2018年11月17日

『マハーバーラタ』パリ・サウジ日記(2)

SPAC文芸部 横山義志
2018年11月14日(火)

 
朝7時半ホテル出発。会場ラ・グランド・アールに8時集合。劇場側で製作してくれたリング状舞台を点検。

9時、コンテナ荷物の搬入開始。運んでも運んでも荷物が出てくる。ほぼ屋外で、寒い。

搬入

「サバ」、「プリ」、「ほくろ」と謎の印。

サバ、プリ、ほくろ

10時、搬入終了。

10時15分、顔合わせ・ミーティング。

ミーティング

17時過ぎに日の入り。今回は最終日の日曜日のみ16時開演なので、日の入り後の明るさの変化を確認する宮城さんと空間構成の木津さん。

明るさチェック

22時まで作業、退館。

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『マハーバーラタ』(ラ・ヴィレットのウェブサイトへリンク)
https://lavillette.com/programmation/satoshi-miyagi_e20

『マハーバーラタ』フランス公演(SPACウェブサイト内)
http://spac.or.jp/mahabharata_japonismes2018.html

ジャポニスム2018参加企画 ふじのくに魅力発信事業(SPACウェブサイト内/日仏併記)
静岡県は、ジャポニスム2018公式企画に選定されたSPACの『マハーバーラタ』公演を活用し、公演期間である2018年11月19日から11月25日の間、「Mt. FUJI × TOKAIDO(富士山と東海道)」をテーマに、パリ市内で静岡県の魅力を世界に向けて発信するさまざまな事業を展開します。
http://spac.or.jp/news/?p=14636
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SPAC海外ツアーブログ
アヴィニョン演劇祭参加の記:2014年『マハーバーラタ』『室内』上演記録
アヴィニョン法王庁日記  :2017年『アンティゴネ』上演記録
『顕れ』パリ日記2018 :宮城聰最新作『顕れ』上演記録
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2018年11月16日

『マハーバーラタ』パリ・サウジ日記(1)

SPAC文芸部 横山義志
2018年11月13日(火)

『マハーバーラタ』のスタッフがパリに到着。夕暮れ。

バスから

今月はラ・ヴィレットというところで『マハーバーラタ』を上演の予定。そのあと、12月にはサウジアラビアのダーランで、やはり『マハーバーラタ』を上演することになった。

パリからサウジアラビアへ、というツアーはあまり聞いたことがないが(そもそもサウジアラビアで日本の現代演劇が上演されるというのもかなり珍しいだろう)、実はどちらもアヴィニョン演劇祭での上演がきっかけになっている。やっぱりアヴィニョンで公演すると、いろいろな人が見に来てくれるものだ。

ラ・ヴィレットはパリ市内で最大の公園。そのなかの一番大きな建物ラ・グランド・アールのなかに、駿府城公園やアヴィニョンのブルボン石切場などでの野外公演で使ったリング状舞台を組んで上演する。
*駿府城公園にて上演した『マハーバーラタ』演目ページはこちら

グランドアール

着いて早々、一応場所だけでも下見に。夜中に外から会場を見つめる怪しい人々。

下見

明日11月14日から仕込みをはじめ、11月19日~26日まで6回公演。また、「ふじのくに⇄せかい演劇祭2018」の開幕式で川勝知事も出演してくれた『喫茶去(きっさこ)』という小作品も、静岡茶のプロモーションのために11月24日・25日に無料公演の予定。(詳細はこちら
*『喫茶去』の様子も紹介した演劇祭のブログはこちら:【シアタークルーレポート】開幕式

すでに満席の日もあるようですが、お近くの方はぜひ遊びにいらしてください!

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『マハーバーラタ』(ラ・ヴィレットのウェブサイトへリンク)
https://lavillette.com/programmation/satoshi-miyagi_e20

『マハーバーラタ』フランス公演(SPACウェブサイト内)
http://spac.or.jp/mahabharata_japonismes2018.html

ジャポニスム2018参加企画 ふじのくに魅力発信事業(SPACウェブサイト内/日仏併記)
静岡県は、ジャポニスム2018公式企画に選定されたSPACの『マハーバーラタ』公演を活用し、公演期間である2018年11月19日から11月25日の間、「Mt. FUJI × TOKAIDO(富士山と東海道)」をテーマに、パリ市内で静岡県の魅力を世界に向けて発信するさまざまな事業を展開します。
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2018年11月15日

歯車ワークス#7 いよいよ劇場稽古スタート!

Filed under: 『歯車』2018

開幕まであと9日(?!)
いよいよ劇場での稽古がスタートしました!
前の1週間、俳優たちはリハーサル室で稽古。
集団でのシーンを中心に、動きや小道具、衣裳等を入念に確認していました。
一方の劇場では、創作・技術部のスタッフたちが急ピッチで舞台装置や照明・音響等の仕込みを進めました。芥川が親友の菊池寛に宛てた遺書にある「僕の将来に対する唯ぼんやりとした不安」という自殺理由は有名ですが、これをキーワードに生み出された舞台装置は、まさに見る者の心を揺さぶるような、異様な存在感を漂わせています。

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舞台装置の一部。圧巻の全体像は・・・ぜひ劇場で!

