SPAC文芸部 横山義志
2014/06/30
仕込み。石切場は日陰になるものがほとんどなく、昼間は40度近くなってとても作業は出来ない。そのため、早朝から作業を始め、お昼から休憩し、16時から再開して夜中まで、というのが基本的なスケジュールになる。
朝4:30起床。外は真っ暗。薄明の中、5:30に車が迎えに来る。緑のなかを抜けていくうちに、日が差してくる。
車で石切場に入っていくと、前を行く大きなコンテナが、劇場へと向かう坂の途中で立ち止まる。車を止めると、コンテナの運転手が降りてきて、「劇場というのはここでいいのか?」と聞く。たしかにはじめて来ると、まさかこんなところに劇場があるとは思えないだろう。
6:00に石切場に到着。舞台のあたりはまだ影に包まれている。暑い暑いと聞いてTシャツで来たら、風もあって、かなり寒い。「村(ヴィラージュ)」と呼ばれる楽屋群でコーヒーを飲み、作業に入る。
吹きっさらしで、あるものといえば石くらい。ここを劇場にするというのは並大抵のことではない。現地スタッフとの打ち合わせでは開口一番「必要なものがあったら早めに言ってくれ。ここでは物がすぐには手に入らないから」とのこと。たしかに一番近いアヴィニョンの町まで30分かかるし、石切場の回りには石屋さんくらいしかない。
コンテナからどんどん大道具小道具を降ろしていく。舞台美術の木津潤平さんもすぐに軍手をはめてコンテナの中に入っていく。それが終わると、カナヅチを持ってトンテンカン。木津さんはふだんは建築家で建築事務所をやっているが、「最近は現場で作業し出すと、危ないからやめてください、なんて言われたりするから、こういう機会があると楽しいんだよね」などと言って、どんどん手すりを取り付けたりしている。
午前1時過ぎまで作業して、退出。
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公演日程:7月7日~19日 会場:ブルボン石切場 ※詳細はこちら