『高き彼物』出演者インタビューの3人目は、猪原正義役の渡辺敬彦さんです。
猪原正義はこの物語の中心となる人物です。そんな役にどのように向き合っているのか伺いました。
–渡辺さんが演じる「猪原正義」は、どのような人間なのでしょうか?
55歳の男性で15年前まで教師をしていました。しかし、今は教師を辞めてしまい、家に商店を構えて、父親(平八)と娘(智子)と3人で暮らしています。教師という職業にやりがいを感じていたし、周囲も彼にとって教師は天職だったのにと思っているようです。
何かがあった時に、具体的な解決方法は示せないけれど、自分のことと重ね合わせて、親身になって接するというか、一緒に考えようとする男です。
–戯曲『高き彼物』は、マキノノゾミさんが歌人・吉野秀雄の「屑(くず)たばこ集め喫(す)へれど志す高き彼物忘らふべしや」という詩を参考にされたとのことです。この詩についてはどのような印象を受けましたか?
まじめだなぁ、まっすぐだなぁという印象。「高き彼物」が何を指しているかは、具体的に「これだ」というものではなく、それぞれがずっと考え続ける大事なこと、信じていくと決める何かかなぁと思います。
–話は変わりますが、渡辺さんは作品の設定である1978年のことをよく調べていると伺いました。
私よりみんな調べているし、知識もありますよ(笑)
今回はいつになく少しまじめに役柄の人生と歴史を重ねてみて、「正義」にとって大事な出来事は何か、そして大事な時期はどこかということを考えています。
–古舘さんの稽古はいかがでしょうか。
初めての感じです。すぐに「これだ!」という演技は見つからないし……。古舘さんが稽古場で言うことがわかったつもりでも、できないやっぱりわからないということもありました。それでも稽古が進んでいくと、演出の古舘さんが目指しているところはなんとなくつかめてきたような気がします。
私はいつも舞台上でお客さんにどう見られるかというのを考えていますが、今回は見られ方を考えずに、お客さんがそれぞれどう感じるか、もっとお客さんに任せてしまおうと思っています。
–ありがとうございました。
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SPAC秋→春のシーズン2016 ♯2
『高き彼物』
一般公演:11月3日(木・祝)、5日(土)、13日(日)、19日(土)
演出:古舘寛治 作:マキノノゾミ 舞台美術デザイン:宮沢章夫
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
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