不安(不安定?)な舞台装置上での初稽古。
まずは舞台装置にあがり、感覚を慣らしたり、出捌けの位置や導線を確認。

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舞台装置上からはこんな感じで客席が見えます。合成写真ではありませんよ!

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その後、衣裳・メイクをして稽古スタート!
今日は、全6章中の第1章を止め通し、決まっていなかった細かい動きやきっかけなどを詰めていきました。
ここから1日1章ペースで、本番に向けて急ピッチで作品を仕上げていきます。

今週末には、無料の稽古見学会「おためし劇場」を開催しますので、「本番まで待ちきれない!」という方は、ぜひご参加ください!
一足先に、舞台装置が見られますよ!

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SPAC秋→春のシーズン #2『歯車』
構成・演出:多田淳之介
原作:芥川龍之介
出演:大内智美、奥野晃士、春日井一平、河村若菜、坂東芙三次、三島景太[五十音順]

一般公演
11/24(土)・25(日)・12/1(土)・2(日)・8(土)・9(日)・15(土) 各日14:00開演
静岡芸術劇場
★アーティストトークのゲストが決定しました!詳細はこちら

チケット
発 売 日:9/23(日)会員先行予約 9/30(日)一般前売
料  金:一般4,100円 ペア割引3,600円 ゆうゆう割引3,400円
学割2,000円[大学生・専門学校生]1,000円[高校生以下] ※ほか各種割引あり
購入方法:SPACチケットセンター TEL:054-202-3399(10:00~18:00) ※公式サイト、劇場窓口でも購入可

★【開催決定!!】おためし劇場
演出家の話を聞いたり、普段は見られない舞台の裏側をのぞくことができる無料のイベントです♪
11/17(土) 13:30~15:00 [無料・要予約]
静岡芸術劇場
ご予約・お問い合わせ:SPACチケットセンター

★芥川龍之介特集ブックフェア開催中!
県内各地の図書館・書店にご協力いただき、芥川や彼と関係の深い作家の著作を紹介するブックフェアを
開催しています!また、戸田書店静岡本店では、芥川特集に加え、『歯車』出演俳優ぶ“私の1冊”も紹介し
ています。観劇前の予習に、観劇後の振り返りに、ぜひ足をお運びください!
詳細はこちら:http://spac.or.jp/news/?p=14781

★公演の詳細はこちら
http://spac.or.jp/haguruma_2018.html

★トレーラー第一弾はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=NBi9mdWKW5c

★ブログ「歯車ワークス」過去の投稿記事はこちら
http://spac.or.jp/blog/?cat=113

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2018年11月3日

歯車ワークス#6 “歯車”高速回転中!

Filed under: 『歯車』2018

開幕まで1か月を切りました!
序盤のスローペースから一転、稽古場では多田さん&俳優たちがギアを上げてシーン作りを進めています!
原作の要素は残しつつも、主人公の“僕”のセリフを私たちが普段使っているような口調に変えたり、芥川自身の実話エピソードを入れるなど、原作を大胆にテキレジ
この台本を手に、芝居の構造や動きといった一つ一つを確認・検討する作業を重ねています。
*テキレジ:脚本家が書いた本を、実際に上演できるように訂正や手直しすること

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▲『授業』休演日には、装置を避けつつ劇場内で稽古。

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一方、稽古場の外では、舞台美術や衣裳などの製作が着々と進んでいます!
衣裳室を覗いてみると、白い布に色付け作業をする衣裳スタッフの姿が。

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均一の幅でマスキングテープが貼られているところを見ると、どうやらストライプ柄の布を自作しているようです。
この布は、誰のどんな衣裳で使われるのでしょうか・・・?

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▲完成した衣裳と、これから作る衣裳の型紙。

そして舞台芸術公園 野外劇場「有度」の舞台上では、美術スタッフが舞台装置を製作中。

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▲パソコン上の図面を覗き込みながら何やら相談中。

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▲装置で使用する大量の平台(のようなもの)。

ここ野外劇場で装置を製作・一旦仮組みして具合を見てから、バラシて芸術劇場の舞台上に運び込み、組み上げます。

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▲稽古後、野外劇場に移動し、舞台装置を見学。あの平台のようなものがあっという間に組み上がっていました!全容は・・・ぜひご自身の目で!!

演出・俳優・技術スタッフ・制作スタッフそれぞれの“歯車”がガッチリかみ合い、本番に向けて高速回転中!そんな現場の様子を垣間見ることができるイベント「おためし劇場」を11/17(土)に開催しますので、ぜひぜひご参加ください!!

