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2015年3月3日

【SPAC県民劇団】劇団MUSES・近江木の実インタビュー

2013年度に結成した「劇団MUSES」。
大入り満員の中、旗上げ公演『赤鬼』を成功させました。
さあ、今年はどんな公演になるのでしょうか?
『Right Eye』本番を間近に控えた近江木の実さん(劇団MUSES代表)にインタビューしました。

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――「劇団MUSES」を率いて2年目を迎えられましたが、改めてSPAC県民劇団に応募されたきっかけ、動機を教えてください。
県内各地域のいろいろな人との出会いがあって、新しい創造ができる。一年目がとても楽しかったんですね。作品の中身に関しても、手応えがあった、成果が出たというか。もう一度挑戦してさらに刺激を得たい、自分の演劇活動のプラスにしたい、必ずプラスになると思ったものですからね。なので2年目続けてやらせていただきたいと思いました。

――昨年は『赤鬼』、今年は『Right Eye』ですが、野田秀樹さんの作品を選ぶ理由は何でしょうか?
単純に僕、好きなんですよね(笑)。今までいろいろなお芝居を観たのですが、やはり野田さんのお芝居は自分の性に合っているというのもあります。どうして好きかというと、一番演劇的だと思うんですよね、演劇ならではの特徴、特色というのが野田さんの舞台に一番詰め込まれている、という風に思います。なのでそれに挑戦して、演劇人としてその演劇的なものを身につけたい、体験したいというのはありますね。
1998年にNODA・MAP番外公演で上演された『Right Eye』は、少人数でいろいろな創意工夫をして想像力を刺激するような作り方をしていました。道具がごてごてしているとか、大きな舞台でというお芝居ではないんですが、そこにこそ演劇の面白さや手作りの面白さがあり、想像力をかきたてる。それは『赤鬼』もそうだし、『Right Eye』もそういう風に創られている。それが僕らアマチュアも、親しみやすくできるというか、まあお金の問題とかを含めて(笑)、やりやすいと思います。でもそれなりに難しいですけどね、やりだせば(笑)。

――野田秀樹さんの演出では3人で上演されたお芝居ですね。今回どんな演出を試みるつもりですか?
3人での上演は野田さんの挑戦だったと思うし、台本自体はやっぱり大人数でやるにふさわしい芝居ではあるんですね。役はたくさんあって、ほんとに細かい役を入れれば30くらいの役があるんですね。僕らは10数人でやるけれども、それでも足りない(笑)。一人何役かやることで、3人での上演と同じような体験はたぶんできる。しかも見栄え的にはやはり大人数いるので、その戯曲にあったような形の人数の使い方、例えば花火のシーンで人ごみとかになった場合に、僕らは人ごみとかを作れるわけですね。だからこそ、より戯曲に近い形の場面づくりが、書かれている通りのことがやれると思うんですよ。戯曲の持っているものをストレートに出すとこうなりますよ、という風にやりたいと思います。

――近江さんの企画に賛同して集まったメンバーで、「劇団MUSES」が結成されたわけですが、浜松で主宰されている劇団「M-planet」とはどんな違いがありますか?戸惑いや困った点、逆に魅力に感じる部分について教えてください。
戸惑った点、困った点というのはそんなにないです。むしろいい点の方が多いので!ただ、初めて会う人が多いので、どんな人でどんなタイプでというのを把握するのに少し時間がかかります。県民劇団は、劇団とはいえ一種のプロデュース的な公演なので、それぞれが自分の所属劇団があったりして公演をかかえながら参加しているということがあって、全員がMUSESの方にそろうということがなかなか難しい。だから協力していくんですけど、ひとつの芝居を創るのに期間が長くなりますね。劇団MUSESの活動は一年で一本ですけれど、これでちょうどいいくらいですね。半年で一本やるというのはとても同じメンバーではできないですよね。
だからこそ、準備期間がじっくりとれて、考える時間がたっぷりありますよね。いずれにしても時間には追われるんですけど(笑)、自分の中でいろいろ考えたり温めたりする時間はけっこうあります。だから逆に考え過ぎちゃうというか、どんどんやっていかないといけないのに、あーでもないこーでもないとか、途中で変えたくなってしまったり(笑)。考える間がある、そういう利点といっていいのかな、じっくり構えられるというのが魅力でもありますね。

――2年目の挑戦となりますが、去年と比べて何か変化はありましたか?
去年とメンバーが半分以上替わっているのですが、今回の方が年齢層が高いんですよ。昨年は、若い人から年配の方までわりと均等だったんですけど、今回は年配の方が多くて。みんな何も言わなくてもしっかりやってくれますが、ただ統一していくときにいろいろな意見が出てくるものだから、どう統一するか、どちらの意見をとるかという悩みはありますね。喧嘩にならないようにもっていくのが、ちょっと苦労しますね(笑)。
でもすごく個性的かつそれぞれのキャリアがあって経験を積んできた方が多いので、やはり助かりますよね、助かる部分が多い。僕が稽古場に来れないときでも、出演者の滝浪さんを中心に、ちゃんとスタッフワークなども進めてもらっています。

――最後に公演まで残りわずかになりましたが、意気込みを聞かせてください。
寝ずに頑張る!(笑)
最近はあまり寝ていないです…。私の場合家が浜松で遠いのでなかなか通うのが大変ですね。僕の方がもっとしっかりしてばんばんやっていければよいのですが、まあ自分の力量もあるもんだから、これですよってところで止まるんですけども。時間との戦いというか、これから本番まで個人練習などもどこまでやれるかっていう気がかりな点も、ちょっとだけありますよね。

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謙虚な語り口ながらも、作品について熱く語ってくださいました。
経験豊富な劇団員たちに対して「助かる」という言葉を何度も仰る近江さん。
2年目を迎え、劇団員との信頼関係も感じさせられます。
劇団MUSESが織りなすアンサンブル、ご期待ください!

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SPAC県民劇団 劇団MUSES
『Right Eye』
日時:2015年3月7日(土)13:30/19:00開演、8日(日)13:30/17:00開演
会場:舞台芸術公園 稽古場棟「BOXシアター」
http://spac.or.jp/kenmin_201503.html
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