はじめまして! こんにちは。
9月3日(月)から1週間、SPACでのインターンシップに参加させていただいております、静岡文化芸術大学 文化政策学部 芸術文化学科1年の安齋瑛梨です。
制作部のインターンシップでは、普段行われている実際の業務体験や、稽古場の見学などをさせていただきました。スタッフの方に直接お話を伺う機会もあり、制作部の方々が何を大切にして業務を行っているのかが感じ取られました。広報、営業など表舞台には出ない地道な活動により、普段私たち観客が観ている舞台や企画が支えられていることを再認識させられた有意義な時間となりました。
さて、今回私が参加させていただいた内容から主に2つを取り上げてご紹介したいと思います。現在、静岡芸術劇場リハーサル室では10月から11月にかけて上演される『授業』の稽古が行われています。1つ目はその稽古風景から。
【演出の西 悟志さん】
【左から渡辺敬彦さん、貴島豪さん、野口俊丞さん】
不条理演劇として知られるイヨネスコの『授業』。戯曲を読んだ段階では難解で堅い芝居になるのかな? と身構えていたのですが、稽古を実際にみて考えは一変。稽古場はピリッとした緊張感が張り詰めつつも、しばしば笑い声に包まれる瞬間があり、和気あいあいとした雰囲気で進んでいました。
四季や首都の名前を答える単純な問いかけに見事回答してみせた生徒に対し、大袈裟な賞賛を贈る教授。およそ意味を持たない言葉の羅列が幾度となく繰り返される光景。戯曲で読むだけでもナンセンスさがひしひしと伝わってきます。そして、これらは西悟志さんの演出を纏うことによってその勢いを加速していき、「意味を持たないが故の滑稽さ」がより際立たっていくように感じられました。まさに『授業』の副題につけられた「喜劇的ドラマ」の具現と感じられるほどで、ぐっと惹き込まれる芝居となっていたのです。
稽古を進めるうえで話し合いの場を設けることも度々ありました。演出家の西さんの問いかけに役者の皆さんが答えていきます。背景や知識を共有することで戯曲理解、演技を深めていく糸口を模索しているように見受けられ、こうした時間を重ねることで自然と座組内で信頼関係が構築され、息の合った演技を可能としているのではないかと思いました。
リズムやテンポを意識した演出も見られ、セリフがまるで音楽のように聞こえてくるシーンも。稽古場では終始、これまでに見たことのないような挑戦的な演出指示が飛び交います。舞台の全貌はまだまだ不明ですが、これからさらに進化することは間違いないでしょう。一見の価値ありです。わたしも一観客として、本番の舞台を観劇する日を心待ちにしています!
【右:布施安寿香】
続いてご紹介するのは、インターンシップ4日目に開かれたSPAC文芸部スタッフの大岡淳さんによる劇評講座です。これは、静岡文化芸術大学の授業の一環であり、今回私も特別に参加させていただきました。
「演劇批評とは何か?」「どのような構造か」「評価の基準は何か」などなど。実例に基づく解説を交えた、貴重なお話を伺うことができました。中でも印象的だったのは、「演劇批評は作品を観ていない人にこそ理解できるものであるべき」という言葉です。今回の講座、及びその後の質疑応答を通し、これまで漠然と捉えていた劇評というものの認識を整理することが出来たのではと思います。今後、自分にとって人と共有したい作品に出会った際には、臆せず気持ちを言語化したいと思いを強くしたひとときでした。
さて、今回ご紹介した『授業』は10月3日(水)に初日を迎えますが、関連イベントも目白押しです! 上演に先駆けてリーディング・カフェ*がスタートし、9月末には2ヶ所での開催が控えています。さらに10月20日(土)には静岡芸術劇場にて、劇評講座に参加した学生による『授業』のポストトーク、題して『放課後トーク**』が開催されます。観劇した方同士で意見交換ができるもので、観劇体験を深めるにはうってつけの素敵な企画です。こちら参加費無料ですので、もし興味がある方がいらっしゃったら是非こぞってご参加くださいね。
(写真:安齋瑛梨)
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*SPACリーディング・カフェ
9月29日(土) casa SHIZUOKA(静岡市)
9月30日(日) みどりの森の美術館(浜松市)
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**放課後トーク
10月20日(土)『授業』の終演後、劇場ロビーにて開催。
詳細はこちら
Twitterアカウント:@SpacSuac
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SPAC秋→春のシーズン2018-2019 ♯1
授業
2018年10月6日(土)、7日(日)、8日(月・祝)、13日(土)★、
20日(土)、21日(日)、28日(日)
各日14:00開演 ★13日(土)のみ16:00開演
会場:静岡芸術劇場
演出:西 悟志 共同演出:菊川朝子
作:ウジェーヌ・イヨネスコ
翻訳: 安堂信也、木村光一
出演:貴島豪、野口俊丞、布施安寿香、渡辺敬彦
照明デザイン:大迫浩二
美術デザイン:香坂奈奈
衣裳デザイン:駒井友美子
*詳細はコチラ
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