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SPAC秋→春のシーズン #2『歯車』
構成・演出:多田淳之介
原作:芥川龍之介
出演:大内智美、奥野晃士、春日井一平、河村若菜、坂東芙三次、三島景太[五十音順]

一般公演
11/24(土)・25(日)・12/1(土)・2(日)・8(土)・9(日)・15(土) 各日14:00開演
静岡芸術劇場

チケット
発 売 日:9/23(日)会員先行予約 9/30(日)一般前売
料  金:一般4,100円 ペア割引3,600円 ゆうゆう割引3,400円
学割2,000円[大学生・専門学校生]1,000円[高校生以下] ※ほか各種割引あり
購入方法:SPACチケットセンター TEL:054-202-3399(10:00~18:00) ※公式サイト、劇場窓口でも購入可

★【開催決定!!】おためし劇場
演出家の話を聞いたり、普段は見られない舞台の裏側をのぞくことができる無料のイベントです♪
11/17(土) 13:30~15:00 [無料・要予約]
静岡芸術劇場
ご予約・お問い合わせ:SPACチケットセンター

★公演の詳細はこちら
http://spac.or.jp/haguruma_2018.html

★トレーラー第一弾はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=NBi9mdWKW5c

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2018年11月1日

『顕れ』パリ日記(12・最終回)

SPAC文芸部 横山義志
2018年9月21日(金)
~上演二日目、楽器のこと、警備イジドールさんのお話、カリブ海諸島のこと、コリーヌ国立劇場のこと~

 
私は今日が滞在最終日なので、この日記は今回が最終回。

昨夜取材してくれたAFP通信の方から、楽器の名前を教えてほしいとの依頼があり、作曲の棚川寛子さんに伺う。アフリカの楽器はジャンベ、ジュンジュン(ともに打楽器)、カリンバ(親指ピアノ)など。吉見亮さんが「今回手でジャンベを叩くのはぼくだけ、アフリカ系の方の前でやるのはとても勇気がいります」と言っていた。他の作品で使っていたバラフォン(ひょうたんを共鳴体とする木琴)は、今回演奏スペース(オーケストラピット)が小さいので断念したという。他にも、さまざまなシロフォン(鉄琴)やディジェリドゥー(オーストラリア先住民の楽器)、仏具のおりんなど、不思議な楽器がたくさん。

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▲ツアー終盤にお客様対象のミニ講座として、楽器紹介や演奏のデモンストレーションを行いました。

警備担当のイジドールさんのお話。イジドールさんはこの劇場でもう17年、5人のディレクターと仕事をしてきたという。

イジドールさん

「ワジディが来てから、このホワイエにベンチができたり、前の道路を閉鎖して歩行者専用にしたり、この劇場もだいぶ変わったよ。毎年クリスマスにはここで働いている人が家族連れで集まって、ワジディも家族と子どもたちを連れてきて、一緒にごはんを食べるんだ。時々みんなでバーベキューもやるよ。二階のテラスで、私が肉を焼くんだ。火の管理は大事だからね!
これが一番給料のいい仕事というわけじゃないけど、たぶん定年までここにいると思うよ。やっぱり一番大事なのは人と人との関係だからね。
この劇場は30年前、フランソワ・ミッテランがフランス文化を広めるためにつくったんだ。だけど、ワジディが来てから、世界中の人たちがここに来るようになった。今はアフリカのアーティストもたくさん来るようになったよ。
レオノーラ・ミアノはカメルーン出身なんだね。海外に連れて行かれた奴隷の話か。私はグアドループ(カリブ海にある島で、フランス海外県)の出身で、アフリカのことはあんまりよく知らないけど、ジャマイカとかハイチとかプエルトリコとか(アフリカ系の人が多く住むカリブ海の島々)には昔よく行ったな。家族はほとんどパリにいる。グアドループにはあんまり仕事がないから。
ここでやってる作品はみんな見てる。『顕れ』はきっと来週観に行くよ!」

『顕れ』には、一人だけアフリカ出身ではない登場人物がいる。ラスカルは「はじまりの大陸」の人々が「帰らずの地」と呼ぶ土地、つまりカリブ海諸島やアメリカ大陸で奴隷として生まれ、反乱に加わったためにアフリカ大陸へと追放される。そしてそこで生き延びるために「ゴロツキどもの売り買いをしたこともあった」、と語る。ラスカルだけは、自分たちが「黒人」と呼ばれる存在になっていることを知っている。この物語は「コンゴ人」や「カディオール人」がいかにして「黒人」となったか、という話でもある。

グアドループ島を含むカリブ海の「西インド諸島」は長年にわたって大西洋三角貿易の拠点の一つだった。原住民の多くは絶滅し、アフリカから定期的に補充される奴隷によってサトウキビなどが栽培され、フランスに大きな利益をもたらしていた。1789年にフランス革命が起きると、カリブ海のフランス植民地でも、黒人奴隷たちが自由を求めて戦い、一度は奴隷制が廃止されるに至った。フランス領サン=ドマング島ではハイチ革命が起こり、近代以降はじめての黒人共和国が成立した。

ところがナポレオンはカリブ海諸島に出兵し、奴隷制をふたたび導入。フランスで最終的に奴隷制が廃止されたのは1848年のことだった。カリブ海で最後まで残ったフランス領マルティニークとグアドループが植民地ではなくフランス本国の県と一応同等の「海外県」となったのには(1946年)、マルティニーク出身の「黒人」劇作家・詩人で国会議員ともなったエメ・セゼール(1913-2008)の貢献が大きい。

