アメリカツアー日記
SPAC文芸部 横山義志
9/26(月)
(アップが遅くなってすみません。)
午前中はコインランドリーに。ホテルの部屋でも手洗いしていたものの、天気が悪く、おまけに天井からちょっと水漏れしていて、全然乾かなかった。
コインランドリーではコインしか使えないので、両替機に深く考えずに10ドル札を入れてみたら、25セントのコインが40枚、パチンコ状態で出てきて呆然。
12時半、劇場集合で搬出、積み込み。装置類は一路ピッツバーグへ。
今回とてもお世話になったジャパン・ソサイエティーの宮井さんから、アメリカの演劇事情についてお話をうかがう。ヨーロッパでは、商業演劇は私立劇場、「芸術的」演劇は公立劇場、という大まかな棲み分けがあるが、基本的に「私立」劇場しかないアメリカでも、やはり商業演劇の劇場と、「芸術的」な演劇をやる「パブリック」な劇場とに別れているとのこと。よく名前を聞くラ・ママとか、ザ・キッチンとか、HEREアーツセンターといった劇場は、いわゆる「公立」(国や地方自治体によって設立された)というわけではないが、「非営利で公共の利益になる活動をしている」という意味で「パブリック」なのだという。
こういったニューヨークの有名な「非営利/パブリック」の劇場に行ってみると、大きくても200席くらい、小さいところでは70席くらいしかなくて、場所によっては設備も日本の大学の劇研程度だったりして、ヨーロッパの公共劇場を見慣れてしまうと、ちょっと意外な印象を受ける。日本で言えばアトリエ劇研やこまばアゴラ劇場のような大きさだったりする。
(ちなみにニューヨークには、ジョセフ・パップによって1967年に創設されたまさに「パブリック・シアター」という名の劇場もあり、これはニューヨーク市からほぼ無償で貸与されている建物で、99席~300席の劇場が入っている。上記の劇場よりも老舗で、こちらは『コーラスライン』や『ヘアー』などブロードウェイに行った作品も多い。『ガラスの動物園』に出てくる『ペンザンスの海賊』をミュージカルとしてヒットさせたのもこの劇場。)
ジャパン・ソサイエティーの劇場は250席くらいだったが、こういった「非営利/パブリック」の劇場のなかでは比較的規模が大きい方なのである。ブロードウェイの2000人くらい入るミュージカル劇場は、どこに行っても宣伝していて、毎日観光客でそれなりに埋まっているらしいが、商業的でない舞台を成り立たせるのは大変なようで、ザ・キッチンで働いている知り合いからは「SOLD OUTおめでとう!」というメールが届いていた。