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2019年11月9日

「茶色いパン」から見えてくるペール・ギュント

 『ペール・ギュントたち 〜わくらばの夢〜』は、アジアのアーティストたちがアジアの視点からイプセンの『ペール・ギュント』を読み解いていく、というもの(詳しくはこれまでのブログへ)。
 大口を叩いては、あちらこちらへ自由奔放な旅を続けるペール・ギュント。荒唐無稽なお話で、ちょっと捉えどころのない印象も受けるペールさん、なのですが、母国ノルウェーでは国民的な存在なのだとか(!)…そもそもペールを生んだノルウェーの文化って?と知りたくなり、静岡芸術劇場の近くにあるノルウェーパンのお店「シリケカフェバーケリ」の永井美香子さんにお話を伺いに行きました。素朴なパンから、ペールの気質の一端が見えてきます。
すぱっく新聞第10号『ペール・ギュント』に短縮版を掲載。<クリックするとPDFが開きます>)
 
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▲シリケカフェバーケリにて、永井美香子さんと匠さん。
 
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 永井さんご夫妻はノルウェー最古の都市トンスベルグに近い村に住み、ご主人の匠さんがパン作りの修行を、美香子さんは福祉関係の仕事をしていた。
 
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▲ノルウェーの港町 トンスベルク(撮影:永井美香子さん)
 
美香子さん:ノルウェーは自然が豊かで、みんな自然を誇りに思っています。山や海にヒュッテ(小さな小屋)があり、ちょっとした休みにはオフグリッド*の生活を楽しんでいます。そこには水道もなく、川から水を汲んで、薪ストーブでお湯を沸かして。トイレもバイオトイレ、用を足したらおがくずを一杯かけておく、みたいな。都会的な暮らしをする人ももちろんいるけれど、わざとそういう不便な、自然に近い暮らしを楽しむ、そのことを誇りにしている印象を受けました。
*太陽光や風力などの自然エネルギーを電力に変え使用すること

 
kirkekafe_3「ゴーポトゥール(散歩に行かない?)」とよく誘われるんですが、ノルウェー人の「ゴーポトゥール」は恐ろしくて(笑)、平気で2時間くらい歩くんです。彼らは軽装に見えて山道も歩きやすい靴で、何気ないリュックの中にちゃんとコーヒーとサンドイッチ、岩場でも座りやすい敷物を入れていて、私たちが気軽について行ったらえらい目にあった、という経験があります。それ以来、家族の中では「ゴーポトゥールには気をつけろ!」が合言葉になりました(笑)。それをスウェーデン人に話したら、「ああ、ノルウェー人だからね」と言われたんです。北欧の中でもノルウェーはよりワイルドなのかもしれないです。(写真:トンスベルクの夕暮れ(撮影:永井美香子さん))

 
 
『ペール・ギュント』で展開する現実ではありえないような物語も、ノルウェー人の気質を知るとうなずけるところもあるよう。
 
美香子さん:ノルウェー人には発想の自由さがありますね。そして自由な発想を応援しようとする気質も。荒唐無稽と思われるようなことでも、ノルウェー人に話すと、「ああ、いいんじゃない。面白そう。やってみたら?」とみんな言うんです。み〜んな言うんです本当に(笑)。実際にノルウェーの人たちも、気負わず、大胆なことをポンとやってしまう。やれる状況があって、パッションがあればやってみるということが普通だし、誰も止めることはない、という印象があります。
 
永井さんご夫妻の経歴も驚くほどフレキシブル。日本で看護師の仕事をしていた美香子さんは結婚直後にイギリスで福祉の仕事に就き、日本で印刷機械のエンジニアをしていた匠さんは、その後にスウェーデンの車椅子を日本で販売する仕事を8年ほどしていた。スウェーデンに移住したいと考えながら、たまたまノルウェーの「キャンプヒル・コミュニティ(シュタイナーの思想による知的障がいがある人とない人が共生する村)」で職を見つけ、匠さんがドイツ人からノルウェーパン作りを学び、今に繋がっている。
美香子さんは、「日本に帰ってくると波乱万丈ですね、と言われるんですが、そんなに特別なことじゃないんです」と笑う。
 
美香子さん:ノルウェー人は自分たちを「ヴァイキングだ」とよく言うんです。どんどん色んな所に行く血が流れているんだと。また自分たちには交渉力があるという自負もあるみたいです。他の北欧の人と比べても(ここがポイント)ノルウェー人は交渉力があって、世界の政治の揉め事を交渉でまとめているのもノルウェー人なんだと言っていましたね。
 
またノルウェー人には受け入れる気質もあり、表立って差別的なことをしないという強いポリシーも感じたそう。しかし昨今は南の方から移民が増え、政策的に移民を制限する傾向も強まってきているのだとか。ノルウェーもまた世界の情勢の中で少しずつ変化している。
 
美香子さん:食の視点でいうと、ノルウェーは寒くて野菜があまり育たないので、その昔、ブロッコリーが入ってくるまでは、じゃがいもと人参、根菜くらいしかなかった。茹でたタラにバターソースをかけて、茶色いパンと食べるというのが一番のディナー。
パンは、小麦よりも、寒さに強いライ麦などを使った茶色いパンが多くて、糖質の少ない茶色いパンを食べなさいとよく言われました。朝と昼はパン、バターをぬってチーズをスライスしたものを乗せて食べます。ナッツを足したりしてミネラルやタンパク質などを摂り、素朴だけど彼らにとっては理にかなった食事です。
毎週土曜日は「ゴッテリの日」=甘いものを食べる日で、映画『ロッタちゃん』にもでてくるんですが、この日は甘いお菓子を買いに行ったり、チョコやレーズンの入ったパンを焼いたりします。今では日常的にも食べますが、職場でも10時・3時のおやつの時間がちゃんとあって、手を休めて甘いものを食べ、適度に休憩を取ることで仕事の効率もあがるそうです。オフの時間も大切にしていましたね。