かつてムアワッドの制作担当として静岡に来たこともある事務局長のアルノーさんは「高校時代から通っていた劇場で働けてうれしい」という。この劇場に来て感じるのは、本当にみんな劇場が好きで、ワジディ・ムアワッドのことが大好きだということ。

コリーヌ国立劇場はフランスに5つある演劇用の国立劇場のうちで最も新しい。1988年にできたので、今年で30周年になる。「現代に書かれた作品」に特化した劇場ができたのは、フランスの公立劇場ではモリエールやシェイクスピアやギリシャ悲劇といった「古典」のほうが上演されることが圧倒的に多いからだ。多くの場合、名前くらいは誰もが知っている作品の方が、お客さんも来やすいし、学校の鑑賞事業でも選ばれやすい。となると、現代作家の新作を上演するのは比較的リスキーということになり、そのリスクを冒すことができる劇場は限られてしまう。だが、現代に書かれた作品が上演されなくなってしまったら、当然演劇はつまらなくなってしまう。そこで、このコリーヌ国立劇場が作られたわけだ。

「SPAC秋→春のシーズン」では、基本的には「演劇の教科書に載るような古典」をメインに上演し、中高生鑑賞事業も行っている。だが、このレオノーラ・ミアノの『顕れ』は、古典に匹敵する力をもった作品と考え、「SPAC秋→春のシーズン」で来年1月~2月に上演する予定となっている。

今日も9割くらいの入り。客席数は500ほどで、静岡芸術劇場よりも一回り大きいから、静岡で満席になるよりもお客さんが入っていることになる。この規模の劇場で一ヶ月間、27回の公演を行うというのは、なかなかできない経験。

二日目。今日も、固唾を呑んで見守るような客席。ラストの曲では体を揺らして微笑んでいる方々も。

徐々に拍手の音が高まり、トリプルコール。

二日目カーテンコール

世界で最もアフリカ系住民の多い都市の一つでもあるパリは、しばしば皮肉を込めて「アフリカの首都」などと呼ばれたりもする。

エッフェル塔のお土産売り場

アフリカの多くの国々は1960年代に独立を果たしたが、フランスにはなお「海外県」が残り、フランス国内で生きることを選んだアフリカ系住民も少なくない。エメ・セゼールは、アフリカ系の奴隷が自由と独立を勝ち取ったハイチ革命(1804年)を描く『クリストフ王の悲劇』(1963年発表)について、「もはやわれわれは、容易に識別できる共通の敵というものに対して立ち上がるのではなく、われわれ自身の内で、われわれ自身に対しての戦いを行わなければならないのです」と語っている。私たちも、これから一ヶ月間、パリの人々とともに「われわれ自身に対しての戦い」を戦うことになる。

ワジディ・ムアワッドさんとコリーヌ国立劇場のおかげで、大変な作品に出会うことができた。静岡での初日は2019年1月14日。日本のお客さんに出会うことで、この作品も変容していくだろう。ぜひ見届けていただきたい。

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『顕れ ~女神イニイエの涙~
2019年1/14(月・祝)~2/3(日) 静岡芸術劇場
作:レオノーラ・ミアノ
翻訳:平野暁人
上演台本・演出:宮城聰
音楽:棚川寛子

日本語上演・英語字幕

◆公演の詳細はこちら


2018年10月24日

歯車ワークス#5 “イメージ”を重ねる

Filed under: 『歯車』2018

10/9にスタートした『歯車』の稽古も早2週間ほどが経過。
今は、『歯車』の原作を1章から順に即興で演じ、そこから気付いたこと・イメージしたこと・キーワードになりうるものを挙げていく、という作業を行っています。
まずは、たっぷり2時間ほどの時間をかけて、原作の気になった言葉やシチュエーション、そこから連想されたものを挙げ、話し合い、一つ一つのシーンを丁寧に解体していきます。
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その後、持ち寄った様々な小道具を使いながら、即興で演じてみます。
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俳優たちからは、
「地の文を読む人と主人公の“僕”を演じる人が、分かれると良いのでは?」
「地の文を読んでいる人も読みながら動いたり、“僕”を演じている人に迫っていくと不安感が増すね」
「マグリットやデルヴォーの絵のイメージがある」
「テクノ系の音楽って作品に合っているかも」
などなど、話し合いの場以上に様々なアイデア・イメージが挙がってきます。
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『歯車』原作でも、芥川自身と思しき主人公の“僕”は、乗合自動車で理髪店の主人から「レエン・コオトを着た幽霊」の話を聞いた後、レエン・コオト、モオル(英語でMole=モグラだが、仏語でla mort=死を意味する)、黄色いタクシー、ブランコのないブランコ台、黄色い飛行機…などなど、目にしたものを次々に不吉な、死の象徴として捉え、関連付けては自分を追い込んでいきます。
そんな滑稽ともいえる“僕”の妄想がどんどんどんどん重なっていく原作から、感じたイメージを取り出し、重ねていくことで、作品を自分ごととして引き寄せるとともに、芥川の精神世界を深掘りしていきます。

