ブログ

2020年2月19日

『メナム河の日本人』の魅力⑤ 開幕しました!&衣裳の秘密

『メナム河の日本人』2月15日に開幕しました!!
本作は、キリスト教文学でもよく知られる遠藤周作さんが1973年に発表した戯曲で、江戸時代初め日本を離れアユタヤ(タイ)にわたり活躍した山田長政を主人公とした歴史活劇。
山田長政は静岡出身で、タイと日本を繋いだ歴史上の人物としてタイでも馴染みのある偉人です。公演初日には、在京タイ大使館より、大使のシントン・ラーピセートパン氏と参事官のウィチュリー・チョートベンチャクン氏がご来場くださいました!
 
IMG_3735

★関連記事 2月17日付静岡新聞「タイ駐日大使、SPAC山田長政劇を鑑賞 静岡で俳優らと面会」
 
ほかにも、遠藤周作さんの戯曲ということで観に来てくださる方や、今井朋彦さんの演出が気になって来てくださる方など、この作品の間口の広さがうかがえる客席となりました。
舞台写真とともに、お客様からいただいた感想をいくつかご紹介します!

2020.02.14-149

「長い上演時間が気にならないくらい濃い時間で、見ごたえ十分でした。」

2020.02.14-224

「いつものSPACとは雰囲気が違って、これもまた面白かった。生身の人間としての長政がそこにいました。」

2020.02.14-194

「遠藤周作の死生観や宗教観が感じられ、俳優さんたちのお芝居も素晴らしかったです。」

★関連記事 ステージナタリー
【公演レポート】一緒に作品世界を旅して、今井朋彦演出のSPAC「メナム河の日本人」が開幕(コメントあり)
 
そのほか感想としてたくさんいただいたのが、舞台美術と衣裳の美しさ!
今日のブログでは、衣裳製作の裏側を少しご紹介します。
舞台美術についてご紹介しているブログはこちらから。
 
本作の衣裳デザインを担当したのは、SPAC創作・技術部の駒井友美子。
『メナム河の日本人』では、一人ひとりの衣裳を作り始める前に、舞台美術との調和・登場人物が並んだときのグラデーションを意識したと言います。
発想するきっかけとなったのは、第一期稽古の際の演出・今井さんの「境目がない」「移ろいやすい」という言葉たち。
本作で描かれる、大王亡き後の後継者争いにおける様々な人間模様を、視覚的に表現する衣裳となっています。
 
IMG_3669
▲参考資料を見せてもらいました。このほかにも水墨画などを参考にしたそうです。
 
IMG_3353
▲ずらっと並んだ衣裳たち。色味だけでなく布の質感も調和がとれています。
 
IMG_3502
▲デザイン画
 
山田長政は、王宮に仕える傭兵部隊の隊長であり、日本人町の頭であるため、王宮と日本人町どちらのシーンにも登場します。
そのため特に長政の衣裳は、どちらの風合いにも馴染むようにこだわって作られています。

また今回の衣裳は、既製品を使用せずすべて一から作り上げられています。
大量の布を使った舞台美術の揺れとの相乗効果が生まれるように、衣服用の布だけでなくカーテン用の生地なども使っているそうです。
 
2020.02.14-237
▲王宮のシーン
 
2020.02.14-217
▲日本人町のシーン
  
IMG_3676
▲日本人町の登場人物の衣裳。後ろが透けて見えるほど薄い生地でできています。
 
本番が始まってからも、日々の洗濯・ケアだけでなく、少しずつ手直しが行われています。
観劇にいらした際は、一着一着こだわり抜かれた美しい衣裳にもぜひ注目してご覧ください。

IMG_3671
▲見えていない裏地までしっかり作りこまれています
 
IMG_3672
▲王宮の人物たちが身に着けているアクセサリーもすべて衣裳班が製作。王妃のイヤリングのモチーフには象が使われています。
 
『メナム河の日本人』一般公演は残り2月23日(日・祝)、24日(月・休)、29日(土)、3月1日(日)、7日(土)の5回!
舞台裏をご覧いただける「バックステージツアー」は、後半4日間の公演終了後に開催!
SPAC創作・技術部のスタッフが、舞台美術・照明・音響・衣裳のそれぞれをじっくりご紹介します。
参加は無料です!公演と合わせてぜひお楽しみください♪

====================
SPAC秋→春のシーズン2019-2020 #5
『メナム河の日本人』
2020年2月15日(土)、16日(日)、23日(日・祝)、24日(月・休)、29日(土)、
3月1日(日)、7日(土)
各日14:00開演
会場:静岡芸術劇場
演出:今井朋彦
作:遠藤周作
出演:林大樹、阿部一徳、大内智美、大高浩一、奥野晃士、加藤幸夫、小長谷勝彦、佐藤ゆず、たきいみき、布施安寿香、三島景太、山本実幸、吉植荘一郎、渡辺敬彦
★公演詳細はこちら
====================