3月16日から23日まで、6月に新潟、神奈川、兵庫で上演される新潟市のレジデンシャルダンスカンパニーNoism『カルメン』の第一期稽古のため、新潟まで行ってきた。
Noismの芸術監督の金森穣さんは日本の舞踊会の牽引者、優れた作品を定期的に世に出している実力者である。作品のクオリティーは高く、静岡にもファンは多い。
〈撮影:篠山紀信〉
新潟への移動日、今から新潟に行くことを何人かのSPACメンバーに告げた時の反応は、「いやー大変ですね〜(汗)」か「羨ましい〜♥」のどちらか。
新潟は曇り空が多いことは聞いていたが、初日からあいにくの雨天。未知の世界への第一歩、不安と緊張が否応無く押し寄せる。はじめてSPAC作品に出演する俳優の皆さんも、きっとこういう気分を乗り越えていらっしゃるのであろう。
コンサートホール、劇場、能楽堂、リハーサルスペースなどがあるりゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館はとても大きく、敷地も広い。
緑の中に劇場が高々とそびえている感じ。
Noismには「Noismメソッド」があるらしいということは前々から聞いていた。
年明けに打ち合わせのため新潟に来させて頂いたとき、穣さんも「良かったらメソッドだけでも受けてみてはいかがでしょう?」と言ってくれたので…
お言葉に甘えて初日いきなり9時半からのメソッドを隅っこで受けさせて頂く。
Noismトップダンサーであり、副芸術監督の井関佐和子さんの指導。佐和子さんはじめダンサーの皆様もとても暖かく迎えてくださった。
小一時間に及ぶメソッドで内部から体を徐々に起こしてから床に寝転がっての様々なムーブメント、正座からの動き等々、きつい体勢も数ありましたが、音楽に合せて朝からとてもいい汗。
出だしの10分は椅子にすわったままでも無理なく出来ると思うので、仕事能率アップを目論む一般企業なんか関心を示されるのではないか。
メソッドが終わり、休憩のあとは穣さんとダンサーの皆様はバーレッスンだが、さすがに私が紛れ込んでいるとかなりお邪魔になるので、別室で自主稽古。
バーレッスン終了後、穣さんが来て今回演じさせていただく考古学者の台詞と動きの稽古を差し向かいでみっちり1時間半。
台詞一つ一つの動きや間、呼吸など厳密に指示していく演出姿勢に、かつて味わった抜き差しならない空気が甦り、終わったらいつもじっとりとした汗。
昼食後から夕方の6時までNoism若手ダンサーの吉﨑さんより、振りうつしの作業。
今回最も多くの時間を共にした吉﨑さん、明大演劇科で学び、お父様は1077試合連続出場の記録を持つ力士、薩州洋(さっしゅうなだ)こと、立田山親方だそうで…父親譲りの体格の良さ、これからの活躍が期待される。
しかし日本に住んでいながら国技であるお相撲さんのご子息とお目にかかったのは今回が初めてです。
覚えの悪い私に吉﨑さんは根気強くお付き合いくださり、また学者の妻ドロッテと謎の老婆を演じる石原さんも時間の許す限りお付き合いくださって、とても助かりました。
四日目はいよいよNoismメンバーと合同稽古。
学者がらみのシーンを中心に、三幕途中まで。
翌5日目には全ての場面をあたり、あたまからビデオに収録、
とりあえずなんとかかんとか全出演シーンを穣さんに演出していただくことができ、とても中身の濃い5日間でした。
最終日の夜はりゅーとぴあ内のかなり本格的な能楽堂で上演していた、市民の方々によるギリシャ悲劇『メデイア』を観劇。
そのあと何人かのメンバーさんと「SURIKEN(手裏剣)」という居酒屋さんに食事に行って来ました。日本海の新鮮なお魚がとても美味しかったです!
劇的舞踊『カルメン』、歴史的な舞台になるかと思います。
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奥野晃士