 
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▲シリケカフェバーケリのパン(写真:お店より)
 
***

「茶色いパン」を中心としたシンプルな暮らし。ペール・ギュントが生まれた背景が少し見えたでしょうか。今回のペールがどんな風に描かれるのかは…、ぜひ劇場でご覧ください。
 
そんなシリケカフェの味わい深い「茶色いパン」、一般公演では2Fカフェ・シンデレラの特別メニューとして皆さまにも味わっていただけます。ペール・ギュントのエッセンスを感じていただけるかもしれません。
(文:制作部 坂本彩子)
 
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▲『ペール・ギュントたち』カフェ特別メニュー
「ブラウンチーズとペリーのオープンサンド」
数量限定です。お早目にご来場ください。

 
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シリケカフェバーケリ
https://kirkekafe.crayonsite.info/
静岡市駿河区大和1-4-20
TEL: 090-8472-3929
お店の名前はノルウェー語で「教会のカフェベーカリー」の意。長野県産の小麦・ライ麦などを使用したパンはどれも深い味わい。
 
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SPAC秋→春のシーズン2019-2020 #2
『ペール・ギュントたち〜わくらばの夢〜』
2019年11月9日(土)、10日(日)、16日(土)、17日(日)
各日14:00開演
会場:静岡芸術劇場

原作: ヘンリック・イプセン
訳:毛利三彌

上演台本・演出: ユディ・タジュディン

共同創作:
ウゴラン・プラサド(ドラマトゥルク)
川口隆夫(パフォーマー/ダンサー/振付家)
ヴェヌーリ・ペレラ(振付家/ダンサー)
美加理(俳優)
ムハマッド・ヌル・コマルディン(俳優/ダンサー)
森永泰弘(サウンドアーティスト/作曲家)
グエン・マン・フン(ヴィジュアル・アーティスト)
アルシタ・イスワルダニ(俳優/パフォーマー)
グナワン・マルヤント(俳優/作家)

大内米治、佐藤ゆず、舘野百代、牧山祐大、
宮城嶋遥加、若宮羊市(俳優〔SPAC〕)

\チケット販売中/
詳細はこちら
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2019年11月7日

『ペール・ギュントたち』稽古場ブログ 番外編スタッフインタビュー

◆中高生鑑賞事業「SPACeSHIPげきとも!」パンフレット連動企画◆

中高生鑑賞事業公演では、中高生向けの公演パンフレットをみなさんにお渡ししています。パンフレット裏表紙に掲載しているインタビューのロングバージョンを掲載しますので、ぜひお読みください。
『ペール・ギュントたち ~わくらばの夢~』にて音響を担当する右田聡一郎(SPAC創作・技術部)が舞台音響の仕事をご紹介いたします。(インタビューは2019年9月11日に行ったものです)

 
-どのように舞台音響の仕事を始めたのですか?

 子どもの頃から、映画や舞台、音楽などを楽しむときに、表舞台に立っている人ではなくて、作っているクリエイターやスタッフを調べる癖がついていました。高校生のときに自分の聴いているCDを並べてみたら、渡辺美里、小室哲哉、坂本龍一、ジャネット・ジャクソン、マドンナ……と一見バラバラだったのですが、ひとつの共通点があって、すべて同じ人がミキシング(※)を手がけていたんです。バラバラの音楽を聴いているようでいて、実はこのミキシング・エンジニアの人の音を聴いているんだと気づいて、この職業に就きたいと思いました。アメリカにミキシングを専攻できる大学を見つけたので、思い切ってそこへ行くことにしました。

 大学を卒業して仕事を始めた頃、ちょうど音楽配信が盛んに行われるようになって、みんなパソコンで録音するようになり、レコーディングを自宅でできるようになってしまった。上司には「この先、仕事がなくなるかもしれないから、レコーディングだけにこだわらない方がいい。ニューヨークには舞台や映像など、同じ能力を活かした仕事が色々ある」と言われました。上司の影響も受けて色々な現場を見たり手伝ったりしているうちに、舞台芸術の仕事が増えるようになりました。

※ミキシング:別々に録音された音源を、それぞれの音色や音量などを調節して、ひとつの音楽として仕上げること。
 
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-そもそも舞台音響の仕事ってどんなお仕事なんですか?

 演出家のやりたいことを汲みとって、それを音という形で実現させることです。

 ひとつは、SE(効果音)などの音を決めていく。たとえば雨のシーンでも色々な雨の音が考えられます。演出家によっては「ギザギザした感じ」とか「もっと情熱的な雨で」とか、抽象的な言葉で希望を言うので、その意味を自分なりに考えて、どうかな? こうかな?と試しながら選択していきます。場合によっては、自分で音を録音しに行くこともありますね。
 もうひとつは、劇場の音をつくること。これはエンジニアとしての側面が強い仕事です。音響のはね返りや残響時間など、その劇場がもっている特徴をふまえて、いかに客席の人に聴きやすく、演出家の意図通りに届けられるかを調整していく。たとえば、スピーカーを30センチ動かすだけで、音の飛び方は全く変わるんですよ。
 一定の音楽をある程度聴きやすくどの客席にも届けるだけだったら、固定のスピーカーがあれば良いです。でも、場面によっては、どこから聞こえてくるかが分からないようにすることもあるし、その逆の場合もある。だから、スピーカーの位置を固定するのではなく、毎回考えて動かさなければならないんです。図面を引くこともありますが、現場での調整がとても重要ですね。

 今回の『ペール・ギュントたち』では、演出家だけでなくサウンドアーティスト/作曲家の森永泰弘さんが参加されるので、アーティストの方々がやりたいことを「SPACの劇場で」形にしていく役割になりそうです。この劇場の特徴を把握しているスタッフとして、全体のバランスを取りながら調整役になれればいいなと思っています。
 人によって「良い音」は違うし、その作品によって求められる「良い音」も違ってくるので、現場での擦り合わせがとても重要になりますね。

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-お仕事で大変なことはありますか?

