『ちかくにあるとおく』は、静岡芸術劇場での公演に加えて、SPAC学校訪問プロジェクト「ひらけ!パフォーミングアーツのとびら」の一環として、県内の小学校や特別支援学校などでの上演も行なっています。
学校での公演は、特別教室や視聴覚室、体育館などさまざまな場所が会場に様変わり!
当日の朝早くに学校入りし、演出家も音楽家も俳優・スタッフも全員でせっせと仕込んでいきます。
会場の条件にあわせて仕込む必要があり、それは毎回ひと苦労でもありますが、体育館など大きな空間では「空想世界」が壮大に広がって見えたり、コンパクトな部屋だと「身近な空想」という感じがより際立ったりと、それぞれに良さもあるので発見もたくさんあります。
空間にあわせながら、照明や音響、そして俳優の動きの調整をして、いざ!開演です。
劇場と化した体育館や教室で、ちょっとヘンな人たちが待ち構えている様子に、子どもたちのワクワクと緊張感もMAX。「観劇体験」を味わっていただきたく、登場人物の名前や、演出家からのメッセージ、劇中歌の歌詞などが書かれたパンフレットもお渡ししています。
最初は、間近に見る俳優の迫力にちょっと怖がっていた子も、気がつけば真剣に見入って最後は一緒に踊っていたり、40分程度の短い時間で、とても嬉しい変化を見せてくれます。
笑ったり、声を出したり、手をふったり、鑑賞している子どもたちの素直な反応もこの作品にとっては大切な要素。
学校公演でいろんな子どもたちと出会い、その全てを包み込んでいく様子は、まさに“インクルーシブ”な作品だと感じました。
一緒に鑑賞された先生方も、普段あまり見ることのない生徒の様子にとても喜んでくださっています。
終演後には、みんなで集合写真を撮ったりして交流タイム。
子どもたちから飛び出す思いも寄らない感想や質問に、わたしたちも励まされたり驚かされたりしています。
実施校から寄せられた感想を少しご紹介♪
「音に聞き入っていた」
「目の前の出来事に反応し、俳優に手を振ったりしていた」
「真剣に見入る生徒、声を出して気持ちを表現する生徒など、それぞれに鑑賞を楽しんでいた」
「台詞だけの劇でなく、子どもたちが思い思いに楽しんでいた」
「障がいの程度に大きな差があっても、どの生徒も非常に楽しんでいた」
「生徒たちの表情が生き生きしていたり、目が大きく開いたり、楽しい気持ちや興味関心をそれぞれに表現していた」
「目の前で劇や音楽に触れられるのは生活を豊かにする一助となる」
県内各地の小学校や特別支援学校での上演を経て、いよいよ一般公演がはじまります♪
静岡芸術劇場での公演には、さまざまな鑑賞サポートがございます。
バリアフリー公演では、手話通訳者や案内スタッフが観劇のお手伝いをいたします。
また、舞台美術や衣裳の一部に触ることができるキットや、舞台で起きていることをリアルタイムで解説する音声ガイドの貸し出しもありますので、ぜひご利用ください。
次のブログでは、ベイビー版とバリアフリー版の違いや演出の工夫についてご紹介できればと思います!
(制作部・計見葵)