの背景、思考やアイディア、身体性を活かしながら
作品全体を形作っていくような、
有機的な創作をするユディさんの手法も
「葉」のイメージにつながるなあ、とも思っています。

そして、「夢」はどんな夢のことなのでしょう…?

二重、三重に意味の込められた今回の作品タイトル。
いろいろとご想像いただけるとうれしいです!

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SPAC秋→春のシーズン2019-2020 #2
『ペール・ギュントたち〜わくらばの夢〜』
2019年11月9日(土)、10日(日)、16日(土)、17日(日)
各日14:00開演
会場:静岡芸術劇場

原作: ヘンリック・イプセン
訳:毛利三彌

上演台本・演出: ユディ・タジュディン

共同創作:
ウゴラン・プラサド(ドラマトゥルク)
川口隆夫(パフォーマー/ダンサー/振付家)
ヴェヌーリ・ペレラ(振付家/ダンサー)
美加理(俳優)
ムハマッド・ヌル・コマルディン(俳優/ダンサー)
森永泰弘(サウンドアーティスト/作曲家)
グエン・マン・フン(ヴィジュアル・アーティスト)
アルシタ・イスワルダニ(俳優/パフォーマー)
グナワン・マルヤント(俳優/作家)

大内米治、佐藤ゆず、舘野百代、牧山祐大、
宮城嶋遥加、若宮羊市(俳優〔SPAC〕)

\チケット販売中/
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