一方10/21(日)には、関連企画として、すぱっく新聞の取材でも訪れた芥川ゆかりの修善寺・新井旅館で、リーディングカフェ&感想コラージュ画制作ワークショップを開催!
(★関連リンク:「静岡で芥川を訪ねて1 ~伊豆・修善寺 新井旅館~」)
俳優・片岡佐知子のナビゲートの元、『歯車』を約2時間(!)かけて、全員で声に出して読んでみました。
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その後、伊豆を拠点に様々な芸術に関わる企画を展開するScale Laboratory(スケラボ)さんのナビゲートのもと、作品世界を表現するコラージュ画に挑戦。
コラージュとは、芥川が自殺し、『歯車』が発表された1927年頃、ヨーロッパでシュルレアリストのマックス・エルンストが始めた、カタログや挿絵を切り抜き、組み合わせ、新しいイメージを作り出す技法。
参加者は、スケラボさんがあらかじめ用意してくださった自然科学をはじめとする様々な洋書の挿絵を切り抜き、組み合わせて、自分が感じた『歯車』の世界を描いていきました。
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▲“蟹を食べる時”のように(笑)黙々と作業する

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▲完成した作品の観賞会。作者は制作イメージを発表しました。

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▲何の関連性もないパーツを組み合わせただけなのに、“ぼんやりとした不安”を感じる不思議な世界が。

(11/16追記)
好評につき、『歯車』公演日にも感想コラージュ画制作ワークショップを開催することが決定しました!詳細はこちら

この「イメージを重ねて新たなイメージを作る」というコラージュの技法、『歯車』原作にも、そして今稽古場で行われていることにも何だか通じる気が。
演出の多田さんと俳優たちは、多くの“イメージ”パーツをどう選択し、組み合わせ重ね合わせて、どんな『歯車』の世界を立ち上げるのでしょうか…?
どうぞご期待ください!
そしてワークショップで制作した作品は、『歯車』公演期間中、芸術劇場のロビーに展示しますので、こちらもお楽しみに♪

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SPAC秋→春のシーズン #2『歯車』
構成・演出:多田淳之介
原作:芥川龍之介
出演:大内智美、奥野晃士、春日井一平、河村若菜、坂東芙三次、三島景太[五十音順]

一般公演
11/24(土)・25(日)・12/1(土)・2(日)・8(土)・9(日)・15(土) 各日14:00開演
静岡芸術劇場

チケット
発 売 日:9/23(日)会員先行予約 9/30(日)一般前売
料  金:一般4,100円 ペア割引3,600円 ゆうゆう割引3,400円
学割2,000円[大学生・専門学校生]1,000円[高校生以下] ※ほか各種割引あり
購入方法:SPACチケットセンター TEL:054-202-3399(10:00~18:00) ※公式サイト、劇場窓口でも購入可

★公演の詳細はこちら
http://spac.or.jp/haguruma_2018.html

★トレーラー第一弾はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=NBi9mdWKW5c

★ブログ「歯車ワークス」過去の投稿記事はこちら
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2018年10月20日

歯車ワークス#4 静岡で芥川を訪ねて2 ~静岡市清水区・新定院から江尻埠頭~

Filed under: 『歯車』2018

静岡県内で芥川の足跡をたどると、修善寺の新井旅館のほかにもう1か所、静岡市清水区北矢部にある臨済宗のお寺・新定院に行き当たります。
前回ご紹介した新井旅館は、芥川が亡くなる2年ほど前療養のために訪れた場所ですが、新定院は芥川が東京帝国大学英文学科へ進学する直前に訪れた場所。友人たちに宛てた書簡は、芥川の瑞々しいエネルギーに満ちています。(★関連リンク:「静岡で芥川を訪ねて1 ~伊豆・修善寺 新井旅館~」)

このたび、新定院をはじめ書簡から読み取れる場所を実際に訪れてみました!

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大正2(1913)年8月、芥川は新定院を訪れ、10日間ほど滞在。最初は清水区興津の清見寺を滞在先に選んだものの、あいにく満室(?)のため、同寺に紹介されたのが、この新定院だったそう。

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▲今川義元公の家臣・野呂民部丞が建立し、彼の子息が開山となった由緒あるお寺、新定院。

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▲徳川家康公から朱印状を与えられた徳川家にも所縁のあるお寺であることから、瓦に葵の御紋が。

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▲今川義元公の存命中に作られた肖像彫刻。現存しているのはこちらを含め4体だけだそう。

芥川は新定院に滞在中、午前中は読書をしたり友人宛に手紙を書いたりして過ごし、午後は連日江尻まで海水浴に行っていたようです。また、清水区村松の龍華寺(高山樗牛のお墓がある)や鉄舟寺も時折訪れていました。
またご住職のお話からは、芥川が近所の駄菓子屋に釣竿を隠して(預かってもらって?)釣りに行ったり(殺生禁止なので、釣竿は寺に持ち込めない)、近所の女の子の似顔絵を描いてあげたり(あまり似ていなかったので、もらった女の子は似顔絵を捨ててしまったそう)、という何だか微笑ましいエピソードも。

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▲ご住職からお話を伺う。

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▲静岡新聞に掲載されたことも。

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▲ご住職と。芥川滞在時のご住職は祖父に当たるとのこと。芥川は当時のご住職と本堂の濡縁に座ってよく話をしたそう。