 舞台の仕事はチームで進めていくお仕事です。レコーディングの仕事はひとりで作業することが多いから、自分の調子次第で一気に仕事が進められる利点もありますね。でも、劇場での作業は多くの人と時間を共有している。自分の作業が滞れば、他の部署のスケジュールにも迷惑がかかる。僕自身がのんびりした性格なので、時間との戦いになるのが大変ですね。
 
-舞台音響の仕事をやりたいと思ったら?

 基礎となる部分は学ぶ必要があるでしょう。学校へ行ってもいいし、独学でもいいかもしれません。でも、舞台音響は<正解がない世界>です。時代が経てば、いままで正しいとされてきたことが、そうではなくなっていくことも多い。ルールに従ったり、従来のやり方を参考にしたりするのはいいけど、まったく同じにやる必要はないと思っています。「こっちの方が良いのでは?」と、自分で疑ってみて、トライしてみて、自由に自分のやり方を模索していける音響家を目指してほしいと思います。
 
-最後に中高生の皆さんへメッセージをどうぞ

 僕はもともと英語が不得意だったなかで留学を決めました。苦手なことがあっても、やりたい気持ちがあれば、大概のことはどうにかなる(笑)。何事にも楽しんで取り組んでもらえればと思います。
 
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SPAC秋→春のシーズン2019-2020 #2
『ペール・ギュントたち〜わくらばの夢〜』
2019年11月9日(土)、10日(日)、16日(土)、17日(日)
各日14:00開演
会場:静岡芸術劇場

原作: ヘンリック・イプセン
訳:毛利三彌

上演台本・演出: ユディ・タジュディン

共同創作:
ウゴラン・プラサド(ドラマトゥルク)
川口隆夫(パフォーマー/ダンサー/振付家)
ヴェヌーリ・ペレラ(振付家/ダンサー)
美加理(俳優)
ムハマッド・ヌル・コマルディン(俳優/ダンサー)
森永泰弘(サウンドアーティスト/作曲家)
グエン・マン・フン(ヴィジュアル・アーティスト)
アルシタ・イスワルダニ(俳優/パフォーマー)
グナワン・マルヤント(俳優/作家)

大内米治、佐藤ゆず、舘野百代、牧山祐大、
宮城嶋遥加、若宮羊市(俳優〔SPAC〕)

\チケット販売中/
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2019年11月2日

『ペール・ギュントたち』稽古場ブログ#3 タイトルのひみつ(?)

劇場稽古が始まっています。

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げきとも公演初日まであと3日…!というドキドキの時期ですが、
本日は、作品のサブタイトルについて少しご紹介します。

7月、ララントゥカでのワークショップを終えたしばらく後
ユディさんから届いた今回のタイトルが
“Peer Gynts – Asylum’s Dreams”でした。
メインタイトルの「ペール・ギュントたち」
どうして複数形なの?とよく尋ねられます。
物語の登場人物たちのこと?
アーティストたちのこと?
現代を生きる私たち?
それとも、もっと他のこと?
たった1文字の「」、たった2文字の「たち」ですが、
皆様がどうお考えになったか、ぜひ劇場でお聞かせください♪

さて、副題です。

英題にある“Asylum”は、
避難所、難民保護施設、精神病院、亡命…など複数の意味をもつ言葉です。

今回のプロジェクトの中で、ユディさんや参加アーティストたちが見つめている
様々な政治的・社会的問題、
原作の4幕でペールが訪れる「精神病院」(と呼ばれていた建物)のイメージ……
それらを大きく含めたこの言葉。

正直なところ、
ユディさんからこのタイトルが届いた時は

「これ、邦題、どうしようか……!」

でした。
悩みに悩む制作チーム。
まさに「夢」に見るまで悩みました(ホントです)。

結果、付けた副題は
「わくらばの夢」

これをご覧になって、
「わくらば」ってなんだ?と思われた方も多いと思いますが…

わくらば:
病葉/嫩葉 と書いて、
病気にかかって変色した葉のこと。
木の若葉のこと。

そして古語では「邂逅」を「わくらば」と読み、
「わくらば-に」で「たまたま、偶然に」という意味になります。

4ヶ国のメンバーが集まり、
旅をしながら各地で創作を重ねてきた今回の作品。
たくさんの「出会い」が背景にあることは言うまでもありません。

そんな作品が、どちらの「葉」、どんな「葉」なのかは、ご覧くださる皆様次第。

あら?
劇場を覗いていると、どうやらこんな「葉」も…

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アーティストたちそれぞれの背景、思考やアイディア、身体性を活かしながら
作品全体を形作っていくような、
有機的な創作をするユディさんの手法も
「葉」のイメージにつながるなあ、とも思っています。

そして、「夢」はどんな夢のことなのでしょう…?

