SPAC制作部が「ふじのくに⇄せかい演劇祭2014」上演作品をわかりやすく紹介するリレーブログ。
まずは・・・
演劇祭の開幕日をドーンと彩る、本演劇祭の超目玉!
ドイツから初来日、ニコラス・シュテーマン演出による
『ファウスト 第一部』。
http://spac.or.jp/f14faust.html
『ファウスト』はドイツの文豪・ゲーテ(1749~1832、満82歳没)の代表作といわれる
二部構成の長編戯曲です。
ゲーテといえば他にも、自身の実体験をもとに書いたと言われる
『若きウェルテルの悩み』などの名作を世に送り出しています。
『ファウスト』の第一部はまだ彼が20代だった1808年に、
残りの第二部は晩年に書かれ、死の翌年1833年に発表されました。
まさに、ライフワークとしてその一生をかけて取り組んだ大作です。
物語は、実在したと言われるファウスト博士の伝説がもとになっています。
<年老いたファウスト博士はありとあらゆる学問を極め尽くした末、
知識の限界というものを知り絶望する。
そこへ悪魔メフィストフェレスが現れ、
「世界の全ての喜びを体験させてやろう」と言い寄る。
二人は契約を交わしてしまう。ファウストが
「時よ止まれ、おまえは美しい!」
と口にしたら、自らの魂をメフィストにやらねばならない。
こうして青年に若返ったファウスト博士と悪魔メフィストの
時空を超えた壮大な旅が始まる・・・。>
というストーリー。
「題名は聞いたことはあるけど・・・よく知らない」という人もご安心を。
実は・・・私もそうです(汗)
そこで、『ファウスト』のこと、少しだけ紹介します!
1.翻訳
『ファウスト』を初めて日本語訳したのは、かの森鴎外。
明治期の翻訳ですが、その完成度は今でも高く評価されています。
たとえば、「時よ止まれ、おまえは美しい!」の名台詞が出てくるこの場面。
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容赦はならぬ。
己がある「刹那」に
「まあ、待て、お前は実に美しいから」
と云ったら、君は己を縛り上げてくれても好い。
己はそれきり滅びても好い。
(森鴎外訳)
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現在は、他にも多くの翻訳が出版されています。
訳者によって文体や言葉の選び方も微妙に異なります。
【己がある「刹那」に「まあ、待て、お前は実に美しいから」と云ったら】
の部分、他の翻訳を見てみると、たとえば
「私がある瞬間に対して、留まれ、お前はいかにも美しい、といったら」
「もしとっさにいったとする、時よ、とどまれ、おまえはじつに美しい―
もし、そんな言葉がこの口から洩れたら」
などと訳されていて、印象が違ってきます。
本屋さんや図書館で『ファウスト』コーナーを見つけたら、
こうやって比較してみるのもおもしろいですね。
そして、『ファウスト』は演劇以外にも影響を与えています。
2.音楽
クラシック音楽でもインスピレーションを受けた作品を手がけた作曲家は多く、
シューベルト、ワーグナー、リスト、マーラーなどが挙げられます。
シャルル・グノーのオペラ『ファウスト』も有名です。
3.漫画
手塚治虫が小さい頃から愛読していたそうで影響を受けた三作品を残しています。
『ファウスト』
ファウストやメフィスト、ファウストが恋するマルガレーテもでてくる。
『百物語』
妖怪と人間の旅を描いた物語。
『ネオ・ファウスト』
病床で最後まで筆を握り、ついには未完のまま絶筆となった。
などなど。
さあ、そんな『ファウスト』を静岡で上演するのは
いまドイツで最も勢いのある演出家とも称される
ニコラス・シュテーマン。
この作品はベルリン演劇祭2012の大賞を受賞しました。
ご本人も同年、演劇批評誌が選ぶ「年間最優秀演出家賞」に輝いています。
実は、シュテーマンさんは元・ピアニスト。
4/26~27の公演当日は、開演前にシュテーマンさん自身による
ミニ・コンサートが静岡芸術劇場ロビーで行われます。
http://spac.or.jp/f14faust.html
出演する3人の俳優も、ドイツを代表する実力派。
その巧さには誰もが酔いしれます。
舞台では映像が流れ、バイオリンに歌にダンスに、見るものを飽きさせません。
ドイツでの上演は第二部とあわせて約8時間!
終わるのはなんと夜中2時・・・!
それでも誰も帰らないで最後まで見るほどおもしろい!
(詳しくは、パンフレットP17に観劇レポートがあります。)
http://www.shizuoka-ebooks.jp/?post_type=bookinfo&p=1922
それほどまでに【絶対に眠くならない名作】なのです。
話がわからないかも・・・と不安に思う方には
あらすじをわかりやすく解説する、開演前のプレトークもあります。
http://spac.or.jp/f14faust.html
名作だと肩肘張らず、
普段着で、お気軽に劇場にお越しください。
劇場で、ドイツのみなさんと一緒にお待ちしております!
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【予告】
なんと、この舞台に参加できるチャンスがあります!
近日中に、「ニュース」ページでエキストラの募集を発表します!
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佐伯風土