12月16日、総選挙の日
モンミュゼ沼津・沼津市庄司美術館の「上松和夫彫刻展」(〜12月24日まで)におきまして
大岡信さんの詩を読む、アートと朗読とギターの午後に出演していました。
(左からギターの渡部さん、私、作家の上松さん、そして荻生館長)
その昔、静岡県には
東部の文学(Literature)、西の音楽(Music)、中部の演劇(Play)で芸術(Art)を盛り上げる
それぞれの頭文字をとって「L・A・M・P(ランプ)」という構想があったと聞いた事がありますが、
今回は一度にそれらを楽しめる贅沢なイベントになりました。
ペンキを塗るハケや、バイオリンの弦などを使ってギターを演奏する渡部真一さんの独得のサウンドに合わせて,
上松さんの作品「門」とからみながら、
大岡先生の詩10篇ばかり読ませて頂きました。
とりわけ、大岡先生が中学時代に作った同人誌「鬼の詞(ことば)」に参加していた旧友の死を悼んだ「ハルカナル ヌマヅノ ナツノ」他三篇は、友人達への思いのこもった豊穣な文体、読んでいてもぐっときました。
(帽子はトラディショナルサウンド堀池氏より拝借)
ご来場いただきました皆様本当にありがとうございました。
イベントを企画してくれた三島のGalleryエクリュの森さん、
また今後も濃密で楽しい企画、よろしくお願いします。
この日は総選挙と同時に東京の新知事も決まりましたが、
まだ知事不在期間だった12月1日、2日、
リニューアルされた東京芸術劇場で行われたのが
東京都の主催「アジア舞台芸術祭」(略して「アジ舞」)でした。
今回は私、 SPACからの人材派遣で出演したのですが、
予算の乏しい中でこの事業はとても有意義で、クリエイティブな演劇祭だったと思います。
そして何より入場無料というのが画期的です。
この「アジ舞」は、アジア大都市ネットワーク21事業の共同事業のひとつとして
一、アジアの舞台芸術 を通じた相互理解と文化交流の促進、
一、アーティストの相互交流による舞台芸術の創造と水準向上、
一、優れた人材の作品の発掘、
一、それらを世界に流通させる市場の育成
を目指して2002年より開催されています。
プロデューサーは我らが宮城聰監督。
今回私が出演させていただいた
韓国で活躍する朴章烈氏演出の「お母さんの十八番」は
一昨年、ワークショップで作られた15分の作品からスタートし、
昨年は50分バージョンに、
そして今年は80分にと、
3年がかりで練り上げていった作品でした。
11月上旬の稽古初めは韓国の朴さんの劇団の稽古場でしたが
稽古のはじめに
「演劇史に残る名作…とまではいかなくとも、『なかなかやるな〜』と思ってもらえる作品を!」という
いつも自然体の朴先生の、肩肘張らない目標設定はなかなか的確だったと思います。
終演後のレセプションで、中国の演劇人から上海の演劇祭への招待のお声がかかったとか。
ソウル市の重役は、ソウルでの公演の提案もしてくれました。
アジア各国の演劇人も参加するこのレセプションの席で
「お母さんの十八番」の登場人物で、
お母さんの葬式に派手な衣装で登場し「いい日旅立ち」を熱唱して
家族にお母さんとの微妙な関係を打ち明けて去っていくギタリストくずれ…という設定の
私が演じた、ちょっとお馬鹿な男の演技を気に入ってくれたらしく、
握手をしながら笑顔で話しかけてくれた民族衣装を着ていた男性…
モンゴル語通訳さんによると、
アジ舞の会議に出席するためにやってきた
モンゴル代表のコメディアンのアグルーさんは
国からの文化勲章を授与されるほどの超有名人らしいのですが、
(アグルーさんの左胸、勲章に注目!)
そんな芸能人然とした態度は全く見せず、とても魅力溢れる笑顔で、
彼の可愛い娘さんや美人の奥さん、
義兄弟、横綱日馬富士関との写真などを見せてくれたり、
鼻から吸うネズミ色の謎の粉を振る舞ってくれたり…(友好の証の嗅ぎタバコです)
モンゴル人というと蒙古襲来のイメージですが、
私の人生で初めて話したモンゴル人が彼なので、
お陰で私の中のモンゴル人の印象はすごく良くなりました。
しかし、顔は日本人と似てますが、
仁王立ちで挨拶するアグルーさんの体幹の強さを物語る堂々たる風格は
馬を自由に操る草原の民の血脈を連想とさせるもので
日本人を抑えてモンゴル人が横綱になるのも納得させられました。
(さすがはチンギスハンの末裔)
今回のように、芸術祭が新しい作品を生み出す試みは
今後様々な地域で成されてしかるべきだし
こういう試みによってアジア文化圏での交流が活性化し、
より優れた作品が生み出される予感がしました。
(左から時計回りに通訳で大活躍のミョンファさん、妹役のかおりちゃん、演助のチヘちゃん、お母さん役、青年座の那須さん、アマヤドリを円満退団した姉役えみさん、朴先生、奥野、アグルーさん、お父さん役の下総さん、昨年男役で出演してたダンサーでもあるベイブルさん、そしてプロデューサー宮城監督)
そして、SPACでも
日韓の共同制作で生み出された「ロビンソンとクルーソー」が
年明けの1月19日から上演されます。
演出は韓国演劇界では知らぬものなしのイ・ユンテク先生
子供も楽しめる、いい作品です。
キャストは三島景太と仲谷智邦、
日本人と韓国人が無人島を舞台に繰り広げる抱腹絶倒の二人芝居です。
http://spac.or.jp/13_robicru.html
それに先駆けて、
年の瀬、12月28日は東京で、
そのイ・ユンテク先生の劇団の旗揚げメンバーの一人
ペ・ミヒャンさんがオーナーを務める
アートカフェ百舌でリーディング・カフェが14時から行われます。
素敵な仲間と出会えて、芝居の見所もよくわかって好評の企画です。
お時間ある方はぜひご参加くださいませ。
12月28日(金) 14:00 『ロビンソンとクルーソー』
会場:ART CAFE 百舌
(東京都荒川区東日暮里6-28-5 サカイリグリーンパークB1F)
参加費:1,200円(ドリンク代含む)
他にも県内で続々開催します!
詳しくはこちら
追伸…
そして、嬉しいお知らせが…
「お母さんの十八番」でお母さん役を演じられた那須佐代子さんが、
第47回紀伊国屋演劇賞の個人賞を受賞したというニュースが…。
わかちゃん、すごーーい!
おめでとうございま〜す!