10月17日、SPACの拠点のひとつで日本平にある舞台芸術公園のお隣さま「しずおか里山体験学習施設 遊木の森」でリーディング・カフェを開催しました。
この日のリーディング・カフェは「たき火を囲んでのリーディング!」と事前にうたっていただけに、当日の雨には「そんなあ!」とスタッフ一同嘆きましたが、奇跡的に?雨があがり、ちゃんと火をおこすことができました!
参加者は遊木の森の広大な自然に足を踏み入れて枯れ木を拾い、遊木の森スタッフの皆さんに助けられながら火を起こし、一人一人に用意された灯篭のロウソクに明かりをともして戯曲を読みました。なんという風情!
こんなリーディングの会、日本中どこを探してもないでしょう。それもこれも遊木の森の皆さんの熱意のこもったご協力のおかげです。一人ずつの専用灯篭は遊木の森さんのお手製なんです!
頭が下がります。
今回読んだのは泉鏡花の『夜叉ヶ池』。越前の山奥にある夜叉ヶ池を舞台にしたこの戯曲、自然に囲まれて読むにはうってつけでした。物語の舞台が目の前にひろがっているような錯覚に陥ります。ろうろうと燃える火にてらてらと紙面が照らされて、そこに書かれたせりふの数々を目で追って声に出す…
電気の照明に慣れている私たちにはこんなにも火の灯りがやさしく魅力的だとは驚きです。ひとときも動きをとめないんですね、火は、当たり前ですけど、だから光もずっと動いているし、そのぶん影も絶えず形を変える…
戯曲をみんなで読みながら、一方で火そのものに癒されるような、なんとも趣深いリーディング・カフェになりました。
休憩時間には遊木の森さんから栗茶と栗の渋皮煮がふるまわれました! 参加者もSPACメンバーも遊木の森さんのおもてなしに大喜び!
はじめて会った人とも話が弾みます。リーディング・カフェが人気なのは、戯曲を読むおもしろさはもちろんですが、全員が役を演じるためのせりふを声に出しますから、思わず心をひらいて人と話ができるところに、そのヒミツがある気がします。人と出会える感じがするんですね、きっと。
これからも遊木の森さんとタッグを組んで、自然と出会える、人と出会える場をつくろうと思いますので、みなさま、ご注目ください。