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2018年9月11日

<『顕れ』#005>世界初演まで間もなく!

稽古開始から早2か月が経過し、いよいよスタッフ・俳優たちは渡仏。
9月20日のコリーヌ国立劇場での世界初演まで間もなくとなりました!

改めまして、これまで『顕れ』ブログを書いてきた、制作部1年目の西村と申します。
今年度SPACに入り『顕れ』を担当し、人生で初めて演劇作品の創造に立ち会っています。
ブログ第5弾では、これまでの稽古を写真で振り返っていきたいと思います!

◆写真で振り返る静岡での稽古

『顕れ』はまだ世界のどこでも上演されたことがなく、日本語訳もされていない戯曲です。
なおかつ、戯曲に向き合うためにはアフリカや奴隷貿易について知ることが必要不可欠でした。
作者レオノーラ・ミアノさんと密にやりとりして翻訳してくださった平野暁人さんも稽古に参加してくださり、不明な点があるとその都度参考文献や資料とともに作品の背景などを説明していただきました。
平野さん、俳優たちとディスカッションを重ねながら、宮城は少しずつ上演台本を固めていきました。

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初期の演奏稽古の様子。上演台本と楽曲の製作は同時進行で行われました。
音楽監督の棚川寛子は、宮城の演出作品で20年以上舞台音楽を担当していて、俳優それぞれの演奏の強みや特徴をばっちり把握しています。
「ドラマチックに」「ここは”攻め”で」「コードはマイナーで」「BPMは150くらい」…
宮城とともにキーワードを確認しあいながら、何度も試行錯誤を積み重ねていくのですが、二人にはすでに培ってきた共通言語がたくさんあり、信頼しあっている様子がとても伝わってきました。

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棚川のノートの一部を写真に撮らせてもらいました。
棚川は楽譜を書かずにセリフのイメージから音のフレーズを作っていきます。
出来上がったフレーズはまず自分で演奏のお手本を見せ、それを一人の俳優に伝えます。
その俳優がフレーズを繰り返し演奏しているところに、別のフレーズを重ねていく。
これを繰り返しながら楽曲を作りあげていきます。

稽古が進んでくるとセリフの長さや抑揚、舞台上での俳優の動きなど、作品全体のバランスをみながら楽曲を微調整。
宮城からの指示にも「そこはセリフに合わせて2×8(ツーエイト)で」など、音楽を背景にせず動きと密接にとらえた指示が細かく飛んでいました。
音響スタッフは、セリフと演奏の両方が映えるようにマイクを設置し、それぞれに息を合わせて音響操作をしなければいけません。
日々の演奏稽古に立ち会って、棚川さんや俳優と同じようにテンポやカウントを一緒に確認している姿が印象的でした。

 
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7月後半には作者であるレオノーラ・ミアノさんが稽古に同席。
宮城や俳優たちと対話を重ね、作品に対する理解を深めました。(詳しくはブログ002にて)

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これは作品冒頭に出てくる「始まりの海」を表現する布を試している様子です。
どういった質感のものがいいか、布が動かないようにするにはどういう仕掛けをつくるのがいいかなど、創作・技術部とともに試行錯誤が繰り返されました。

俳優たちの頭上に吊られているのは、仮の舞台美術装置。本物は現在、コリーヌ国立劇場で制作されています。
(製作の様子はコリーヌ国立劇場の公式Instagramに掲載されていますのでぜひチェックしてみてください!)

美術デザインは、SPACとも関係の深いサラディン・カティールさん。
今年のふじのくに⇄せかい演劇祭のクロード・レジ演出『夢と錯乱』や、2013年にクロード・レジさん率いるアトリエ・コンタンポランとSPACとの共同製作で創られ、2015年にも再演された『室内』の美術を手掛けています。

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▲稽古開始前にサラディン・カティールさんより送られてきた舞台装置模型

衣裳デザインは駒井友美子、小道具デザインは深沢襟です。
デッサンをもとに衣裳班・美術班が具現化し、俳優たちの演技プランに合わせて、細かな微調整が日々繰り返されました。

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これは「マイブイエ」と「ウブントゥ」というキャラクターのデッサン。
2つの役は死者の魂で、作品の中では多くの魂の集団とも捉えられており、4人の俳優によって演じられるシーンもあります。
群れをなすので、どのように発語するか、舞台上でどのように動くかなど、細かく打ち合わせながら稽古に臨んでいました。
また、全身に玉がぶらさがったような衣裳のため、動きながら玉をどのように制御するかも重要になってきます。
プランを立てて宮城に見せ、フィードバックを受け、またプランを立て直してを繰り返し、動きを緻密に決めていきました。
 
9月には照明デザインの吉本有輝子さんが稽古場入りし、明かりづくり。
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この風景が
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明かりを入れるとこのように一変!

衣裳や小道具の具現化にも日々わくわくしていましたが、明かりづくりではそれらがより立体的に浮かび上がりとても感動しました。
ブログ用の写真を撮りに劇場に入ったのですが、その美しさにしばらく見入って撮影を忘れてしまうほどでした。

◆いよいよフランス・コリーヌ国立劇場へ!
このように、上演台本・音楽・衣裳・小道具・照明がだんだんと出来上がっていき、静岡での稽古は終了しました。
いよいよ明日には俳優たちも渡仏し、劇場で世界初演に向けて調整を行っていきます。
パリから届いた写真は春からはじめたSPACのInstagramでも発信します♪

「すぱっく新聞」の発行ももう間もなくです。お楽しみに!

*『顕れ』(フランス公演)詳細はこちら
*『顕れ ~女神イニイエの涙~』(静岡公演)詳細はこちら