二重、三重に意味の込められた今回の作品タイトル。
いろいろとご想像いただけるとうれしいです!

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SPAC秋→春のシーズン2019-2020 #2
『ペール・ギュントたち〜わくらばの夢〜』
2019年11月9日(土)、10日(日)、16日(土)、17日(日)
各日14:00開演
会場:静岡芸術劇場

原作: ヘンリック・イプセン
訳:毛利三彌

上演台本・演出: ユディ・タジュディン

共同創作:
ウゴラン・プラサド(ドラマトゥルク)
川口隆夫(パフォーマー/ダンサー/振付家)
ヴェヌーリ・ペレラ(振付家/ダンサー)
美加理(俳優)
ムハマッド・ヌル・コマルディン(俳優/ダンサー)
森永泰弘(サウンドアーティスト/作曲家)
グエン・マン・フン(ヴィジュアル・アーティスト)
アルシタ・イスワルダニ(俳優/パフォーマー)
グナワン・マルヤント(俳優/作家)

大内米治、佐藤ゆず、舘野百代、牧山祐大、
宮城嶋遥加、若宮羊市(俳優〔SPAC〕)

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2019年10月24日

『ペール・ギュントたち』稽古場ブログ#2

『ペール・ギュントたち~わくらばの夢~』は、インドネシア、スリランカ、日本、ベトナムから様々な分野で活躍をするアーティストたちが集い、インドネシア〜東京〜静岡と『ペール・ギュント』同様に、旅をしながら創作が行われています。

今回のブログでは、演出のユディさんがこの作品を構想するキッカケとなった、インドネシアのフローレス島にあるララントゥカについてご紹介していきます。

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インドネシアは、なんと!1万3000以上の大小の島からなり、人口は2億5千万人(世界第4位)にもおよびます。ララントゥカは、ポルトガル語で「花」の意を持つフローレス島の東端に位置しています。


▲ララントゥカ の空港に到着時、歓迎される一行

遡ること16世紀の大航海時代、香辛料を求めてこの地域にやって来た、オランダやポルトガルの植民地となった歴史があり、インドネシア全体の約9割近くがイスラム教徒なのに対し、ララントゥカは8割以上カトリック教徒が占めています。
植民地時代の影響が色濃く残るこの小さな町は、諸外国から持ち込まれた宗教、国家や政治の介入によって、伝統的な信仰や文化の存続が危ぶまれたこともあったようです。そして、未だにそれらが歩み寄ったり衝突したりし続けながら、町の社会自体を作り上げているということを目の当たりにしたユディさんは、今回の作品の着想を得たと語ってくれました。

伝統的な文化や風習に、新しい技術や価値観が混ざり合う様子は、今世界中で起きていることだと考えたユディさん。グローバル化やインターネットの発達で、国境や言語を超えたコミュニケーションが容易になり、新たな価値観が複雑に交錯する今の世界に身を置く私たちと、旅を通じて新しい世界と己に対峙するペール・ギュントの姿に共通性を見出しました。

旅の出発点となったララントゥカには、共同創作アーティストたちも2週間ほど滞在して、地域住民との交流や、近隣の島にある小さな村で行われている儀式を体験。SPACからは俳優の美加理が参加しました。


▲ララントゥカでのワークショップの様子(中央:美加理)

地元で表現活動を行う人たちも参加したワークショップでは、お互いをより深く知るための話し合いが多く行われました。それぞれが住む国や地域が抱えている社会の状況などもそこで共有され、共同創作アーティストの一人で、スリランカ出身のダンサー、ヴェヌーリ・ペレラさんからは、今年4月にスリランカ国内で起きた同時爆破テロの話があったそうです。まだ記憶にも新しいこの悲惨な事件は、ヴェヌーリさんの故郷でもあるスリランカ最大の都市コロンボの歴史的なカトリック教会も標的となりました。


▲中央で立っているのがヴェヌーリさん

多種多様な民族や宗教から成り、近年の急速な経済成長によってさらに複雑さを増すアジア。この状況を征しようと暴力的な動きが各地で発生し、ニュースでも毎日のように目にするようになりました。

ワークショップでこうした背景を共有していくうちに、国籍やこれまで生きてきた背景は皆違っていても、問題の核は全て同じなのではないか、という結論に至ったそうです。

ララントゥカでの最終日、海を背景とした野外ステージで成果発表が行われました。その海岸はかつての王宮と、島に流れ着いたマリア像が祀られている教会が隣りあい、島の歴史と文化を象徴する場所。普段はプロの俳優による演劇と出会う機会のない現地住民も多く来場し、最後まで集中して観ていたそうです。


▲地元のアーティストも参加したワークインプログレス上演会の稽古

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このように、ララントゥカからはじまった創作の旅を通じて、個人の経験や社会が抱える様々な状況を見つめ直し、19世紀ヨーロッパで書かれたイプセンの『ペール・ギュント』へと織り込みながら、新たな物語を紡ぎ出していきます。静岡の稽古場でも、たくさんの話し合いが行われ、ララントゥカ での様子を収めた映像を観たりアイデアを共有しながら、日々シーンが作り上げられています。

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SPAC秋→春のシーズン2019-2020 #2
『ペール・ギュントたち〜わくらばの夢〜』
2019年11月9日(土)、10日(日)、16日(土)、17日(日)
各日14:00開演
会場:静岡芸術劇場

