『妖怪の国の与太郎』の魅力に迫ってみたりするブログ第二弾。
今回はとっても素敵な衣裳にフォーカスします。とは言ってもストレートに衣裳ではなく、小物の一つ、マスク(※お面ではなく)についてのお話です。「マスク? マスクなんてどれもたいした違いなんてないんじゃないの?」なんて思ってる紳士淑女の皆様。SPAC衣裳班の手にかかれば、エレガントでキュートなマスクの花々が舞台上で咲き乱れるのです。
というわけで今回は、『妖怪の国の与太郎』の衣裳デザインを手掛けたSPAC創作・技術部 衣裳班、駒井友美子さんに話を聞いてきました。
*関連リンク*
そもそも衣裳デザインの仕事とは?
2014年1月13日更新
「真夜2014【5】 衣裳デザイン・駒井友美子ロングインタビュー」
兎にも角にも見ていただきたいのはこちらの画像。いきなりテンション上がる光景が!
▲可愛さの破壊力が凄いマスク軍団
その数、48種!63枚!
作中の登場人物が約70名のため、ほぼ全キャラクター分あります。素晴らし過ぎてうっとり。本当はひとつひとつ紹介したいところですが、そこをぐっと我慢して、まずはこのマスクが作られることになった経緯から説明したいと思います。
新型コロナウイルス感染防止対策の一環としてSPACでは、俳優達はマスクを着用して舞台に立つことになりました。そのことを聞いた演出家が衣裳班に「マスクも衣裳に合わせたものを」というリクエストを出したのです。
この時は3~4種類のキャラクターだけについて漠然としたオーダーがあっただけでした。しかしそこはSPAC衣裳班、他のキャラクターのマスクも作って演出家に取捨選択してもらおうと意気込み、結果的に写真の8割が衣裳班サイドからプレゼン的に制作した代物。その情熱たるや、天晴れです。
駒井さん曰く、今回のマスクで気を付けたのは「顔に馴染む」という点だそうです。どうしても顔の半分を覆ってしまうマスクだからこそ、表情を補うものとして、そのキャラクターが生き生きして見えるものを目指し、邪魔をしない、コロナ対策のために着けているという感じが出ないデザインを念頭に置いたそうです。
▲裏地には肌に優しい素材を使用
マスクは着用する俳優達にも負担をかけないよう立体型にし、抑えつけない形で呼吸しやすいような工夫もなされています。
また今回は、中高生鑑賞事業も含めステージ数が多いため、何度も着用出来るよう耐久性と、消毒可能な防水性に配慮した仕様になっています。
▲上が初演時の、下が今回使用する河童のマスク
わかりやすいのがこちらのマスク。初演時はダンボールを使ったマスクでしたが、洗える素材に作り替えて、付け心地をアップ。見た目を変えずに、フィット感を向上させた逸品です。
マスク作りで苦労した点は、どうやってバリエーションを出すかについてだったそうです。河童や木の精など一度に数名出てくるキャラクターは、マスクによって一括りにされて同じ印象になってしまう。どうすればそれを避けてマスクでも個性が出るかを考えるのに時間がかかったとのこと。
また細かな調整も苦労した点の一つ。普通のマスクに比べ、装飾品が多く立体型のため、バランスが緻密で、何度も鏡で見ながら調整を繰り返す作業は大変だったようです。さらに、遠目からでも映えるマスクを作るため、実際に着用した姿を舞台上から見てみるといった作業もあり、マスク一つにもこうした繊細な作業がなされているのがわかりました。
如何でしたか?『妖怪の国の与太郎』は、この他にも刮目すべき魅力が溢れる作品です。是非とも劇場に足をお運びいただき、お楽しみください!
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秋→春のシーズン2020-2021 #1
『妖怪の国の与太郎』
一般公演
2020年11月14日(土) 会場:掛川市生涯学習センター
2020年12月19日(土)・20日(日) 会場:静岡市民文化会館
演出:ジャン・ランベール=ヴィルド、ロレンゾ・マラゲラ
台本・翻案・ドラマツルギー:ジャン・ランベール=ヴィルド、平野暁人、出演者ならびにワークショップ参加俳優一同
翻訳:平野暁人
音楽:ジャン=リュック・テルミナリアス、棚川寛子
出演:大内智美◇、大内米治◆、木内琴子、木皮成◇、貴島豪◆、小長谷勝彦◆、本多麻紀◇、三島景太、宮城嶋遥加、森山冬子◆、山崎皓司◇、吉植荘一郎、渡辺敬彦[50音順]
※一部ダブルキャストによる上演となります。
◇ … 11月7日までの出演(中高生鑑賞事業公演のみ)
◆ … 11月12日からの出演(中高生鑑賞事業公演および一般公演)
★詳細はこちら
https://spac.or.jp/au2020-sp2021/yokainokuni_2020
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