みなさん、こんにちは!
SPAC俳優の永井健二です。
今日は、先日に引き続き、「アウトリーチ活動」のひとつを、新たに紹介します。
今日ご紹介するのは、最近行ってきた、2つの小学校での活動です。
最初は、森町立三倉小学校での「演劇指導」。
こちらの学校で指導するのは、今年が3年目です。
「袋井・森地区 音楽科研究発表会」という音楽発表会が、
毎秋、森町のミキホールで開催されており、
通常は、袋井・森地区の各小学校の4年生が、合唱や合奏を披露しています。
しかし、三倉小学校は、全校児童が20名に満たない小規模校のため、
毎年、4年生だけでなく、全校児童でこの発表会に臨んでいます。
とは言え、全校児童で臨んでも、他校に対し、数やパワーでは勝負しづらいので、
地区に伝わる民話を題材に、お芝居と合唱を交えた「音楽劇」を創り上げ、
発表会でその成果を披露しています。
音楽発表会において異彩を放つ、その独創性あふれる「音楽劇」の、
「お芝居部分のレベルアップを図りたい」、という狙いで、
SPACの俳優に声がかかり、3年前から僕が講師として招かれています。
毎年、3回の訪問(各回100分)を通じ、
児童たちの表現力を高めるための、声と身体に関するワークショップだけでなく、
実際のパフォーマンスに対するアドバイスなど、演出的なこともおこなっています。
今年の演目は「庄五郎とたぬき」。
炭焼き小屋に住む庄五郎が、いたずら狸を懲らしめる……といった内容。
児童に紙筒を持たせ、それを合掌造りの屋根のように組み合わせることで、
炭焼き小屋の屋根を表現できたらと思い、前回の訪問時に先生方に提案したところ、
そのアイデアを上手く取り入れてくださり、素敵な演出に仕上げていました。
(さすが3年目。先生方の演出力もアップしている!)
それでも、まだ上手くいかない所もあったので、
合唱部分と演劇部分が交互になっている構成の、そのつなぎ部の流れに手を加えたり、
立ち位置や動き、演出面など、多岐に渡ってアドバイスいたしました。
子どもたちの本番は9月30日(水)。
何とか駆け付けられそうなので、見届けたいと思っています。
ちなみに、学校関係者でもご存知ない方が多いのですが、
文化庁の「文化芸術による子供の育成事業」なる助成制度がありまして、
その申請を学校側がおこない、審査が通れば、芸術家が派遣される仕組みになっています。
三倉小学校でのSPACの指導も、この制度を利用したものです。
もう一校は、浜松市立西小学校での「身体表現ワークショップ」。
学区内にある「鴨江アートセンター」に、
西小学校とSPACの、橋渡し的役目を果たしていただき実現した、
3年生2クラスを対象とした、身体表現に関するワークショップ、
「目に見えないモノを感じるチカラ、伝えるチカラ」。
三倉小学校と異なり、何か具体的なパフォーマンスのための指導ではなく、
「児童たちの表現力を伸ばしたい」という要望にお応えしての、
単発(100分)のワークショップでした。
いきなり初対面の人間に「何かを表現しよう!」と言われても、児童は戸惑うわけで、
肩慣らし的に、少しずつ少しずつ、表現の要素を加えていくような内容で、
2人一組で向かい合っておこなう「鏡」や、
普通に歩いているところに、「音を立てないように」とか、「熱い砂漠の上」など、
様々な要素を加えて、それを表現させながら歩く「歩行」など、
おそらく児童たちは、「いろんなゲームをして楽しかった!」という感想の、
ゲームのようなワークショップ。
写真は、「エア長縄跳び」のひとこま。
西小学校は、3年生が対象という事で、
収拾がつかなくなるかもと思いましたが、杞憂に終わりました。
元気の良さを、上手くゲームへの集中に替え、楽しんでもらえた様子でした。
校長先生をはじめとした先生方にも喜んでいただけたようで、安堵。
子どもの社会では、勉強や運動、生活態度、家庭環境などを元に、
知らず知らずのうちに様々な優劣の関係が生まれやすいと思うのですが、
「表現」とか「演じる」という分野に関しては、
正解が無い分、優劣も生まれにくいのが良いところ。
普段あまり目立たないような存在の児童が、思わぬ演技心を見せたり、
賑やかな児童が、身体へのずば抜けた集中力を感じさせたりと、
小学校での指導は驚きの連続で、何度行っても飽きません。
SPACでは、各学校・各学年に合わせた、このような講師派遣もおこなっています。
なお、11月にも、僕は掛川市立和田岡小学校で、
木内琴子も藤枝明誠高等学校で、指導をおこなう予定です。