ブログ

2025年3月2日

アカデミー4期生 海外交流~ルーアン市立コンセルヴァトワール~

11月2日~4日、アカデミー生はフランスにあるルーアン市立コンセルヴァトワールの学生さんと交流を行いました。
ルーアンは、パリから車で1時間半ほど北西に進んだところにある都市で、ジャンヌ・ダルク磔刑の地であり、画家・モネが描いた大聖堂のある街として知られています。
ルーアン市立コンセルヴァトワールは、国から認可された地方芸術学校(CRR)で、音楽/ダンス/演劇コースを持ち、学生たちに質の高いトレーニングを提供することを使命としています。同校は公共サービスとして、プロフェッショナルコースとアマチュアコースを提供し、地域に貢献しています。毎年、約1100人の学生を受け入れ、90人の教員がサポートしています。
今回は、その中から選ばれた16名の学生さんが静岡に来てくれました。
アカデミー生との3日間の交流の様子をお伝えします!

【1日目】
今回の交流には、アカデミー4期生だけでなく修了生も何人か参加してくれましたが、最初は緊張してなかなか声をかけられない中プログラムがスタート。
まずは、みんなで車座になって、名前と好きなものを紹介しました。
みんなの好きなものを食べ物や動物などにグループ分けし、各グループの中で再び自己紹介タイム。お互いの名前当てをし、だんだん盛り上がってきました。
アカデミー生の中には英語が得意ではない人もいますが、アカデミー生同士で助け合ったり、ルーアンの学生もフォローしてくれたりしていました。

その後、ルーアンの学生による『ヘンゼルとグレーテル』をモチーフとしたパフォーマンスを鑑賞。
演劇、ダンス、音楽各コースの学生がいたので、セリフあり、踊りあり、演奏ありで見どころ満載のパフォーマンスとなっていました。
鑑賞したアカデミー生からは、「演技、ダンスがとても美しかった」、「生演奏で1音1音が繊細で素敵だった」などの感想がありました。

1日目の最後にはお互いが普段行っているトレーニングを共有。
ルーアンのトレーニングには、全員で1から順に数字を言うというものがあります。数字を言うタイミングが他の人と被ってしまったらやり直しのこのトレーニング。なかなか最後までたどりつくことができず、緊張が走る中、数字を最後まで言えた時には拍手が起こりました。

アカデミー側は普段の実技の授業で行っているトレーニングを一緒に行いました。東京で能の体験をしたルーアンの学生たちは、みな自分の足袋を履いてトレーニングに挑みました。

【2日目】
静岡芸術劇場で『イナバとナバホの白兎』を観劇しました。
開演前には、ルーアンの学生によるミニパフォーマンスが行われました。
『イナバとナバホの白兎』を鑑賞した後は、出演者の貴島豪、舘野百代に質問タイム。
ムーバー(動く人)とスピーカー(セリフをしゃべる人)が分かれていたがどう稽古をしているのか、演奏について、稽古期間など・・・ルーアンの学生からたくさんの質問があがり、今回の上演だけでなく、初演時の話などたっぷり聞くことができました。
『イナバとナバホの白兎』は、フランスの国立ケ・ブランリー美術館から委嘱されてつくられた作品。貴島からルーアンの学生さんへ「レヴィ=ストロースって知っている?」と逆質問もありました。演劇コースのみなさんはうなずいており、演劇の世界では有名だとのこと。
最後は劇場に戻り、バックステージツアーを行いました。スタッフから小道具の製作秘話を聞いたり、舞台に上がり、装置に触れたり、俳優と一緒に楽器のセッションをする学生もいました!


▲貴島、舘野との質問タイムの様子(左)、バックステージツアーの様子(右)

【3日目】
最終日は、前日に観劇した『イナバとナバホの白兎』にインスパイアされた作品をグループに分かれて創作。
どういった点が印象に残ったか伝え合い、どの要素を取り入れるかを考え、テキストや小道具を一緒につくり、稽古をしていました。
英語で伝えられない時もスマートフォンに頼らず身振り手振りで伝えている姿も見受けられ、言葉以外の方法でも自分の考えを伝える方法があることに気がついたのではないかと思います。

▲創作過程

そして最後は各グループ発表を行いました。
仮面を使ったり、ムーバーとスピーカーに分かれたり、また音楽コースの生徒による楽器の演奏があったりと各グループ素晴らしいパフォーマンスを披露してくれました。
これはアカデミー生だけではつくれなかったパフォーマンスだと思います。

この3日間の交流で演劇に対する考え方の違いを知ることができ、自分に足りないものを知る機会になったと同時に、英語やボディーランゲージでコミュニケーションを取り、伝わることで自信にも繋がったのではないかと思います。

(制作部・北堀瑠香)

★「SPAC演劇アカデミー」とは
「世界にはばたけ、Shizuoka youth! SPAC演劇アカデミー」は、2021年度に開校した<世界で活躍できる演劇人>を目指す若者の感性を育むことを目的とした高校生対象の1年制の演劇塾です。劇場に通いながら、SPACの創作現場の“熱”をじかに感じられる環境の中で、少数精鋭の高校生たちが切磋琢磨する--そんな場をつくります。2024年度より23歳以下のオーバーエイジ枠を設置。SPACの俳優・スタッフらによる指導のもとで演劇を学び、名作戯曲の上演に向けての稽古に取り組むと同時に、教養、小論文、英語の学習にも力を入れ、思考力・対話力を身につけていきます。詳しくはこちら

★これまでのブログはこちら