SPACでは、舞台芸術にふれる機会が少ない方々にも、楽しんでいただける演劇作品の創造・上演するプロジェクトとして、SPACインクルーシブシアター「てあとるてをとる」を立ち上げ、去年は1作目となる『ちかくにあるとおく 〜鏡の国のアリスより〜』を創作し、静岡芸術劇場ロビーのほか、県内各地の特別支援学校でも上演しました。
▲静岡芸術劇場ロビーでの公演時の様子
▲特別支援学校での公演の様子
「光と音の演出が素晴らしかった!」「もっと観ていたかった!」「このような公演をもっとやってほしい!」などなど嬉しいお声をたくさんいただき、今年も再演が決定!
ということで、来月の公演に向けて稽古もはじまりました〜♪
こちらのブログでは、稽古の様子はもちろん、視覚・聴覚に障がいを持つ方や言葉がわからない方を迎えるにあたっての試行錯誤、赤ちゃんからお年寄りまで、そして障がいのあるなしに関わらず、あらゆる方々がリラックスしてお芝居を楽しめるための工夫などをご紹介していきたいと思います。
このブログを読んで、「観てみたい!」「劇場に行ってみたい!」と思っていただけたら本望ですが、劇場に足を運ぶことが困難な方にもプロジェクトのことや作品について少しでも興味を持っていただけたらなと思います。
さて、まず最初に「インクルーシブシアター」について、少し書いてみたいと思います。
「インクルーシブ社会」「インクルーシブ教育」など、「インクルーシブ」という言葉を耳にする機会が増えてきました。
でも、そもそも「インクルーシブ」って何のことなのでしょうか?
個人的にとてもわかりやすいと思ったのは、「エクスクルーシブ(exclusive)=「排除的、排他的」の反対語であるという説明でした。要するに、一部の人を外に追い出したり、のけものにしない演劇/劇場が、「インクルーシブシアター」ということですね。近年では国内でも盛んに取り組まれていて、全国各地の公立劇場が高い関心を寄せています。私もオンラインの講習会に参加したりしました。
ちなみに、プロジェクト名の「てあとるてをとる」は、テアトル=théâtre(フランス語で劇場・演劇の意味)で、お客さんも出演者もスタッフもみんなで手を取りあい、全てを包み込むような企画になればという想いを込めて付けられました。
では、SPACのインクルーシブシアターとして、「みる」「きく」ことが不自由な方にも多感覚で楽しんでいただくためにはどんなことができるのか、そして物理的/心理的に劇場に足を運ぶことが困難な方が「これなら安心して行ける」と思っていただくにはどうしたら良いのか…こうして去年の夏、試行錯誤しながらの創作がはじまりました。(続く)
(制作部・計見葵)