1月25日(日)、3週間に渡る公演期間の中日を過ぎた『走れメロス』の終演後、高校生を対象とした劇場ワークショップが行われました。
これは高校生が舞台を観劇し、終演直後の劇場で、プロのスタッフから直接なんでも聞けるという機会です。
昨年の秋のシーズン『ハムレット』『ドン・キホーテ』から実施され、好評を博しているこの企画、今回は富士東高校のみなさんが参加してくれました。昨年の
県高校演劇研究大会で三島由紀夫の『綾の鼓』を上演した高校ですが、部員の演劇に対する意識が非常に高いことが今回のワークショップでも感じることができ
ました。
終演後、お客さまが出た後の劇場内に再び戻り、舞台監督からSPAC、静岡芸術劇場についての説明を受けます。観客も俳優もいないがらんどうの劇場は、つ
い先ほどまでの熱気の余韻を残しながら、どこか空虚な空気を漂わせています。
そんな劇場の舞台に恐る恐る上がり、『走れメロス』の「仕掛け」を見ていきます。
まずは、今回の作品中、天井から降り続けている”なにか”について。その”なに
か”とは何でしょうか??
(“なにか”の正体はここでは明かせられません。公演を観てのお楽しみ!)。
実際にその”なにか”を確かめてもらったところで、次はそれを魅せる照明の妙を、デザイナーとオペレーターの2人から解説。掛け声ひとつで次々と切り換え
ながら、実際の部活動においても生かせるテクニックや考え方を伝授しました。
音響スタッフからも、限られた機材でいかにイメージ通りの効果を出すのかアドバイス。
最後には質問コーナーです。
「舞台美術の材質はなにか?」「床板の黒と白の配置はどう決めた?」「なぜ女優3人で演じたのか?」「あのシーンの照明は何を表現していたのか?」と活発
に質問の手が挙がり、SPACとしてもたいへん刺激を受けたひとときでした。
飛び入り参加した文芸部の大岡淳をはじめ、SPACにも高校演劇部からプロになったメンバーは大勢います。
「演劇は人間のすべての面を含んでいる」とは舞台監督の言葉です。
高校生たちにも、演劇の深さ、広さからよりいっそうの力を得て、静岡を盛り上げていってほしいと思います。