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2016年5月23日

イナバとナバホの白兎/パリ日記(1)

2016年5月21日(土)
SPAC文芸部 横山義志

『イナバとナバホの白兎』はパリの国立ケ・ブランリー美術館開館10周年記念のために委嘱された作品。思えばフランスの国立美術館から日本の劇団がこういった機会に作品の制作を依頼されるという例はなかったのではないか。同美術館にあるクロード・レヴィ=ストロース劇場のこけら落としで選ばれたのが宮城聰演出『マハーバーラタ』だった。『マハーバーラタ』は2013年にも再演された。その際、ステファヌ・マルタン館長から、「これまで上演した作品のなかで、「異文化の出会い」という当美術館のコンセプトに最もふさわしい作品だった。開館10周年となる2016年には、レヴィ=ストロース劇場で滞在制作をしていただき、ぜひ当美術館のための新作を作ってほしい」とのお話があった。まだア ヴィニョン演劇祭に招聘していただく前だったので、かなり思い切ったご提案だったと思う。この新作を10周年記念のメインイベントにしたいという。かなりのプレッシャーでもある。

それから紆余曲折あって、劇場の名前にもなっているフランスの人類学者クロード・レヴィ=ストロースの仮説にもとづき、「イナバの白兎」とアメリカのナバホ族の神話をもとにした作品を作ることになった。2013年に同劇場で『マハーバーラタ』を上演した際に、ダマヤンティ姫が夫の焼いた肉を味見することで夫をふたたび見出すクライマックスを演じるために、美加理さんがレヴィ=ストロース『生のものと火を通したもの』を読んでいたのを思い出す。

駿府城公園での『イナバとナバホの白兎』公演は全日満席で無事に終了。さらに稽古をしてブラッシュアップし、なんとか荷造りをして、渡仏の途へ。

午前5時静岡発、バスで東京に向かう。午前11時の便で、羽田空港からパリへ。12時間のフライト。

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フランス国立ケ・ブランリー美術館開館10周年記念委嘱作品
『イナバとナバホの白兎』
6/9(木)~19(日) ケ・ブランリー美術館クロード・レヴィ=ストロース劇場
◆公演の詳細はこちら
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