原作: ヘンリック・イプセン
訳:毛利三彌

上演台本・演出: ユディ・タジュディン

共同創作:
ウゴラン・プラサド(ドラマトゥルク)
川口隆夫(パフォーマー/ダンサー/振付家)
ヴェヌーリ・ペレラ(振付家/ダンサー)
美加理(俳優)
ムハマッド・ヌル・コマルディン(俳優/ダンサー)
森永泰弘(サウンドアーティスト/作曲家)
グエン・マン・フン(ヴィジュアル・アーティスト)
アルシタ・イスワルダニ(俳優/パフォーマー)
グナワン・マルヤント(俳優/作家)

大内米治、佐藤ゆず、舘野百代、牧山祐大、
宮城嶋遥加、若宮羊市(俳優〔SPAC〕)

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2019年10月22日

『ペール・ギュントたち』稽古場ブログ#1

静岡での稽古がはじまった『ペール・ギュントたち~わくらばの夢~』

この作品は、インドネシアの演出家ユディ・タジュディさんによる指揮のもと、インドネシアをはじめスリランカ、ベトナム、そして日本から様々な分野で活躍するアーティストたちが集まり、インドネシア〜東京〜静岡と旅をしながら創作されています。
旅先で出会った人々やその土地の文化、歴史的背景などからインスピレーションを受け、共同創作アーティストたちの個人的な経験や、彼らが住む国や地域が抱える社会的問題なども盛り込みながら、イプセンの『ペール・ギュント』を読み解いていきます。


▲ユディ・タジュディンさん(左)

ということで、まずはこの作品の原作『ペール・ギュント』と、作者のヘンリック・イプセンについて簡単にご紹介していきましょう!

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『ペール・ギュント』は、1867年にノルウェーの劇作家ヘンリック・イプセンによって書かれた戯曲で、グリーク作曲のクラシック音楽も有名です。

自由奔放な主人公ペール・ギュントは、田舎の落ちぶれた豪農の息子で、母オーセと暮らしています。日頃から「皇帝になる!」と大口を叩き、人々からは変な目で見られているペールは、元恋人のイングリが結婚すると聞いて、結婚式に乗り込み花嫁を連れ出します。が、すぐにイングリを捨ててしまいます。
そのあと、村を飛び出したペールが出会ったのはトロルの一族。トロルとはノルウェーの伝承に登場する妖精で、ペールはトロルの王ドヴレの娘と結婚寸前まで行くのですが、逃げ出してしまいます。そして、ソールヴェイという移住民の娘と出会い恋に落ちるのですが、彼女をおいて放浪の旅へと出かけてしまいます。

そんなペールが辿り着いたのはモロッコの西海岸。立派な装いで数人の紳士とテーブルを囲んで議論を交わしています。そのあとも、砂漠でアラブ部族の首長の娘アニトラと出会ったり、エジプト・カイロの精神病院で「皇帝」と呼ばれたりと、次から次へと冒険は展開していきます。

年老いて死を意識しはじめたペールは、故郷へと戻りボタン職人と出会います。ボタン職人は、天国に行くような大の善人でも、地獄に行くような大悪党でもない、平凡な人間をボタンに溶かし込む職人で、ペールは「ボタンになるなんてゴメンだ!」と善悪問わず、自分が行ってきたことを証明しようとしますが、誰も証人になってくれません。そしてペールは、自身の帰りを待ち続けたソールヴェイの子守唄を聴きながら、最期を迎えます。
 
この戯曲が書かれた1867年当時、ノルウェーはスウェーデン王の支配下にあり発展途上の農業国でした。
ヴァイキングを祖先に持つ彼らは、ペールのように成功を夢見て祖国を出た人たちもたくさんいたようで、イプセン自身もノルウェーを嫌い、長く外国で生活していました。
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▲ヘンリック・イプセン

イプセンは、シェイクスピア以降、世界で最も上演されている劇作家と言われ、「近代演劇の父」とも呼ばれています。代表作は他に、『人形の家』『ヘッダ・ガブラー』、2018年の「ふじのくに⇄せかい演劇祭」でも上演された『民衆の敵』があり、当時の社会や国家に対する批判や、新たな時代の女性像を提示するなど、問題作をたくさん世に送り出してきました。ちなみに『ペール・ギュント』は、SPACでも2010年と2012年に宮城聰による演出で上演されています。
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▲宮城聰演出『ペール・ギュント』(写真:橋本武彦)

そして、『ペール・ギュントたち~わくらばの夢~』では19世紀ヨーロッパから現代アジア、ひいては世界各地で起こっている様々な問題へと文脈を置き換えていきます。

次のブログでは、演出のユディさんがなぜこの作品を構想したのか、創作の旅がはじまったインドネシアの島、ララントゥカでどのような出会いがあったのかを紹介していきます。お楽しみに!

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SPAC秋→春のシーズン2019-2020 #2
『ペール・ギュントたち〜わくらばの夢〜』
2019年11月9日(土)、10日(日)、16日(土)、17日(日)
各日14:00開演
会場:静岡芸術劇場

原作: ヘンリック・イプセン
訳:毛利三彌

上演台本・演出: ユディ・タジュディン

共同創作:
ウゴラン・プラサド(ドラマトゥルク)
川口隆夫(パフォーマー/ダンサー/振付家)
ヴェヌーリ・ペレラ(振付家/ダンサー)
美加理(俳優)
ムハマッド・ヌル・コマルディン(俳優/ダンサー)
森永泰弘(サウンドアーティスト/作曲家)
グエン・マン・フン(ヴィジュアル・アーティスト)
アルシタ・イスワルダニ(俳優/パフォーマー)
グナワン・マルヤント(俳優/作家)

大内米治、佐藤ゆず、舘野百代、牧山祐大、
宮城嶋遥加、若宮羊市(俳優〔SPAC〕)

