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2016年9月22日

【『高き彼物(かのもの)』への道 4歩目】出演者インタビュー第2弾・武石守正

『高き彼物』出演者インタビューの2人目は、徳永光太郎役の武石守正さんです。
久しぶりに現代戯曲に向き合っているという武石さん。稽古の様子も詳しく語られています。

-今回の作品『高き彼物』という戯曲を読んで、どういう印象を抱いたかお聞かせください。

原作が100年以内に書かれた戯曲を読むのが久しぶりということもあって、最初に抱いた印象は「読みやすい」でした。いつもは戯曲を一読しただけでは理解できなくて、何度も繰り返し読むからかなりエネルギーを使いますが、この戯曲は関係や言葉がシンプルになっているから、物語には入っていきやすいです。ですが、演じるとなるとシンプルさやわかりやすさゆえの難しさがあるかなと思います。

-その難しさとは異なるかと思いますが、この戯曲の特徴として遠州弁が使われています。それについてはいかがでしょうか。

静岡に住んで16年になりますが、わかっているようでわかっていなかったことがわかりました。イントネーションや意味はわからなくてはいけないと思いますが、遠州弁にあまり慣れすぎないほうがいい部分もあると思います。今は苦労しているところもありますけど、いい距離感を見つけられたらと考えています。

-16年住まれていても、難しい部分があるのですね。

SPACは色々なところから人が集まっていて、そこで使うのは標準語に近い言葉になっているからでしょうか。イントネーションは出ても地元の方言とかは(仕事をしているときは)使わないですよね?

-そうですね、出てこないですね。
もう1つ内容について、武石さんが演じる「徳永光太郎」はどんな人物なのでしょうか。

42歳、男性。仕事は警察官。川根で生まれ育ち、警察官になりました。37歳の時に妻が子供を連れて家を出たようですが、細かい経緯は分かりません。彼の言い分では「川根の女は気が強いから」だと言っています。高校時代は猪原正義(元高校教師)に英語を習っていたそうですが、出来は良くなかったみたいです。現在は正義の娘の智子を好きなようです。

-地元にずっといる人ですね。
そういった人物を作るための稽古、古舘さんの稽古はどのような感じなのでしょうか。

演技とは本来そういうものなのですが、その瞬間を生きるということ、その瞬間の質を落とさずに何度でも繰り返せるよう自覚的になることを大事にされているように感じました。
古舘さんのワークショップの中で、自分がとっさに出てきたリアクションを3度繰り返すものがあります。シアターゲーム(稽古で行ったワークショップ)で失敗した時に頭を抱えたり、思わず声が出てしまったりしたら、すぐに3度繰り返します。自分から出てきたリアクションなのに、これがなかなか難しい。そのリアクションに至るまでの思考・判断の流れや、そういうリアクションをとってしまった感覚・身体などを正確にたどらないと、とっさに出てきた1回目とは違った動きが出てきてしまいます。
あまり意識していない細かい部分まで意識しないと、その時生まれたリアクションが大雑把なものや繰り返しやすいものに変わる瞬間に出会って考えさせられました。

-反射的な動作や思考を、身体と頭で筋道を立てて再現するというのは難しそうですね。

これは例えになるかわからないですが、ひとの話って100%は覚えてないですよね。自分が聞きたい情報だけを聞いているとか、同じように自分の記憶も常に選んでしまっている。
そういうふうに、ポイントは覚えているけど自分が大事じゃないと思ったことを落としている。そうすると組み立てた時にピースが足りなくなってしまう。その落としてしまったピースを見つけられると、新鮮に再現できるのかなと思います。

-そういったことから練り上げられたリアクションに注目して劇を見ると、この作品の演技の面白さが見えてきそうですね。
本日はありがとうございました。

公演情報はこちら。
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SPAC秋→春のシーズン2016 ♯2
『高き彼物』
一般公演:11月3日(木・祝)、5日(土)、13日(日)、19日(土)
演出:古舘寛治 作:マキノノゾミ 舞台美術デザイン:宮沢章夫
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
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