3月23日に行った成果発表会・修了式をもって4期生は活動を修了しました。
今回はその稽古や本番の様子をお伝えします!
秋。
三島由紀夫の戯曲をいくつか読み、4期生は『道成寺』を上演することが決まりました。
配役が決まるまでは、ワンシーンをまずは1人で読み、その次にペアでシーンスタディを行い、徐々に作品づくりが始まりました。
▲冒頭の主人のモノローグを1人ずつ発表している様子
そして、配役が決定!
今回の『道成寺』の演出で特徴的だったのが、1つの役を複数人で演じるシーンが多かったことだと思います。
セリフを単に順番に割り振るだけでなく、声をピタリとそろえて一緒に言ったり、それぞれの言葉を少しずつ重ねることでまるで1人が言っているように見せなくてはいけなかったりと、お互いの息を合わせないといけないセリフもたくさんありました。
また、SPAC芸術総監督・宮城聰の作品ではおなじみの、ひとつの役をムーバー(動く人)とスピーカー(話す人)に分ける言動分離の演技方法も取り入れました。
同じ役のメンバーが揃わないとできないこともある中で、勉強や部活などいそがしい日々を送るアカデミー生。週1回の稽古はなかなか全員揃うことができません。
お休みの人のセリフは、同じ役の人が代わりに言うなど自分の担当以外のセリフも覚えて稽古を進めていきました。
▲演出の寺内からノーツ(稽古を見て気がついたことを言う)の時間
▲衣裳は各自の持ち寄り
▲役ごとに集まり、セリフや動きを確認する姿も見受けられました
3月18日からは静岡芸術劇場で稽古。
静岡芸術劇場の舞台に立つのは、なんと9カ月ぶり!
久しぶりの大きな空間に最初は戸惑っているようでしたが、すぐに慣れた様子。
午前はウォーミングアップとトレーニングで身体を起こし、午後からは『道成寺』の稽古。舞台美術や照明も入り、みんなの気持ちは一気に昂りました。
▲トレーニングの様子
▲稽古の様子
劇場稽古期間中、今回照明を担当したSPAC創作・技術部スタッフの小早川による照明講座が行われました。
どこから光を当てるか、光の色の違いによる感じ方の違いや効果を学びました。
この1年間アカデミー生はスタッフのお話を聞く機会がなかったので、自分が立つ舞台の照明がどういった意図で変化していくのかなど知る機会になりました。
そして3月23日、成果発表会・修了式。
当日は、SPACの関係者やアカデミー生の保護者、修了生など多くのお客様にご来場いただきました。
成果発表会では、『道成寺』を上演した他、約1年間毎週行ってきたトレーニングを実演しました。
お客さまからは、
・高校生や若い世代で、このような本格的で貴重な経験が出来る機会はあまりないと思います。もっと多くの人が参加してくれたらいいなと思いました。劇も素晴らしかったです。
・若さから生まれる底を知らないエネルギーをたくさん浴びることができ、刺激になりました。
・ここまでの成果を得る為の活動内容 講師,スタッフのみなさまの教えと支え なにより仲間たちとの関わりと努力が ここに現れて居るのを 観ていて感じました。
・日本語が持つ独自のリズム感がとても心地良かった。アカデミー生の皆さんの若いエネルギーも相まって、何とも清々しい舞台でした。
といった感想をいただきました。
修了式は、修了証書授与、アカデミー講師や宮城からの贈る言葉があり、アカデミー生ひとりひとりの挨拶で締めくくられました。
アカデミー生の挨拶より:
・演劇をこんなに本格的にやったのは初めてだったし、みんなで行った韓国が初めての外国だったし、たくさんの初めてを経験して、たくさんの素敵な人と出会うことができて本当に楽しかった。
・SPAC以外の舞台にも出てみたりもしたが、SPACってなんてあったかいんだろう、なんでこんなにあったかい場所があるんだろう、と思った。こんなにあったかくて帰ってこられる場所があってすごく幸せです。
・SPACと学校をもっと強く結びつけられないか、演劇を高校生と繋ぐことはできないか、ということをより深く考えたいと思っています。ここで学んだことを演劇に関わらずいろんなところに発展させていくことができればなという風に思っております。
アカデミー4期生は、高校生だけではなく、大学生や社会人の方も集まり、今まで以上に様々なバックグラウンドを持った人が集まりました。
また、フランスのルーアンや韓国の若者たちとの交流を行い、より世界が広がったのではないかなと思います。
アカデミーの経験をこれからの活動に生かし、それぞれの道に進んでほしいと思います。
演劇アカデミーではただいま5期生を募集しています。
SPACで演劇活動をしてみたい高校生~23歳以下の方、ご応募お待ちしております!
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(制作部・北堀瑠香)
★「SPAC演劇アカデミー」とは
「世界にはばたけ、Shizuoka youth! SPAC演劇アカデミー」は、2021年度に開校した<世界で活躍できる演劇人>を目指す若者の感性を育むことを目的とした高校生対象の1年制の演劇塾です。劇場に通いながら、SPACの創作現場の“熱”をじかに感じられる環境の中で、少数精鋭の高校生たちが切磋琢磨する--そんな場をつくります。2024年度より23歳以下のオーバーエイジ枠を設置。SPACの俳優・スタッフらによる指導のもとで演劇を学び、名作戯曲の上演に向けての稽古に取り組むと同時に、教養、小論文、英語の学習にも力を入れ、思考力・対話力を身につけていきます。詳しくはこちら
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