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『寿歌』2019ブログ vol 3. 「衣裳デザイナー駒井友美子に迫る!」

カテゴリー: 『寿歌』2019

こんばんは!毎度おなじみ、『寿歌(ほぎうた)』担当の制作部の入江恭平です。

第三回目のブログは、一回目に続き「ラジオ番組テイスト」で、私、入江がパーソナリティーとなり、『寿歌』をすでにご覧いただいた方にも、そしてこれからという方にも作品の魅力をお伝えしていきます。

[第一回目のラジオ放送ブログは、こちらからチェック!→『寿歌』2019ブログ〜vol.1帰ってくる『寿歌』〜
 
今回は、『寿歌』の衣裳デザインを担当している創作・技術部、衣裳班の駒井友美子さんに、再演に向けてのプランや意気込みを聞いちゃいました!

それでは、『寿歌』ブログチャンネルまもなく放送開始です!!
 
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▲左から入江、駒井
 
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午後6時になりました。こんばんは!制作部の入江恭平です。
急に涼しくなりましたね。みなさん、この秋はどう過されますか?私にとって、秋といえば「芸術」。『寿歌』を観て、特別な秋にしてみませんか?

というわけで早速、今回のゲストをお呼びいたしましょう。
『寿歌』の衣裳担当、駒井友美子さんです!(パチパチパチ)

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こんばんは。駒井友美子です、よろしくお願いします。ラジオの設定なんですね(笑)。

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そうなんです。『寿歌』の世界にあるラジオ局から配信しているという設定です(笑)。

今回は、衣裳の視点から作品の魅力をお伝えできたらと思います。どうぞよろしくお願いします。

さて駒井さん、再演にあたり、衣裳を一部変更しましたね。
初演(2018年3月、愛知県芸術劇場小ホールにて上演)から再演でどう変わったのか、衣裳のプランニングについてお聞かせください。

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そうですね。まず初演の際には、自分の中で『寿歌』の具体的な場所や時代のイメージがなかなかつかめなくて、漠然としていました。

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確かに、この作品って捉えどころがないですよね。

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また当初は、実際に小道具を使う予定で進んでいたんですけど、稽古が進んでいく中で、演出の宮城さん・美術のカミイケさんより「小道具はない方がいい」という話が出てきて、もっと手がかりが無くなってしまい(笑)。

人物のイメージとしては、キョウコとヤスオは、ゲサクの頭の中にいる人たちで、その世界もゲサクが考え出したもの。ゲサクは現実で、二人はゲサクの想像の世界の中の人。キョウコはゲサクよりも非現実的な存在で、ヤスオよりは現実的な存在なのかなって考えたんです。

それで最終的にゲサクの衣裳の色を舞台セットと同じ、黒色にしたのですが、そこまでたどり着くのにけっこう苦労して…

 
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▲『寿歌』の舞台セット。(「ふじのくに⇄せかい演劇祭2018」舞台芸術公園 野外劇場「有度」にて)©︎平尾正志
 
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あの∞の型の舞台セットですよね。

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2017年の11月辺りには舞台美術のプランが上がっていたのですが、衣裳は本当にギリギリまでアイデアがまとまらなくて。
モヤモヤしている時に、作業場に舞台美術を見に行ったら、はじめは塗装されていない木材で組まれていた舞台セットが、全て黒色に塗られていて。それが印象的でした。

 
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そこからインスピレーションを得たと?

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そうですね。「ゲサクは無意識に歩いていそうで、実は確信犯だったのでは?全部操っているのかな?」と考えるようになり、それって黒子的な存在ですよね。だから「黒だ!」って。ゲサクが自分であの物語を書いて自分で操作するみたいな。舞台セットが黒くなっていなかったら全くちがう衣裳になっていたかもしれないですね。

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▲ゲサクの衣裳。左:ビフォー©平尾正志、右:アフター(今回)©︎三浦興一

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でも「黒だ!」となってからの発想の飛躍がすごいですね!さすがアーティストという感じがします。ギリギリまでアイデアがまとまらないことは、他の作品でもあるんですか?

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あまりないですね。この作品は本当につかみどころがないので、今もわからないことだらけです(笑)。
特にキョウコの衣裳は自分にとって難しくて、上演を重ねるごとにマイナーチェンジを繰り返してきましたが、再演に向けて改めて作り直しました。

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初演ではキョウコは、真っ赤な衣裳だったんですよね?そういえば、衣裳をデザイン・製作していく際に「俳優たちの普段の服の好みからも発想を得る」とお聞きしましたが、前回のキョウコの時もそうだったんですか?

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▲キョウコの衣裳。左:ビフォー©平尾正志、右:アフター(今回)©︎三浦興一
 
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それがまた難しかったんですよ…。
普段のたきいさんは大人っぽいイメージがあるのですが、キョウコはもっと幼い感じで。さらに他の作品では、妖艶な役が多く、たきいさんがキョウコのような役を演じているのをあまり見たことがなくて。普段のイメージはあえてあまり参考にしないようにしました。

なので、「真っ赤な嘘」から取り、色を赤にしました。こどもらしいイメージもありますし。
(編集注:キョウコは「虚構」のもじりから、ゲサクは「戯作」から名付けられている。)

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今回、宮城さんから「1945年の戦後」というコンセプトが付加されていました。衣裳としては、それをどう反映させたのでしょうか?

