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2007年8月26日

「SPAC親と子の演劇教室」講座開催

8月11日(土)の「SPAC親と子の演劇教室」では、稽古のあとに講座が開かれました。

この演劇教室では、実際に身体を動かすだけでなく、演劇とは何かということを考えるための場として講座を開くこととしました。

今回の講座には、演劇教室の参加者だけでなく、その保護者の方々にもたくさん参加していただきました。

まずは、宮城聰芸術総監督よりこの演劇教室についての説明があり、その後、SPACの文芸部、演劇評論家の大岡淳による講座が始まりました。

演劇とはどういうものか、「非日常」という言葉をキーワードに、演劇とは特別な人間関係を特別な方法によって表現するものだという話がありました。こういうと何だか難しそうですが、講師の大岡による身近なたとえ話を用いた語り口が、聞く者の心をグイグイと引き寄せていきます。

[1]後半は、日本の演劇の変遷をたどっていきました。能や歌舞伎の映像を見ながら、これらが音楽などを用いた特殊な方法によって構成され、俳優も日常生活とは全く異なる動きや声によって演じているものだという話からスタートしました。

次に新劇と呼ばれる現代演劇の舞台を見ます。能や歌舞伎とは打って変わって、私たちと同じような格好をした人々が私たちと同じような会話をしています。後ろには楽器を演奏している人たちもいません。より日常生活に近い風景がそこにはあるのです。

最後は、現代演劇の中でも、独特な手法で舞台を創り続ける鈴木忠志(前芸術総監督)の作品『ディオニュソス』の映像を見ました。冒頭の場面だけでしたが、画面の中の役者のエネルギーに刺激されたのか、参加者のみんなは初めて観る鈴木忠志の舞台に真剣に見入っていました。

駆け足での講義ではありましたが、いくつかの代表的な演劇の表現方法を見ていくことで、参加者は演劇の奥深さに触れることができたのではないかと思います。

この講座で得たものを、稽古の現場でも生かしていきたいです。

[1] http://otsukimi.net/spac/blog/wp-content/uploads/2007/oz/P1010077.JPG