新型コロナウイルスの影響下で劇場を開けることが出来ない現在、SPACとしてはなんとか演劇を求めている人達に演劇を届けることが出来ないかを試行錯誤し、新規事業として「SPACの劇配!~アートがウチにやってくる~」を立ち上げました。
その中の一つに「SPAC出張ラヂヲ局~電波で演劇とどけます!~」(以下、出張ラヂヲ局)という福祉施設向けの企画があり、おかげさまで好評いただいております。
▲静岡県内での「出張ラヂヲ局」実演の様子
今回は利用を検討されている施設関係者の方に向け、実際にどのようなことを行っているのかを知っていただくため、先日7月7日、静岡市葵区にある介護老人福祉施設で実施した模様をレポートします。
【そもそも「SPAC出張ラヂヲ局~電波で演劇とどけます!~」とは?】
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「出張ラヂヲ局」で実際に使用するのは、FMトランスミッターという小型電波発信機。この機材を使用して施設の外からFM波を送信し、建物内のラジオで受信して聴いていただきます。
静岡芸術劇場でも建物内で電波を受信出来るか検証を繰り返しました。画像の通り、朗読などを行う俳優と観客の間にはガラス窓があるので接触はありません。また施設側でご準備いただくものは受信用のFMラジオだけで、機材など特別必要なものはありません。
▲場所を取らない簡素な設備で実施可能
この日、施設へお伺いした俳優は吉見亮、ながいさやこの二名。
二人共この日が初めての実演でしたが、落ち着いた面持ちで楽器や台本の準備をしていました。もちろん毎回施設を訪問・実演するのはプロの俳優とスタッフで、訪問先が野外であったり居住空間であっても、そこを劇空間にがらりと変えて本番に挑みます。
まずは吉見の心地よい太鼓の演奏からスタート。太鼓の響きは、雑味なく身体に振動を届け、その単純明快な迫力は聴く人に活力を与えます。
▲迫力のある演奏をする吉見亮
太鼓に続いては俳優二人による、入所者の七夕の願い事を読み上げるコーナー。ながいが願い事の書かれた短冊を読み上げ、吉見がそれにポジティブで前向きになれる言葉を添えるものでした。このコーナーは事前に施設のご担当者と話し合いをし、実施日が七夕に近いということから実現したものです。
朗読や演奏だけでなく、なにかしら要望などを事前の打ち合わせでお話いただければ、こちらも可能な限り対応し、聴いていただく入所者の方により満足度の高い時間を提供出来るよう努めています。
最後はながいの朗読。この日の朗読の演目は宮沢賢治の『よだかの星』でした。決して簡単な話ではありませんが、じっくりと聴かせる朗読で作品の魅力を伝え、入所者の方たちは作品の世界に浸ってくださったようでした。
▲しっとりと読み上げ、作品を届ける ながいさやこ
終了直後、実演前には居なかった各階の入所者の方たちが、窓越しに様子を見に集まってきてくださいました。皆さん生き生きとした笑顔を見せ、温かい拍手を俳優たちに送っていました。職員の方も「非日常が飛び込んできたような感じがした」と終了後に仰り、「また来て欲しい」との言葉を頂きました。
コロナ禍の渦中、日常を制限されている中で、私たちSPACはこういった活動をしています。まだ劇場にお越しいただくことはできませんが、演劇を必要としている方がいることを実感でき、私たちスタッフにとっても励みになっています。
もしもこの文章を読んで、少しでも興味が湧いたという福祉施設関係の方がいらっしゃいましたら、気軽にご連絡頂ければと思っております。
SPAC制作部
鈴木達巳
【お問い合わせ・お申し込み先】 ☆実施施設募集中☆
SPAC-静岡県舞台芸術センター
担当:芸術局 制作部 「SPAC出張ラヂヲ局」 制作・中尾、雪岡、鈴木
〒422-8019 静岡市駿河区東静岡2丁目3-1
電話:054-203-5730 FAX:054-203-5732
E-mail:nakao@spac.or.jp
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