伊藤
そして宮城聰と美加理――
“言葉”と“身体”の関係を探求し続けるアーティストたちの、
ひとつの到達点であり新たな挑戦ともいえる濃密な舞台を、SPACでは連続上演します。
『夢と錯乱』
夭折の天才詩人トラークルが、死の数カ月前に著した自伝的散文詩「夢と錯乱」。豊かな色彩感覚と音楽性、そしてあまりにも深い憂鬱に満ちたこの詩を、フランス演劇界の巨匠クロード・レジは、最後の演出作として選び、2018年に舞台芸術公園の「楕円堂」で上演。闇と沈黙が織りなす比類ない世界は、私たちを感性の臨界へと連れ去った。伝説の舞台から3年半、そしてレジの死から2年。30年以上にわたって創作活動を共にする宮城聰と美加理が、トラークルの、いや、すべての人間の救いへの希求を漆黒の空間に響かせる、亡きレジへの静かなオマージュ。
*関連リンク 【追悼】クロード・レジ(2019/12/17)
演出:宮城聰
作 :ゲオルク・トラークル
出演:美加理
公演日時:
12月12日(日)18:00、18日(土)16:00、19日(日)16:30
会 場:舞台芸術公園 屋内ホール「楕円堂」
プロフィール
宮城聰 (みやぎ・さとし)
1959年東京生まれ。演出家。SPAC-静岡県舞台芸術センター芸術総監督。東京大学で小田島雄志・渡邊守章・日高八郎各師から演劇論を学び、90年ク・ナウカ旗揚げ。国際的な公演活動を展開し、同時代的テキスト解釈とアジア演劇の身体技法や様式性を融合させた演出で国内外から高い評価を得る。2007年4月SPAC芸術総監督に就任。自作の上演と並行して世界各地から現代社会を鋭く切り取った作品を次々と招聘、「世界を見る窓」としての劇場づくりに力を注いでいる。14年7月アヴィニョン演劇祭から招聘された『マハーバーラタ』の成功を受け、17年『アンティゴネ』を同演劇祭のオープニング作品として法王庁中庭で上演、アジアの演劇がオープニングに選ばれたのは同演劇祭史上初めてのことであり、その作品世界は大きな反響を呼んだ。他の代表作に『王女メデイア』『ペール・ギュント』など。04年第3回朝日舞台芸術賞受賞。05年第2回アサヒビール芸術賞受賞。18年平成29年度(第68回)芸術選奨文部科学大臣賞(演劇部門)受賞。19年4月フランス芸術文化勲章シュヴァリエを受章。
美加理 (みかり)
東京生まれ。1979年、寺山修司作・演出『青ひげ公の城』でデビュー。80年代小劇場界で活躍後、90年より宮城聰率いるク・ナウカの中心メンバーとして活動。98年、SPACに初参加し、2010年から毎年出演している。“想像力を喚起する身体”“パフォーマーとしての圧倒的な集中力”と評される存在感とパフォーマンスは、国内外で高い評価を得ている。主な出演作は、『天守物語』(富姫)『王女メデイア』(メデイア)『マハーバーラタ』(ダマヤンティ)『アンティゴネ』(アンティゴネ)など。
『Le Tambour de soie 綾の鼓』
国際的に活躍する振付家・舞踊家伊藤郁女とピーター・ブルックと共に創作活動を行ってきた伝説の俳優笈田ヨシが、三島由紀夫の「近代能楽集」の一作「綾の鼓」をもとにして、フランスで創作した“ダンス・シアター”。本作は、2020年10月、「アヴィニョン芸術週間(UNE SEMAINE D’ART EN AVIGNON)」で世界初演され、大きな話題となった。劇場の舞台を掃除している老人が舞台でリハーサルをしているダンサーに恋するが、思いが成就しない悲劇を描く。能の曲目「綾鼓」と三島由紀夫の翻案からインスピレーション受けたジャン=クロード・カリエールのテキスト(物語)が、才能あふれる二人の日本人アーティストの身体を通して語り始め、矢吹誠の打楽器の音色と混ざり合い、かなわぬ恋の物語を観客に伝える。
演出・振付・出演:伊藤郁女、笈田ヨシ
テキスト:ジャン=クロード・カリエール
音楽・出演:矢吹誠
公演日:12月18日(土)19:00、19日(日)14:00
会 場:静岡芸術劇場
<神奈川公演>
12月下旬 KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ
お問い合わせ チケットかながわ 0570-015-415(10:00~18:00)
プロフィール
伊藤郁女 (いとう・かおり)
振付家、舞踊家。1979年愛知県生まれ、東京育ち。5歳より高木俊徳のもとでクラシックバレエを始める。18歳で振付を始め、98年STスポット「ラボ20」にて榎本了壱新人賞を受賞。2000年にニューヨーク州立大学パーチェスカレッジへダンス留学後、立教大学では社会学と教育学を専攻する。日本の新進振付家発掘の場である横浜ダンスコレクションにて’02年に横浜市文化財団賞、’04年にはナショナル協議員賞を受賞する。2003年~2005年文化庁新進芸術家海外留学制度により渡米。ニューヨークのアルビン・エイリー・ダンスシアターにて研鑽を積む。留学中に出会ったフランス人振付家 フィリップ・デュクフレの作品「Iris」で主要なソロパートを務める。2005年プレルジョカージュ・バレエ団への入団を機に、拠点をフランスに移す。’06年ジェイムズ・ティエレ「Au revoir Parapluie」, 09’ シディ・ラルビ・シェルカウイ振付 / ギー・カシエース演出「眠れる美女 ~House of the Sleeeping Beauties~」, 12’ アラン・プラテル「Out of context」など、世界の名だたる振付家の作品に出演。