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その設定が伝わるように、より具体的にしました。ヤスオならもっとゴミから出てきたように、キョウコはボロボロの服にして、「何日も荒野をさまよってる」みたいなリアリティーを出せればと思いました。

ですが、キョウコの服は確かにボロボロだけど、リアルになりすぎず、ゲサクの頭の中の住人という要素は残したかったんです。
表面上は具体的にはしましたが、物語が進むにつれて、そういった考えが見えてきたらなと。

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▲キョウコの衣裳の生地に汚しをつける様子。
 
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物語が進む中で、「あぁそういうことかな」と気づくことがあるのは面白いですよね。
ヤスオは「もっとゴミから出てきたように」とのことですが、もう少し聞かせてもらえますか?

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▲ヤスオの衣裳。左:ビフォー©羽鳥直志、右:アフター(今回)©︎三浦興一

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ヤスオは……「ゴミの妖精」みたいな。

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ゴミの妖精?!

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冒頭では神様っぽいけど“ゴミの中に住んでいる人”のようにもしたかったんです。初演も今回も色や素材はほぼ同じなんですが、形や素材の加工で今回はさらに“ゴミ感”を出したいと考えていました。

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確かに履物が使い古したようなサンダルなんですよね(笑)。
そういえばヤスオの衣裳の色が白なのは、何か理由が?

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初演の稽古の時に宮城さんから「ヤスオは感情がないんだ」と聞いて、ロボットのような無機質なイメージがわいたので白にしました。だけど、ゲサクとキョウコに仲間入りした後は、打ち解けて、徐々にハッチャケていくんですよね、2幕ぐらいで普通の人間なのかなと思えてきますし(笑)。

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全く神様という感じがしませんよね(笑)
最後に、お客さんにメッセージをお願いします!

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メッセージか……何でしょう。
“3人の登場人物があてのない旅をする”という一見シンプルな話ですが、観るたびに毎回違うことを考えさせられる作品だなと思います。私自身も戯曲を何回読んでも、まだ腑に落ちないことだらけ。再演の度に衣裳に手を加え続けているのもそのせいかもしれません。モヤモヤしながら、ぜひいろんな視点から楽しんで頂けたらと思います。

hogiuta_iri
ありがとうございます!
SPAC版『寿歌』の再演は、10月11日(金)から始まり、11月7日(木)まで上演されます。
残るチャンスはあと2回!10/23(水)18:00〜のげきとも公演(一般販売あり)と10/26(土)14:00〜の一般公演です!
これから観劇される方は、ぜひ、衣裳や美術、そしてその他の要素にも注目しながら見てくださいね!
すでに観劇された方は、もう一回観劇するのもアリですよ!
それでは本日のゲスト、『寿歌』の衣裳担当、駒井友美子さんでしたー!

 
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▲衣裳製作室にて。

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最後にこの曲でお別れしましょう。
『寿歌』が発表された1979年リリースのヒット曲。サザンオールスターズで『いとしのエリー』♪

 
(執筆:入江恭平、編集:雪岡純、坂本彩子)

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SPAC秋→春のシーズン2019-2020 #1
寿歌ほぎうた
2019年10月12日(土)、13日(日)、19日(土)、20日(日)、26日(土)
各日14:00開演
会場:静岡芸術劇場
演出:宮城聰
作:北村想
美術:カミイケタクヤ
出演:奥野晃士、春日井一平、たきいみき

\チケット販売中/
詳細はこちら
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2019年10月6日

スパカンファン-プラス2019日記#5 ダンス経験者向けダンス体験ワークショップ開催の様子

9月1日、舞台芸術公園BOXシアターにて「ダンス経験者向け・ダンス体験ワークショップ」を開催しました。
今回のワークショップには東京から参加してくださった方や、スパカンファンの卒業生、はじめてSPACに来てみましたという方もいらして、本当に嬉しかったです。
まず最初はニヤカムさんのウォーミング・アップを行いました。ウォーミング・アップには木の実をとったり、水を身体にかけたりするような、アフロ・コンテンポラリーダンスならではの動作もあります。
その後、ステップの練習をしたり、小さいコンビネーションを挟んだりして、最後につなげてやってみると、なんとワンシーンが出来上がっています!
ダンス経験者向けとあって、作品のクリエーションにちかい形で、ニヤカムさんがワンシーンの振付をつけてくれるという贅沢なワークショップでした。

経験者向けダンスワークショップ
 
スパカンファン卒業生はニヤカムさんの振り付けに追いつくスピードが速い!さすが!ある卒業生は、大学で「どうしてそんなにお尻が動くの!?」と驚かれたとか、別の子は東京公演を見た子が舞台を一緒にやろうと誘ってくれたとか、そうした嬉しい話を聞く機会にもなりました。
 
<ダンス経験者向けダンス体験ワークショップの様子>

 
ポジティブな気持ちにしてくれる!心身ともに踊れる!ニヤカムさんの魅力もスパカンファン-プラスとともに、もっと頑張って発信していきます。
スパカンファン-プラスは今回の小作品をふまえつつ、これから2年間かけて新作・長編作品を創作していきます。
来年度はワーク・イン・プログレスとして発表を予定しています。
今後の活動にもぜひご注目ください!
 