そんなのんびりとした旅先の生活の中でも、芥川の無類の甘味好きは健在。
浅野三千三(化学者。府立三中の後輩。後に東大教授として細菌学の分野で活躍)や広瀬雄(府立三中の恩師)宛ての手紙には「殊にこの頃は毎日海水浴をすると田舎料理の塩からきを食ふとの為甘い物に対する需要一層甚しく東京よりはるばる持来れる甘納豆バナナケークデセールなど既に大半を平らげてしまい候。」「毎日海水をすこしづつのむのと塩からき御菜を食ふとの為、甘い物が恋しく江尻清水の菓子屋は渉猟し尽し候。」と記しています。
東京からスイーツ持参って…、しかも何種類も…相当ですよね(笑)

また芥川は、当時の清水の様子を様々書簡に記しています。

(前略)江尻の海水浴場は眼界稍〃狭く設備も不完全に候へども鵠沼逗子鎌倉などの如く紅紫染わけの水浴衣に靴をはきて水にはいる様な奴がゐないだけ心地よく候。(中略)僕のゐる寺は禅寺にて主の和尚はサイダと云ふ語をしらず候。禅僧などと云ふものはのんきなものに候。(後略)

――8月12日 浅野三千三宛書簡より

 
(前略)猶同村の某家にては数年来家内に病人の絶えざる為易者を招きて卦を考へしめ候所、家の下の土中二丈五尺(※約7.6m)にして甲冑刀剣あり家人の病むはその祟なりと申し候より早速土を掘らせ候ひしに果して二丈五尺にして甲冑一具太刀一振を得し由に候。村の人々は皆易者の断じ得て神に入るを賞し居り候へども小生は寧易断を信じて直に二丈五尺の深きを掘りたるその家の主人の純朴さ加減に感心致候。(後略)

――8月19日 広瀬雄宛書簡より

東京生まれ・東京育ちの芥川は、清水とそこに住む人々の生活を、楽しみつつも驚きやもしかしたら若干の呆れを抱きながら観察していたのかもしれません。

さて、連日海水浴を楽しんでいた芥川ですが、新定院から江尻海水浴場までの道々の様子は、8月16日付井川恭(一高の同級生で親友)宛の手紙に記されており、今もほんの少しだけ、当時の面影を残す場所が。

例えば、
不二見橋と云ふのを渡る。欄干の下を碧い水がみがいた硝子板の如く光り乍ら流れる。
と記された富士見橋。

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▲富士見橋

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▲富士見橋から巴川をのぞむ

輕便鐵道の線路を一つ横切ると・・・
と記された輕便鐵道軌道跡地。昔は道がもっと広かった!という訳ではなく、港との物資を運んだりする横に細い電車だったそうで、線路の幅は現在の路地の幅と同じ。一体どんな感じで走っていたのか、想像できません…。

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▲輕便鐵道軌道跡地

そして、
江尻の海岸は眼界が余り廣くない。右に長く差し出た三保の半島 左にたヽなはる愛鷹の連嶺その間には伊豆の山々が曇った日はかすかな鼠色にはれた日にはさえた桔梗色に長く連なってゐる。
と記された江尻海水浴場。
今は港になってしまい、海水浴場は影も形もありませんが、この日は秋晴れの空に富士山がくっきりと。

IMG_2371
▲江尻埠頭から富士山をのぞむ

あなたも書簡集を片手に芥川が滞在した当時を思いながら、清水を歩いてみては?

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SPAC秋→春のシーズン #2『歯車』
構成・演出:多田淳之介
原作:芥川龍之介
出演:大内智美、奥野晃士、春日井一平、河村若菜、坂東芙三次、三島景太[五十音順]

一般公演
11/24(土)・25(日)・12/1(土)・2(日)・8(土)・9(日)・15(土) 各日14:00開演
静岡芸術劇場

チケット
発 売 日:9/23(日)会員先行予約 9/30(日)一般前売
料  金:一般4,100円 ペア割引3,600円 ゆうゆう割引3,400円
学割2,000円[大学生・専門学校生]1,000円[高校生以下] ※ほか各種割引あり
購入方法:SPACチケットセンター TEL:054-202-3399(10:00~18:00) ※公式サイト、劇場窓口でも購入可

★公演の詳細はこちら
http://spac.or.jp/haguruma_2018.html

★トレーラー第一弾はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=NBi9mdWKW5c

★ブログ「歯車ワークス」過去の投稿記事はこちら
http://spac.or.jp/blog/?cat=113

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2018年10月19日

『顕れ』パリ日記(11) ~初日(続き)~

SPAC文芸部 横山義志
2018年9月20日(木)

