2023年4月23日、SPAC演劇アカデミー第3期生の入校式が舞台芸術公園内の「楕円堂」で行われました。
学校も学年も違う16名が集い、最初は緊張した面持ちでしたが、オーディションで一緒だった人や隣に座った人とすぐに打ち解けた様子。
入校式では、主催である静岡県関係者のお話、校長の宮城聰からの話、アカデミー生や講師の紹介が行われました。
入校式後は、アカデミーの講師・布施安寿香の案内で舞台芸術公園内ツアー!
この公園には、日曜日のアカデミーの活動場所である屋内ホール「楕円堂」のほかに、稽古場棟「BOXシアター」、野外劇場「有度」という3つの劇場があります。
これらの劇場をめぐりながら、それぞれの特徴を聞きました。
▲野外劇場「有度」を見学している様子
ゴールデンウィークには「ふじのくに⇄せかい演劇祭2023」の各演目を観劇。
招聘作品については、言語の違いにより理解しにくいシーンもあったようですが、身体表現や熱量で学ぶものや考えさせられたことがあったようです。
『天守物語』観劇時にはちょうど『XXLレオタードとアナスイの手鏡』の演出家である、チョン・インチョルさんも観劇しており、終演後に交流。
この作品は受験や就職などアカデミー生にぴったりなテーマを扱っていたこともあり、感想を言ったり、質問したりととても盛り上がりました。
▲チョン・インチョルさんとの交流の様子
▲駿府城公園内のフェスティバルgardenでは「1日店長」をしていた加藤幸夫と交流しました
そんな濃いゴールデンウィークを過ごし、5月14日から通常の授業がスタート。
ここからは各授業の様子をお伝えします!
【「教養の書」を読む】
毎週水曜日にオンラインで行われる「『教養の書』を読む」では、戸田山和久著の「教養の書」をみんなでまわし読みしています。
難しい言葉もありますが、講師の大沢由加子が写真や動画を使ったりしてわかりやすく解説してくれます。
「教養の書」には、映画や本が例に挙げられることが多く、アカデミー生も見たり、読んだり、自分が知っている作品が時々登場して嬉しそうです。
【小論文】
毎週金曜日にはオンラインで大岡淳による「小論文」の授業が行われています。
作文と小論文の違いを解説したうえで、大岡が演出した泉鏡花作の『化銀杏』の動画を視聴し、その感想文を書きました。
内容や演出についてそれぞれが書いたものに対し、どうしたらわかりやすい文章になるのか大岡がアドバイスしています。
今後は大学入試を想定した小論文に挑戦してみたり、3期生は書くことが好きなメンバーが多いこともあり、クリエイティブなテーマで文を書いたりする予定です。
▲動画を見る前に『化銀杏』の解説
【ミュージカル映画で学ぶ英語】
毎週日曜日の午前は、舞台芸術公園 屋内ホール「楕円堂」で講師Ashによる「ミュージカル映画で学ぶ英語」が行われています。
授業の最初には、この1週間の出来事をみんなに話してもらい、日常で使えるフレーズを紹介します。
そのあとは、英語を使ったシアターゲームをしたり、授業名の通りミュージカル映画の歌を歌ったりしています。
英語の歌詞を見ながらオーバーラッピングするだけでなく、発音やリダクション(脱音)する単語について学び、何度も歌い自分のものにしていきます。
▲ミュージカル映画『The Sound of Music』の「ドレミの歌」を歌っている様子
▲ビートルズの「Yesterday」で発音を学んでいる様子
学校の英語の授業では、座って話したり書いたりすることが多いと思いますが、アカデミーではたくさん身体を動かしながら英語を使います。
【実技】
実技は寺内亜矢子、布施安寿香、貴島豪が担当しています。
初回の授業では、ゴールデンウィークに観劇した「ふじのくに⇄せかい演劇祭」の印象に残ったシーンをグループで模倣することから始まりました。
みんなで思い出し、再現度の高い発表となりました。
▲右は『アインシュタインの夢』を模倣、左は『天守物語』を模倣している様子
2回目以降の授業では、トレーニング、演劇史、身体や周りの環境と向き合うワークを行っています。
トレーニングではSPAC俳優も行っているメニューを行っており、貴島から1つ1つ目的等を教えてもらいながら取り組んでいます。
6月18日の授業ではSPAC俳優のトレーニングを見学し、長年トレーニングをしている俳優と今の自分たちの身体の状態の違いを感じたようです。
7月9日の授業には阿部一徳が見学に来てくれ、実演をしながらトレーニングのアドバイスを受けました。
講師以外のSPAC俳優とも交流できるのはSPAC演劇アカデミーの魅力のひとつ。
多くの人の姿を見て学んでいます。
▲SPAC俳優のトレーニング見学の様子(上)
阿部のアドバイスを受けながら「スタチュー」というトレーニングを行っている様子(下)
演劇史では、4月にオープンした『せかいの劇場ミニミュージアム「てあとろん」』や今までにSPACが上演してきた作品の映像を活用しながら演劇の歴史を学んでいます。
▲布施が担当
寺内の授業では、自分と他者の身体への感覚を研ぎ澄ませていくようなワークをたくさんしています。
身体だけでなく、空間も意識して取り組むこともあります。
▲坐骨を使って起き上がろうとするアカデミー生(左上)、指を使って歩くワーク(右上)
ひざに挟んだ紙を落とさないようにしながら鬼ごっこ(左下)、他者の身体に触れるワーク(右下)
7月16日には静岡芸術劇場で『天守物語』の稽古を見学。
寺内・貴島が出演しており、普段講師をしている俳優がクリエイションしている姿、またなかなか見ることのできないSPACの稽古の様子を見ることができ刺激を受けたようです。
稽古の合間にはSPAC演劇アカデミーの校長であり、『天守物語』の演出をしている宮城から泉鏡花や作品の内容について解説してもらいました。
さまざまなバックグラウンドを持った16人のアカデミー生がこの1年で互いに影響し合うことでどう変化していくのか、楽しみです!
(制作部・北堀瑠香)
★「SPAC演劇アカデミー」とは
「世界にはばたけ、teenagers!SPAC演劇アカデミー」は、2021年度に開校した<世界で活躍できる演劇人>を目指す若者の感性を育むことを目的とした高校生対象の1年制の演劇塾です。劇場に通いながら、SPACの創作現場の“熱”をじかに感じられる環境の中で、少数精鋭の高校生たちが切磋琢磨する──そんな場をつくります。SPACの俳優・スタッフらによる指導のもとで演劇を学び、名作戯曲の上演に向けての稽古に取り組むと同時に、教養と英語の学習にも力を入れ、思考力・対話力を身につけていきます。
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