ボゴタ演劇祭二回目参加の記(6)
3月24日(土)
SPAC文芸部 横山義志
今日は演劇祭のオープニングパレードがある。演劇祭事務局で用事を済ませた帰り道、同行してくれた英語通訳のアルバロさんが「近くでやっているから」と連れて行ってくれた。
パレードにはこんな人たち。
雨が降ったり止んだりの天気にも関わらず、メインストリートの両側に、人が文字通り鈴なりになって、パレードを出迎えている。2万人の人出だという。
(フェスティバルのFacebookページにはもっとまともな写真も)
¡Gran desfile inaugural del Festival de Teatro!
http://www.facebook.com/media/set/?set=a.272064422876812.64539.156252337791355&type=3
通訳のアルバロさんはなかなか面白い方で、ボゴタ出身で、フラメンコダンサーとしてニューヨークに旅公演中にそのままアメリカに住み着いてしまい、24年前からワシントンに住み、ダンサーとしての活動をつづけながら、クリントン政権からオバマ政権にかけて、ホワイトハウスのインテリアデザインをなさっていたとのこと。
アルバロさんとカーニバルな人びと
ボゴタ演劇祭創立者のファニー・ミケイさんとお友達だったそうで、6年前からフェスティバルのたびにボゴタに帰ってきていて、近いうちにコロンビアの田舎に買った家に引っ越すとおっしゃっていた。ダンサーだけあって、とても70歳とは思えない背筋。コロンビアにはいろいろな方がいるものだ。
何事も予定通りに行かないコロンビアで、どうやってこんな世界有数の規模の演劇祭がオーガナイズできているのか、不思議でならないが、アルバロさんによれば、そのカギはスタッフ間の信頼関係にあるという。みんな「不測の事態が起きるのが当たり前」だということを知っているので、何かあるとすぐにスタッフ同士が電話で連絡を取り合って、誰がどう対応するかを決めていく。
アルバロさんを含め、フェスティバルの関係者はみんな一つの枠にはめようがない人ばかりで、こういった不思議な人たちが信じられないようなエネルギーを注いで成り立っているのかと思うと、なんだか少し分かるような気もしてくる。
『ペール・ギュント』にとっては、今日はマチネ・ソワレ二公演の最もしんどい一日。スタッフは朝9時20分集合、俳優は10時20分集合。
昨日、字幕が見にくいという話が出たために、劇場では試行錯誤がつづく。結局、午後3時の回は開場25分押し、開演10分押し。
3時の回には、文化庁の派遣でボゴタにいらしている中学校の先生が、差し入れを持っていらしてくださった。
夜8時半の回になってようやく新しい字幕用のスクリーンとプロジェクタが全て設置されて、読みやすくなった。お客さんの熱気で、俳優も盛り上がりを感じたらしく、熱演だった。なんとか試練を乗り切ったようである。
終演後、フェスティバルディレクターのアナマルタさんから宮城さんに記念品の贈呈。