『病は気から』は10月24日の中高生鑑賞事業公演が初日です。
初日1週間前のタイミングで、ノゾエさんにインタビューしてみました。
Q:SPACの俳優たちと今回一緒に作品を創ってみていかがですか?
A:いい意味での摩擦がたくさん生じています。
今回のように土俵の違う人たちが集まってやると、
摩擦は起きない方がおかしいですから、
これはむしろ健康的で演劇的な現象だと思います。
当初は予想していない事柄がたくさん起きていて、
それは残り時間が少なくなったところで更に加速していくと思うので、
最終的にどういうところに行き着くかすごく楽しみです。
Q:普段は役者としても活動されていますが。
A:演じるのは好きだと思います。なんだかんだでたぶん出しゃばりだと思うんで(笑)。
小さい時から人前で何かをするっていうのはずっとやっていました。
アメリカに住んでいたので、週末とか、友人の家族が集まって、
いわゆるパーティーっていうのが普通によくあって。
そういう場で手品をやってみたりとか、ちょっとしたモノマネをやってみたりとか、
小さなショーを披露するのは好きでしたね。
Q:今回は今までで一番大きな劇場での上演になりますか?
A:一番大きい部類ですね。
以前『欲望という名の電車』を上演した
豊橋のメモリアルホールも大きかったんですけど。
海外の名作をやるときには、なぜか大きな劇場ですね(笑)。
普段自分が使っている筋力とは違う筋力を要されているので、
新しい筋トレをやっている気分で、新鮮で楽しいです。
Q:ノゾエさんの作品には、よく椅子が登場していると思うのですが、
今回も舞台美術に椅子が使われていますね。何か理由はありますか?
A:椅子は最も身近にあるものの一つで。
椅子に対する意識って薄いと思うんですけど、
たぶん何もない空間に椅子があったとしたら、
そこに腰掛けない者はいないと思うし…。
一日の中でどれだけ椅子のお世話になっているんでしょうね。
立つか、座るか、横になるかですかもんね。
椅子の妙な存在感に惹かれているのかもしれないですね。
Q:今回の戯曲に対する印象は、稽古前と現在とでは変わってきていますか?
A)第一期の稽古などで色々苦悶した結果、
あまり難しく考えなくていいのではないかと、
今は割とシンプルに考えられるようにはなってきました。
今回の戯曲は自分の感覚とも遠いものではないですし、
最初は古典ということで敷居の高さを感じてしまっていたんですけど、
今は、知らず知らずのうちに近寄ってこれたのかなぁと感じています。
Q:お客様に一言。
A:僕は、計画的に緻密に組み立てて考えることがあまりできなくて。
「なんかこれが気持ちいい感じがする」みたいな、
感覚的なところで生み出して、お客さんの前に出した時に
色々見えてくるというか、形になってくるというか。
だから僕の作品は、お客さんとの対話で
初めて完成されるものだと思っています。
そういえば、ある建築家の方が話していた言葉で、
まさに自分の作り方だと思えるものがあったんです。
その人が言うには、とりあえず何でもかんでも星を散りばめるんだと。
自分がいいかなと思う星をどんどん散りばめていって、
そうしたら最後の方になって、それがいつしか、
気がつかないうちに繋がって、星座になっていると。
それはまさに僕の創作過程を表現している言葉でした。
最初はともかく、いいと思う星をどんどん打ち上げる。
気がついたらあの星とあの星とあの星が繋がって星座になっていた。
余ってしまう星もあるけど、それもあるからこそ星座もより引き立つ。
あとはそれがどういう星座かは、
お客さんが決めてくれればいいと思っています。
あまりこっちでこの星と星が繋がっていてこの星座が出来ています、
というような決めつけはしたくないですね。
お客さん一人一人が、それぞれの星座を見つけてくれたらいい。
今回も、ぼくらが良いと思える星はたくさん打ち上げてあると思うので、
観客の皆さんがそれぞれの素敵な星座を見ることができたならとても嬉しいです。