*前回のブログはこちら
『顕れ』パリ日記(10) ~初日~

ヴァグラムさんは、舞台を見てのご感想を、改めて寄せてくださった。
「『顕れ』と演出家宮城聰さんとの出会いが、私にとってどれだけ重要な演劇的事件だったのかをお伝えしたいと思います。そこには舞台がテクストに与えうることの全てがあったように思えました。日本文化のコードによるラディカルな提案と繊細かつ美的に表現された死後の世界の夢幻的な舞台美術、苦悩や恐怖、そして儚さや優しさを表現し、それに付き添い、高みへと押し上げる音楽。全てが私たちを揺り動かし、レオノーラの言葉との感動的な交感を促して、儀式の最後(イニイエの退場)の絶頂へと到達させてくれます。この舞台の終わりは、人間的なものを分かち合うということがそうあるべき高みに達しています。
私のなかに住む”女優”は、この私たちの病んだ世界が演劇という芸術によってあがなわれることを、ふたたび期待することができました。
この作品が、書かれたところの文化とも、その物語の文化とも異なる形で上演されるのを見ることで、私たちは「他者へと向かう」よう促され、大きな価値観の転換を迫られます。
感謝の念を伝えたく存じます。」

AFP通信の取材。宮城さんの話。
「歴史的な規模の犯罪となると、その行為の重さ故に加害者も口をつぐんだまま死んでゆくことが多い。こうして、被害者の魂だけでなく、加害者の魂もまたこの世に対する悔いや怨恨を抱え込んだまま、あの世に行くことができないでいる。これがこの世の不幸の原因となる。そこで加害者が口を開く場をつくり、その告白を死者も生者も皆で共有することで、被害者の魂も加害者の魂も怨恨を離れることができる、というのがこの作品だと僕は考えています。」

コリーヌ国立劇場2019年間プログラムでのワジディ・ムアワッドさんの言葉。
「人間にとっては、いつだって、復讐することのほうがずっと簡単なことだった。今日ではいよいよそうなってしまった。メディアとSNSが、司祭やイマームやラビ(それぞれイスラム教・ユダヤ教の指導者)の役割を、あまりにも見事に肩代わりしてくれて、私たちに毎朝、どう考えるべきか、誰を告発すべきか、そして誰を血祭りにあげるべきかを教えてくれる。
そんな状況のなかで、現代の劇作品のための国立劇場をどう位置づければよいのだろうか。この道徳化の風潮が強要する裁判官の役割を逃れようとする他ないだろう。なぜなら、もしディレクターとしての私がこの圧力に屈してしまったら、作家の役割は観客を被害者と同じくらい加害者にも感情移入させることだということをどう伝えればよいのか。ほとんどの戯曲は、何かしらの形で、犠牲にされた者、罪人、「悪人」を舞台に上げて、悪という問題について問いかけている。これはギリシャ悲劇以来の演劇の機能だ。ではどうやってこのような登場人物を演じ、弁護すればよいのか。クレオンを、『女中たち』を、『ロベルト・ズッコ』を、理解することも愛することもなく演じることができるだろうか。罪人を舞台に上げるということは、必然的に彼らに近づくことでもある。その人のことを深く知り、「彼は私だったかもしれない」と思うことだ。もしそこで見たこと、聞いたことを信じて、それに参加したのであれば、劇場から出たあと、どうして翌日道徳に戻り、メディアの俎上に載せられた最初の罪人にリンチを要求することができるだろうか。どのようにして芸術作品の前で経験されたことと、その経験が日常生活のなかで変化していくこととのあいだをつなぐことができるのか。・・・どのようにして芸術の力を本当に信じることができるのか。」

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『顕れ』 フランス公演
2018年9/20(木)~10/20(土) 全27公演
 ※9/24(月)、10/1(月)、8(月)、15(月)休演
会場:コリーヌ国立劇場
◆公演の詳細はこちら
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年明け、日本でも「秋→春のシーズン」3作品目として上演します!
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『顕れ ~女神イニイエの涙~
2019年1/14(月・祝)~2/3(日) 静岡芸術劇場
◆公演の詳細はこちら
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2018年10月18日

『顕れ』パリ日記(10) ~初日~

SPAC文芸部 横山義志
2018年9月20日(木)

 
本番日なので、衣裳はつけず、稽古着で稽古。
宮城さんからマイブイエ(これから生まれる魂たち)たちに、「ちょっとスキップやってみて」と注文。
なかなか合わない。
「あ、幼稚園が違うとスキップも違うんだね・・・」
稽古

近所のレストランなどにポスターが貼ってある。
ポスター

今日はついに初日。劇場の書店にはレオノーラ・ミアノの本が並んでいる。
書店

劇場が長い眠りから醒めたように、入口に人が集い、ざわめきが少しずつ高まっていく。
IMG-6513

レストランも大忙し。
レストラン

20時半開演。

今日はパリの多くの劇場でシーズンが開幕する日で、競争が激しく、ちょっと不安だったが、500ほどある客席がほとんど埋まっていた。アフリカ系のお客さんがけっこう来てくれている。一割弱くらいだろうが、これまでパリで演劇を見ていて、こんなにアフリカ系の方を見かけたことはなかったかもしれない。じっと舞台を見つめてくれている。

終演。静まりかえった客席から、徐々に割れるような拍手が。カーテンコール。
P1310145

多くのお客さんが「ありがとう、すばらしかった」と帰り際に声をかけてくれる。
女優のデリア・セピュルクル・ナティヴィさん(ふじのくに⇄せかい演劇祭2016で上演された『少女と悪魔と風車小屋』で主演)は「アンティゴネも大好きだったけど、こっちの方がもっと好きです。すごくダイレクトに今のことを語っているから、すごく心に響きました」とおっしゃってくれた。

