夏休みが始まり、シアタースクールも連続稽古期間に入りました。連日激しい暑さが続いています。熱中症に注意しながら、集中して稽古に取り組んでいます。稽古の内容もだんだんと本格的になっています。毎日SPAC独自のトレーニングから始まり、その後シーンごとに芝居作りを進めていきます。今回はシアタースクールでの日々の稽古の内容を紹介します。
◇SPAC式トレーニング法
SPAC の俳優たちも必ず行っているトレーニングを覚えていきます。これは毎日の稽古で、期間中を通して毎回続けます。
これらのトレーニングは、現在のSPAC芸術総監督・宮城聰オリジナルのトレーニング方法や、「スズキ・トレーニング・メソッド」と呼ばれる、初代芸術総監督・鈴木忠志が考案した俳優訓練法を基にしたトレーニングです。重心のコントロールや発声方法、感覚の広げ方などを身につけ、「舞台に立つための身体」をつくっていきます。
▲トレーニング「指広げ」。手足の指先を広げながらゆっくり呼吸し、カウントを発声することで、身体感覚を開いていきます。
▲「When You Return」という音楽に合わせ、膝についている糸を指先でつまんで足を引き上げるイメージ。身体全体を力みなく敏感な状態にします。
▲スズキ・トレーニング・メソッドの「ベーシック」と呼ばれるメニューの一部を使ったトレーニング。丹田に置いた重心をコントロールし、素早くキレのある安定した「動きと発声」を実現します。
▲同じく「スタチュー」と呼ばれるトレーニング。彫像のようにポーズを決め、『マクベス』の一節を発声します。セリフを発するときに焦点をどこ(だれ)に向けるのかを意識するようにします。
◇身体の表現力を高める
『オフェリアと影の一座』の主な登場人物は、たくさんの「影」です。「影」は形も自由で重さもありません。また、今回劇中劇(劇の中で演じられる別のお芝居)として使われるシェイクスピアの『マクベス』にも、「魔」という、たくさんの正体不明の存在が出てきます。このような人間ではないかもしれない不思議なものを、自分の身体を使って現実の舞台の上に生み出していかなくてはなりません。アシスタントのアドバイスを受けて、実際にやってみます。
◇「言動分離」の手法に挑戦
SPACでは一つの役を、動きを担当する「ムーバー」と、セリフを担当する「スピーカー」の二人に分かれて演じる「言動分離」という手法を取り入れることがあります。これにより、身体の動きとセリフの感情が切り離され、人間を超えたような存在、現実離れした状況、幻想的な雰囲気などを実現できます。今回は『マクベス』のシーンを中心に使われます。
◇楽器やダンスの練習
『オフェリアと影の一座』では、劇中で楽器の生演奏が行われます。俳優による生演奏も劇団SPACの特色の一つです。また、劇中にダンスも取り込まれています。これらの練習も並行して行われていきます。
SPACシアタースクール2024 発表会
『オフェリアと影の一座』
構成・演出:中野真希
原作:ミヒャエル・エンデ
出演:静岡県内の中学校1年生から高校3年生/25名
8月17日(土)、18日(日)各日16時開演
会場:静岡芸術劇場
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