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2009年4月23日

シニアのための演劇体験教室(4/18)

 「シニアのための演劇体験教室 ~ゲームをしながら楽しく感覚開放!演劇教室で若返り!!~」と題した演劇ワークショップ(無料)が、アイセル21・静岡市葵生涯学習センターで開かれました。これは静岡市文化振興財団によるSPACとの連携企画で、シニア限定とした初の試みです。

 参加資格は、60歳以上なら誰でもOK。経験がなくてもプロの俳優と演劇の魅力を楽しみたい!と興味深々なシニアの皆さん20名が集まりました。「舞台は観ないけど、何だかおもしろそうで来てみた」というように、演劇とは縁がない方ばかり。

 講師は、SPAC俳優部の奥野晃士。どうなることやら・・・と不安を一番感じていたのは、実は他ならぬ講師の奥野。日常的にプロの現場を踏んでいても、演劇未経験のシニア世代とのワークショップは「未知の領域(本人談)」です。
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 そんな不安は、開始5分で吹き飛びました。
 まず、部屋を歩き回り、合図が鳴ったら「目」「口」「鼻」「耳」を大きく開けて、両手を広げて大声を出す。こんなにエネルギーが眠っていたのか!という程、たくさんの叫び声が会場を埋め尽くします。お互い見合って失笑するほど、顔面が全開!「アゴ、はずれてませんか~?」と奥野も心配してしまいます。「こんな大声出すのは何十年ぶり!気持ちいい!」という声が続出です。

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 次に、「演劇的鬼ごっこ」。鬼に捕まりそうになった人が誰か他の人の名前を発すれば、呼ばれた人が鬼になるため難を逃れられる、というちょっと変わった鬼ごっこ。攻略するには、他の人の名前が咄嗟に思い浮かばなければならないのですが、なかなか出てこなかったり、捕まえるはずの鬼が他の人の名前を呼んだり・・・とハプニングの連続。皆さん、お腹を抱えて笑いながら逃げ回っていました。「人間は本能的に、危機に陥ると血が頭から身体に集まるので、脳が冷静な判断をできなくなる。危ないときこそ落ち着いて。」とは奥野の弁。

 他にも、インプロ(即興)の要素を取り入れたゲームを行いました。ペアで同時に同じ言葉を発するゲーム、「何か」を相手にプレゼントして、受け取った相手がそこに情報(形、色、材質)を与えてプレゼントを具体化していくゲーム。初対面同士でも、何かひとつの作業に一緒に取り組むと、一体感が生まれていきます。最後は、ペアでプレゼントを交換する即興劇にまで辿り着きました。
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 童心に返ったように無邪気に走り回り、笑い、伝えることで、心を相手に開いている姿は印象的でした。知らないことにチャレンジしよう、何でもやってみよう、という元気な姿勢には脱帽です。奥野の「舞台は、日常生活のタブーや社会性を取り払える、特殊な場所」という言葉のとおり、「長年篭っていた殻を破れた」という人や、「どんな療法よりもカラダに効いた」という人も。これは、演劇療法?

 自分の思いを伝えて、相手の反応を受け取り、それに感覚が刺激されて更に言葉が生まれ、話が展開する・・・という演劇の基本を味わってもらえたようです。実はこれ、普段のコミュニケーションそのもの。今はネットや携帯電話を使えば自分ひとりで何でも出来てしまいますが、誰かと向き合って話すことの面白さを演劇は思い出させてくれます。

 自分を表現して相手と交わる演劇の持ち味は、普段のコミュニケーションにも役立ちそうです!