また、’12年には演出家のオレリアン・ボリとソロ「Plexus」, ’14年には俳優のオリヴィエ・マルタン・サンヴァンとデュオ「La religeuse à la fraise」を共作として発表。アヴィニョン演劇祭やParis Quartier d’étéなどフランスの主要な演劇祭で上演する。自らの作品では、08’「Noctiluque」, 09’「SOLOS」, 10’「Island of no memories」を発表後、2013年カンパニー les Ballets C de la Bプロデュースによる「Asobi」を創作し、パリのシャイヨー宮、東京のスパイラルホールでも上演。2015年、自らのカンパニーを立ち上げ、父親・伊藤博史との作品「私は言葉を信じないので踊る」を発表。パリのテアトル・ド・ラ・ビルを始め、これまでに世界各地で90回以上の上演を経る。その後も ’17 テオ・トゥーべとの作品「Emrasse moi」, ’18 自らのソロ「 Robot, l’amour éternel」, ’18 森山未來とのデュエット「Is it worth to save us?」を発表。現在 Mac de Créteil, 104, Théâtre du Fil de l’eauの3つの劇場の客員アーティスト(Artist associé)として活動すると同時に、ドイツの州立オペラ、ケーミッツバレエ団、フランス国立サーカス学校、チリ国立バレエ団などにも振付依頼を受ける。2015年SACDより新人優秀振付賞、フランス政府より芸術文化勲章「シュバリエ」を受賞。最近では、ベルサイユ宮殿で催された写真家 杉本博司の展覧会のベルニサージュでのパフォーマンスや、歌手クリストフのコンサートにゲスト出演。また俳優としてアレハンドロ・ホドロフスキー監督『エンドレス ポエトリー』やアドワール・ベール監督『ラ・ニュイ・ウーヴェール』、フロラ・ラウ監督『LUZ』ではイザベル・ルペールと共演するなど、ダンスだけに留まらず多分野に渡っての活動を続ける。
https://www.kaoriito.com/ja/
笈田ヨシ (おいだ・よし)
俳優。1933年神戸市生まれ。慶応義塾大学で哲学の修士号を取得。国内でテレビ、映画、現代劇で活躍し、三島由紀夫とも仕事をする。1968年、ジャン・ルイ・バローに招かれてフランスに渡り、1970年、ピーター・ブルックが設立した国際演劇研究センター(CIRT)に参加。その後、ブッフ・デュ・ノール劇場で、『マハーバーラタ』、『テンペスト』、『ザ・マン・フー』など主要な公演に参加した。1975年からは、サミュエル・ベケット『エンドゲーム』、ジャン・ジュネ『レ・ボンズ』、ヴェルディ『ナブッコ』、モーツァルト『ドン・ジョヴァンニ』、ベンジャミン・ブリテン『戦争レクイエム』など、演劇、オペラ、ダンスの演出も手掛ける。主な著書に『俳優漂流』がある。
ハシゴ観劇でもっと舞台を楽しもう!
12/12(日)の『夢と錯乱』公演は、 SPAC秋→春のシーズン2021-2022 #2『桜の園』(14:00開演/静岡芸術劇場)と、12/18(土)・19(日)の同公演は『Le Tambour de soie 綾の鼓』とハシゴ観劇ができます。
チケット
◆SPACの会会員先行予約受付開始:11月6日(土)10:00
◆一般前売り開始:11月13日(土)10:00
◎チケット購入方法
SPACチケットセンター
●電話予約 054-202-3399 (受付時間 10:00〜18:00)
●窓口販売 静岡芸術劇場チケットカウンター (受付時間 10:00〜18:00)
※休業日の12月7日(火)は電話予約受付と窓口販売をお休みさせていただきます。
●ウェブ予約 https://spac.or.jp/ticket
[当日券]
残席がある場合のみ、開演1時間前より劇場受付にて販売
※当日券販売の有無を、公演当日に必ずお電話もしくはTwitter(@_SPAC_)でお確かめください。
◎チケット料金
※全てのチケット代金は税込価格です。
●一般: 4,200円
●ペア割引: 3,700円 (2名様で1枚につき)
●グループ割引: 3,300円 (3名様以上で1枚につき)
※10名様以上の場合は電話・窓口にてお取り扱い
●ゆうゆう割引: 3,500円 (満60歳以上の方)
※公演当日、受付にて身分証をご提示ください。
●学生割引: [大学生・専門学校生]2,000円 [高校生以下]1,000円
※公演当日、受付にて学生証をご提示ください。
●障がい者割引: 2,900円 [障害者手帳をお持ちの方]
※公演当日、受付にて障害者手帳をご提示ください。
※付添の方(1名様)は無料 ※電話・窓口のみのお取り扱い
一般: 3,500円 ペア割引: 3,300円 (2名様で1枚につき)
◎割引をご利用の際は、必ずご予約時にお知らせください。各種割引の併用はできません。
◎乳幼児の客席へのご入場はご遠慮ください。
主催:SPAC-静岡県舞台芸術センター
[夢と錯乱]
文化庁「ARTS for the future!」 補助対象事業
[Le Tambour de soie 綾の鼓]
製作:Masion de la Culture d’Amiens, Company Himé
共同制作:アヴィニョン演劇祭、パリ市立劇場
支援:サン・キャトル – パリ、SPEDIDAM (音楽舞踊実演家権利許諾受領協会)