この夏、演出のジャンさんと演出助手のエメさんが来日して行われた、『守銭奴 あるいは嘘の学校』の第1期稽古が、秋の訪れとともに終了。
今回のブログでは、ここまでの稽古の様子を振り返っていきます。
「モリエールの『守銭奴』をこのメンバーでやる」ということ以外は、ほぼ何もないところから第1期稽古がはじまりました。まずは、さまざまに配役を入れ替えながら戯曲を読み、話し合いを重ねて理解を深めながら、ジャンさんとSPACによる新しい“守銭奴”を芽吹かせるといった作業からスタート。
2週目半ばからは、初週のテーブル稽古で話し合ったことをベースに、俳優が動きを考えてシーンを組み立てていきます。俳優からの提案に対して、ジャンさんが追加で演出をつけたり、課題をだしたりしながら試行錯誤を繰り返すことで、作品の骨格が徐々に姿を現します。さらに今回は、通訳・ドラマツルギーでもある平野暁人さんが、ジャンさんと俳優たちが作り上げていくSPAC版『守銭奴』にあてて翻訳をするという、なんとも贅沢なクリエーション。演出家、俳優、翻訳家が一丸となって、モリエールの古典戯曲に大胆に切り込み、新しい風を吹き込んでいきます。
▲左から演出助手エメさん、演出ジャンさん、翻訳・通訳・ドラマツルギーの平野さん
3週目以降は、稽古場を芸術劇場のリハーサル室に移し、棚川さんの手によって瞬く間に音楽がつけられていきました。SPACならではの俳優による生演奏や、耳に残る印象的な音楽でダイナミックにテンポ良く作品を引っ張っていきます。
また、ここ最近は俳優としての活動も多いジャンさんが、クラウン(道化)のテクニックや喜劇のための演技術などの話しを交えながら、この作品の肝となる“コメディ”の部分も突き詰めていきます。真剣な話し合いが行われていると思いきや、その直後には全員大爆笑!といったような風景が、稽古場には広がっていました。
『守銭奴』のクセのある登場人物たちの造形には、衣裳やアクセサリーもとても重要。衣裳デザインの駒井さんが用意した仮衣裳もまた、仮とは思えないほどの強烈!な存在感で、登場人物たちの個性をさらに際立たせ、笑いを増幅させています。本番ではどのような衣裳になるのか、とても楽しみです♪
充実した第1期稽古を終えて、座組みは10月まで一旦解散。この夏の稽古で得たものをそれぞれに持ち帰って、しっかりと咀嚼し消化させる期間となります。第2期稽古では、どのような『守銭奴』にパワーアップしていくのか、引き続きご期待ください!
(制作部:計見葵)
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SPAC秋→春のシーズン2022-2023 #2
モリエール生誕400年記念/新作
SPAC版『守銭奴 あるいは嘘の学校』
2022年
11 月 26 日(土)、27 日(日)
12 日 3 日(土)、4 日(日)、10 日(土)、11 日(日)
各日 14:00 開演
会場:静岡芸術劇場
演出:ジャン・ランベール=ヴィルド
翻訳・通訳・ドラマツルギー:平野暁人
アーティスティック・コラボレーター:ロレンゾ・マラゲラ
音楽:棚川寛子
出演:貴島豪、大高浩一、木内琴子、永井健二、ながいさやこ、本多麻紀、
三島景太、宮城嶋遥加、山崎皓司、吉植荘一郎
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