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スパカンファン-プラスお問い合わせ先:yume★spac.or.jp

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2019年度 SPAC-ENFANTS-PLUS=スパカンファン-プラス
10日間の創作ワークショップ<成果発表会>
8月31日(土)12:30/14:30
舞台芸術公園 稽古場棟「BOXシアター」

振付・演出:メルラン・ニヤカム
振付アシスタント:太田垣悠
出演:静岡県の中高生9名/55歳以上のダンサー6名

詳細はこちら
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2019年10月5日

スパカンファン-プラス2019日記#4 スパカンファン-プラス成果発表会の様子

いよいよ成果発表会当日、ニヤカムさんがカメルーンの民族衣裳に身を包み、プロフィール写真の髪型で稽古場にあらわれたので、全員興味津々。
ニヤカムさん「カメルーン国旗と同じ色が入っているので、カメルーンを代表してどこかへ行くときには必ずこれを着ていく」と民族衣裳を紹介してくれて、発表会当日の緊張の中、稽古場には朝から笑顔がはじけました。
さてウォーミングアップなどを終えて、いよいよ本番。スパカンファンでは恒例の“オリオー”を行って本番に臨みます。スパカンファン公演を見たことある方は、BOXシアターから聞こえてくる「オリオー」という声を耳にした方が多いのではないでしょうか。みんなで輪になって気持ちをひとつにする工夫です。

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発表会は12:30と14:30の2回行い、総勢90名の方にご覧いただきました。
お客様に配布したパンフレットにこの小作品についてニヤカムさんの言葉が掲載されました。

 しあわせになるために年齢は関係あるのか?
 私たちにとって、しあわせとは何なのか?
 
HIO76985_(c)平尾正志

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スパカンファン-プラスとして世代をこえたダンスの可能性をさぐったことで、さまざまなシーンでそれぞれの世代の過去・現在・未来に思いを馳せることが出来るそんな小作品になったと思います。
アンケートでいただいた感想もご紹介します。

「幸せのなかにも儚さや楽しさ、力強さなどの様々な感情が感じられ、人それぞれの幸せの形を体感できました。これからどのように変化していくのか楽しみです」

「始めは意味が分からず、あっけにとられていた。理解しないでもいいのかも」

「すごく心に何かを感じました(涙)」

成果発表会ではパフォーマンス後に、ニヤカムさんとの交流タイムを行いました。アフリカンなリズムにのって、お客様と一緒に身体を動かしたり、ニヤカムさんとのかけ合いで「ヤコロ♪」「アイコロ♪」「ヤコロ♪」「アイコロ♪」「ヤヤコロヤコロ♪」「マンマコロヤ♪」とアフリカの歌を歌ったりしました。

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成果発表会にご来場くださいまして皆様ありがとうございました!
来年どのように発展するのかどうぞご期待ください。
 

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2019年度 SPAC-ENFANTS-PLUS=スパカンファン-プラス
10日間の創作ワークショップ<成果発表会>
8月31日(土)12:30/14:30
舞台芸術公園 稽古場棟「BOXシアター」

振付・演出:メルラン・ニヤカム
振付アシスタント:太田垣悠
出演:静岡県の中高生9名/55歳以上のダンサー6名

詳細はこちら
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2019年10月4日

スパカンファン-プラス2019日記#3 10日間の創作ワークショップの様子

8月22日からは舞台芸術公園BOXシアターにて創作ワークショップ。
朝、ニヤカムさんによるウォーミング・アップからはじまります。Over55が加わったことで、スピードは少しスローペースに。最年長の川本さんの、身体に無理のない動きを独自に編み出していく姿が印象的でした。

P2210590_(c)平尾正志
 
ニヤカムさんによるさまざまなワークを受け、成果発表会にのぞんだメンバー。スカーフのワークをしたり、ステップを学んだり、ときにはニヤカムさんとのコンビネーションもありました。
 
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世代をこえてワークを行うことで、出来ないと思い込んでいることに、メンバー同士がお互いに良い気付きを与えあって「出来る」になる、そんな豊かな時間が流れているように感じました。

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2019年度 SPAC-ENFANTS-PLUS=スパカンファン-プラス
10日間の創作ワークショップ<成果発表会>
8月31日(土)12:30/14:30
舞台芸術公園 稽古場棟「BOXシアター」

振付・演出:メルラン・ニヤカム
振付アシスタント:太田垣悠
出演:静岡県の中高生9名/55歳以上のダンサー6名

詳細はこちら
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2019年10月3日

スパカンファン-プラス2019日記#2 初心者向けダンス体験ワークショップ開催の様子

8月19日静岡芸術劇場の6Fリハ―サル室にて、初心者向け・ダンス体験ワークショップ「はじめてのダンスワークショップ」を開催しました。

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シアタースクール生や50代の方も参加し幅広い世代の方がいて、とってもにぎやかでアットホームな会になりました。
 
<初心者向けダンス体験ワークショップの様子>

 

全員で輪になってその場で手拍子や全身でアフリカンなリズムを取ったり、ぐるぐる歩いたり、ニヤカムさんと歌を歌いながら、いっしょに動いてみました。スカーフを使ったワークでは投げ合ったり、落ちるスカーフを息で吹いたり、落ちてくるスカーフを手にとらわれずに身体のどこかで受け取ったり、「スカーフはダンスのパートナー」とニヤカムさんがコツを教えてくれました。
最後は円になって座り、手のひらで床をたたき、リズムを取りながら、「幸せについて教えてください」とニヤカムさん。時計回りでそれぞれ喋り、「幸せは〇〇」を共有します。その様子はふしぎとアフリカの村の一風景にも見えました。

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2019年度 SPAC-ENFANTS-PLUS=スパカンファン-プラス
10日間の創作ワークショップ<成果発表会>
8月31日(土)12:30/14:30
舞台芸術公園 稽古場棟「BOXシアター」

振付・演出:メルラン・ニヤカム
振付アシスタント:太田垣悠
出演:静岡県の中高生9名/55歳以上のダンサー6名

詳細はこちら
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