GWに開催された、ふじのくに⇄せかい演劇祭から一ヶ月。紫陽花が鮮やかに咲く季節となりました。このブログでは、演劇祭で上演した、間食付きツアーパフォーマンス『かちかち山の台所』について、制作を担当したながいさやこがクリエイション編と、本番編の2回にわけて公演を振り返ります。
◆第0週~顔合わせ~
平沢地域では桃が満開の三月某日。『かちかち山の台所』の顔合わせが行われました。
演出の石神さんから、作品概要が説明された後、俳優・スタッフは、自己紹介の代わりに、「平沢地域について知っていること」「たぬきについて」「舞台芸術公園の中で好きな場所」という3つの事柄について、それぞれ発表しました。
知っているようで知らない思い出のエピソードなどが共有されました。
後半は、実際に想定しているルートを下見。どんな可能性があるのか、歩きながら話し合いました。
〇参考文献
石神さんが持ってきた、色んなバージョンの「かちかち山」。
書籍によって、ストーリーが微妙に異なります。
◆第一週目~稽古開始!~
顔合わせから3週間。平沢地域と舞台芸術公園で桜が咲き始めた頃、本格的な稽古がはじまりました。台本の第一稿を元に、読み合わせ。配役が決まった状態で、再び現地へ赴き、具体的な演出や演技を想定していきました。
〇チェックイン
石神さんが演出を務める作品で、恒例の「チェックイン」。稽古のはじめに、全員が少しずつ話をしていきます。話す内容は、その日の気分や、最近気になっていることなど、なんでもOK。言葉を発し、お互いに聞きあうことで、稽古の導入の役割を果たしています。
◆第二週目~アイディアの実践!~
葉桜になり、舞台芸術公園のにぎわいも落ち着いてきたころ、稽古もより具体的に。これまで共有された、アイディアやプランを、実際に試していきました。
〇イヤホンガイド
今回の公演の鍵となるのが、イヤホンガイド。俳優が送信機を持ち、観客の皆さま一人ひとりに受信機(=イヤホンガイド)をつけてもらいます。聞こえ方や操作性に問題はないのか、また、俳優はどの様な話し方をするのが最適なのか、現地で模索しました。
〇衣裳
今回の作品では、俳優の衣裳は、主に演出家と俳優で話し合って決められました。
衣裳について話し合う中で、各役のキャラクターを深めていきます。
〇インスタレーション
ツアーの途中でお客様にインスタレーション作品を鑑賞していただく、平沢公民館の下見と、展示の打合せを、美術家の本原令子さんと行いました。
コンセプトは「かちかち山」の原作に出てくる、「あのシーン」。
どんなインスタレーションができるのか、楽しみです。
(▲舞台芸術公園をつくった当時の地図を発見。展示に使用することに。)
〇音楽稽古
今回、音楽家として参加されたのが、オーボエの奏者である漆畑孝亮さん。
(最終日はトランペット奏者の吉田雅俊さん)自然の中、どの場所でどの様に吹くのがいいか、また俳優たちとの関わり方を探りました。演奏が得意なSPAC俳優。セッションも楽しみです。
〇試食
間食付きツアーパフォーマンスである今回の公演。フードを担当するのは、舞台芸術公園で不定期開催されている「てあとろんデー」でもお馴染みのSanagi Shokudoの小川聡美さん。
この日は、ツアーの途中でお客さんに配布する、粟餅の試食を持ってきてくれました。あんこは入れた方がいいのか、入れない方がいいのか…、包み方はラップより笹がいいのでは…など、細部まで話し合いが行われました。
◆第三週目~調整!~
本番も近くなり、シーン毎の稽古が行われていきます。セリフの聞き取りにくい部分や、逆に大きすぎる部分、またどの様に言葉を出すのが良いか等、細やかな演出がついていきました。
〇所要時間とルート
ツアーパフォーマンスである今回の公演。観客は3つのチームに分かれて観劇するため、チームごとに、シーンの長さも、通るルートも異なる為、所要時間に大きな差がでないよう、検証を重ねました。
各シーンのパフォーマンス時間と、観客の移動時間を測り、エクセルでまとめて、各チームの所要時間を比較。
記録を元に、ルートを変更するなどして、ほぼ同じタイミングで最終地点に集合できるよう調整しました。
『かちかち山の台所』ブログ前編 <クリエイション編>でした。
石神さんとSPACの俳優・スタッフだけでなく、静岡で活動するアーティストとの共同制作でできあがった『かちかち山の台所』。
今回のブログでは、自然豊かな平沢地域で、「かちかち山」というよく知られる昔話を元に、公演を立ち上げていく様子をご紹介しました。
次回、本番編に続きます!
(執筆:ながいさやこ)
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【回遊型演劇/静岡】
『かちかち山の台所』
作・演出:石神夏希
日時:4月27日(土)12:30、4月28日(日)12:30、4月29日(月・祝)12:30
会場:舞台芸術公園ほか
https://festival-shizuoka.jp/program/kachi-kachi-yama/
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