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2008年7月13日

守番日記3 椎と孟宗竹~時間と空間の景色~

 樹木は乾燥に耐えられなくなると枝枯れを起こす。それは、枯れてしまうのではなく、生きる術として自ら枝を枯らすのだそうだ。そのようにして全体の乾燥を抑え、一方では、水気を探して根を伸ばしていくというのである。 

 同じ生きる術にしても、大木と孟宗竹の地上での争いは凄まじい。

 里山が孟宗竹席捲の脅威に晒されているのは知っている。丈が高く密集する習性もあって、他の樹木への陽光を遮り、枯らしてしまうのだと考えていたが、内実はそんな方程式通りではなさそうだ。 

 大木は嵐の猛威を一身に受け止め、その力をもって纏わりつく軍団を叩きのめす武器にしているように思えてならない。

 というのは、侵入者の孟宗竹が勢いに任せ木々を飲み込みながら、梢の周囲の直径が二十メートルを優に超える椎や樫の大木に迫っている。この段階で大抵の自生の樹木は絶えてしまっているが、大木の周りでは、自身の傷つき枯れ落ちた太枝とともに、芯を止められ、葉をそぎ落とされ、根元もぐらぐらの無残な姿の孟宗竹が散乱している光景が一箇所や二箇所ではない。両者の攻め合いがいかほどのものであったか、あまりにも痛ましく唖然とさせられる。戦いは何としても未然に防ごう。 

 もう一つ大切なことを教えられた。椎や樫は強いだけで生き延び君臨しているのではない。自らも弱り枝葉を振るった分、陽光を地表に導き、根元に眠る種子の発芽を促している。

 既に、わが子だけでなく、アオキやヤブコウジ、隠れ蓑などの一族も芽生え、彼らも新しい集団をつくり始めている。  

 舞台芸術公園での話である。