舞台や映画で活躍する女優のミレーヌ・ヴァグラムさんが宮城さんに話しかけてくれ、「一つずつ段階を踏んで神話的世界へと連れて行ってくれるのが、本当にすばらしかったです。なかなかフランスでは見ないタイプの舞台ですね。私はミアノさんの作品をよく知っているのですが、宮城さんの演出はミアノさんの戯曲に、さらに普遍的な次元と深みを付け加えていたと思います」とおっしゃっていた。ミレーヌさんは以前、『顕れ』を含む「レッド・イン・ブルー三部作」の別の作品のリーディング公演に参加している。
ミレーヌ・ヴァグラムさん

ミレーヌさんから後日、ミアノさんとの出会いについてうかがった。

ヴァグラムさんはカリブ海とフランスの二つの文化の間で育った。パリで生まれ、マルティニーク島の祖父母のもとで幼少期を過ごした。マルティニーク島はカリブ海にあるフランス海外県。はじめ読者としてミアノ作品に出会い、ミアノ本人と出会ってから、リーディング公演などにも起用されるようになった。

「レオノーラのうちで私が好きなところは自由なところです。それに触れることで、自分のなかの自由も呼び覚まされます。そのラディカルさ、勇気も、私を力づけてくれます。・・・きっと彼女も、私のうちに同じようなものがあると思ってくれているのでしょう。
きっと私たちは二人とも、人間の経験というものは一つの場所に結びつけられるものではなく、それを超えるもので、自分がどこから来たのかを知ることは、そこに閉じこもることではなく、世界に向かって言葉を発するためのはずみを得ることなのだ、という確信を共有しているのだと思います。」

『顕れ』パリ日記(11)に続きます。

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『顕れ』 フランス公演
2018年9/20(木)~10/20(土) 全27公演
 ※9/24(月)、10/1(月)、8(月)、15(月)休演
会場:コリーヌ国立劇場
◆公演の詳細はこちら
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年明け、日本でも「秋→春のシーズン」3作品目として上演します!
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『顕れ ~女神イニイエの涙~
2019年1/14(月・祝)~2/3(日) 静岡芸術劇場
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2018年10月17日

『顕れ』パリ日記(9) ~ゲネ、コリーヌ国立劇場年間プログラム~

SPAC文芸部 横山義志
2018年9月19日(水)

 
今日はゲネ(最終通し稽古)。

字幕チェックをしに来てくれた劇場の方が、「舞台に目を奪われそうになって、字幕ばかり見てるのが悔しかった。明日はお客さんとして見ます!」とおっしゃってくれた。

明日からついに公演がはじまる。シーズンの開幕。

ふつうフランスでは、9月から6月までが劇場の「シーズン」。だがコリーヌ国立劇場では、今年から1月~12月の年間プログラムに移行しようとしている。そのため、今回は2017年9月~2018年12月という変則的な年間プログラムになっていて、この『顕れ』の上演は昨年7月のアヴィニョン演劇祭からすでに告知がされていた。

その理由の一つは、「劇場が学校のスケジュールに従属するのはおかしい」ということ(フランスの学校は9月に始まる)。ムアワッドはジュネを引用しながら、アーティストの役割は「教える」ことではない、ということを強調している。

「おれがお前にやるのは意味のない、不器用な助言だ。それに従うことができるやつなんていない。でもおれがしたかったのはそれだけなんだ。この芸術について、お前の頬に熱がこみ上げるような詩を書くことだ。お前に教えたかったんじゃない、お前を熱くしてやりたかったんだ。」
ジャン・ジュネ『綱渡り芸人』(1983)、コリーヌ国立劇場2017-2018年間プログラムより

その代わりに、「シーズンは四つあるはずだ」と言って、自然のリズムに沿って、春・夏・秋・冬それぞれの「シーズン」のプログラムを紹介している。

とはいっても、パリでは今週から公演がはじまる劇場が多く、コリーヌ国立劇場にとっても夏休み後の最初の公演で、劇場の顔となる公演であることにはかわりない。年間プログラムのなかでも、これほど出演者が多い作品は他にない。

コリーヌ国立劇場の年間プログラムは「アルマナ(Almanach)」という名前になった。これは「カレンダー、年鑑」といった意味だが、これはアラビア語の「贈り物」という言葉から来ていて、新年にカレンダーを贈りあう習慣に基づいているともいう。

アルマナ

コリーヌ国立劇場の作品紹介では一切写真を使っていない。コリーヌ国立劇場は現代戯曲の上演のための劇場とされていて、言葉を伝えるのが一番大事、ということなのだろう。

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『顕れ』 フランス公演
2018年9/20(木)~10/20(土) 全27公演
 ※9/24(月)、10/1(月)、8(月)、15(月)休演
会場:コリーヌ国立劇場
◆公演の詳細はこちら
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年明け、日本でも「秋→春のシーズン」3作品目として上演します!
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『顕れ ~女神イニイエの涙~
2019年1/14(月・祝)~2/3(日) 静岡芸術劇場
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