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2021年1月21日

病ブログ2020-2021#2 潤色・演出 ノゾエ征爾さんに聞く『病は気から』の魅力

病ブログ第二回は、
潤色・演出のノゾエ征爾さんへのインタビューを一挙公開します!
(演目担当の北堀瑠香がインタビューしました)


 
——『病は気から』再再演に向けての稽古は、いかがでしょうか。

静岡芸術劇場に久々に来たときに、あ〜ここだ、ここだ!という感じでゾクゾクっとしたのですが、その次にまた新たなゾクゾクがあって…。
というのは、今回はコロナ対策(※)をした上で上演していくため、結構演出も変えるところがあり、みんなで、「こうじゃないか?」「こうした方がいいのではないか」と一つ一つ確認しながら進めています。それも引っくるめて楽しくやらせてもらっています。

※SPACでは舞台上での感染症予防対策として、マスクの着用、小道具の受け渡しの際の消毒などを徹底している。
 
—— SPACの対策は、厳しいと思いますか?

どう捉えるかなかなか一言では言えないのですが、「厳しいのか?」っていうと、厳しいという言葉よりは「ちゃんとしている」ということだと思います。
こちらでは上演が中止されないよう、確実に上演を果たせるように「あ、ちゃんと(対策)されているのだな」という印象です。
 
—— ノゾエさんにとって『病は気から』の魅力はなんだと思いますか?

モリエールによって書かれた350年も前の作品ですが、何一つ今の僕らが共感できないところがなく、「全部わかる」。変わらない人間の「様」というものが、さらに350年という年月の中で厚みも増して、普遍性がすごく強い、多くの方に届くものになっているのではと思います。
なので安心してとりかかれるというか、ちょっとやそっとのことでは壊れない厚みのような、作品に対する安心感を感じていますね。
 
—— 『病は気から』はモリエールの原作に、ノゾエさんが潤色、つまりアレンジを加えて演出していますが、ご自身で書かれたオリジナルの台本を演出する際とは違う、大変な点や面白い点はありますか?

大変ということではないのですが、やっぱり他の方が書いているというところで、書かれた意図などを全部が全部わかっているわけではない。ちゃんと読み深めていかないといけないですし、その作業は自分で書いている時よりありますが、自分の中からは出てこないものがそこにはたくさんあるので、苦労よりも楽しみの方がすごく多いですね。
自分ではこんなの全然書けないな、思い浮かばないなというものに触れられる喜びの方が多い気がします。
 
—— ご自分でも書かれるからこそ実感できることですね。

そうですね。そのありがたみをより知っている気がします。
「いや、これみんな結構さらっと読むかもしれないけど、その言葉なかなか出てきませんよ」とか、「この設定なかなかすごいですよ」とか。
っていうのは、書いているからこそ感じる部分が多いかもしれませんね。
 

 
—— 『病は気から』はモリエールの最後の作品ですが、ノゾエさんは死ぬまでに挑戦したい作品などはありますか(笑)?

(笑)具体的にというとやりたい作品はたくさんありますが・・・、でも死ぬまでこの仕事をやっていたいなっていうのはありますね。
もし仮に今、才能がある程度ある状態だとしたら、たぶんこの先、ある意味枯れていくものもあるでしょうし、逆に年輪と共に増していくものもあると思うんですけれども。
引退とかそういうのなしに、ずっとたくさんのお客さんの中でやれていたら最高だろうなあとは思いますね。
 
—— 最後に、『病は気から』の上演に向けての意気込みとお客様へのメッセージをお願いします。

もう3回目なのですが、本当に全然飽きないです、この作品。350年やり続けられてきたものを、3回やっているからこそ、より感じているような気もして、本当に皆さんに見ていただいて、皆さんと一緒に共有したいと思っています。
こんな時期ではありますが、もしよかったらぜひ劇場で、同じ空間でこの楽しい作品を一緒に笑えたら嬉しいなと思っています。ぜひお待ちしております。
 

 

2020年12月17日 静岡芸術劇場にて

聞き手:北堀瑠香(制作部)
テキスト:川口海音(制作部)
インタビュー撮影:中尾栄治(制作部)

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秋→春のシーズン2020-2021 #2
『病は気から』
一般公演
2021年1月23日(土)、24日(日)14:00
会場:静岡市民文化会館 中ホール
潤色・演出:ノゾエ征爾
原作:モリエール(「モリエール全集」臨川書店刊/秋山伸子訳より)
出演:阿部一徳、石井萠水、大高浩一、加藤幸夫、榊原有美、富川一人、本多麻紀、牧山祐大

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