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2015年7月8日

『マハーバーラタ』 モスクワ日記(6)

SPAC文芸部 横山義志
2015年6月30日

初日が明けたので、今日はちょっと遅めの10時劇場集合。俳優は13時のトレーニングから。リハーサル室がちょっと小さめなので、小さめの動きで訓練。
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国営放送が再びニュースで稽古の様子を取材。

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開演前のメイク室。

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本番二日目。当日券を求める方々。

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初日には海のものとも山のものとも知れない作品なので、大笑いするお客さんと戸惑っているお客さん、という比較的大味な反応だったが、今日は昨日より落ち着いた客席で、集中して物語に着いてきてくれている感じ。ギャグにも爆笑せず、クスクス笑って次の場面の演技もじっくり見てくれる。ずいぶん反応が違うものだ。

宮城さんの作品がモスクワに来るのは、これが二回目。前回は『メデイア』で、2001年に劇団ク・ナウカとして、メイエルホリド・シアターセンターでの公演だった。実はク・ナウカという名前はロシア語の「科学へк науке」から来ていて、ロシアの演出家メイエルホリド(1874~1940)の「ビオメハニカ(バイオメカニックス、生体力学のロシア語読み)」と呼ばれるメソッドとも関係がある。メイエルホリドは歌舞伎を含む東洋の様式的な演劇に影響を受け、「日本のスパイ」との嫌疑をかけられて粛清された。つまりこの名前は、ロシア経由で日本の伝統演劇に向かう、というちょっと複雑なアプローチを示していた。だが、この『マハーバーラタ』でも、パーカッションが刻むテンポのスピード感とユーモアで、伝統演劇でないということはきちんと伝わっているようだ。

最後の一音が鳴り終わると同時に、競い合うように「ブラヴォー」の声。演劇祭の関係者からも、これだけ盛り上がるのは久々だと聞いた。

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早速ロシア第1チャンネルがニュースで三分半にわたって取り上げてくれた。大高さん、宮城さんのインタビューもたっぷり使ってくれている。
http://www.1tv.ru/news/culture/286911

東洋との縁も深いお国柄なので、オリエンタリズムを越えた評価がなされるきっかけになればよいのだが。