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2009年6月3日

リーディング・ナイト@NAS’H開催!

5月25日、鷹匠のNAS’Hという素敵なカフェで、リーディング・カフェのデラックス版、リーディング・ナイトを開催しました。

リーディング・カフェの参加者が15名ほどだったのに対し、リーディング・ナイトは50名と倍以上! SPACとしても初の試みでした。

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取り上げた戯曲はサラ・ケイン作の『ブラスティッド』という作品。サラ・ケインはたった5作品を残して自殺してしまったという夭逝の劇作家。『ブラスティッド』は彼女の処女作です。90年代にイギリスで初演されたときには、その過激な表現に賛否はわかれ、センセーションを巻き起こしました。問題作であるがゆえに、多くのアーティストに多大な影響を与え、今では、「現代の古典」といえる作品です。

この問題作をリーディング・ナイトで読むことになったわけですが、それというのも、この春の芸術祭で、フランス人演出家ダニエル・ジャンヌトーがこの作品を演出し、上演するからなんです。

開始前、会場となったNAS’Hには、参加者がぞくぞくと集まり、賑やかな歓談がやみません。そんななか、司会を務める二人が登場、SPAC俳優部の奥野晃士と文芸部の横山義志です。二人の漫才のような司会でリーディング・ナイトはスタートしました。

今回のリーディングが今までと少し違うのは、くじで当たった方々にミニステージに立っていただき、50人の参加者の前で戯曲をよんでもらう、ということでした。なかなかこんな機会はないと思います。そもそも戯曲を読むためだけに50人もの人が集まるということはとても珍しい現象です。しかも見ず知らずの人を前に台詞を読むわけですから、これは緊張するでしょうし、それを楽しむためにこんなに人が集まっていただけるとは、なかなかどうして貴重なことです。

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いざ読みはじめると、過激な台詞が飛び交うにもかかわらず、読む側も、見る側も、真摯にそれを受け止める、という、淡い緊張感の、独特の雰囲気になりました。DJ青木(SPAC技術スタッフ)のサウンドで、その空気が一層引き立ちます。戯曲のなかでは人間の汚い側面、特に暴力が直接的に描かれているのですが、それにただ嫌な顔をするのではなく、その意味を探ろうとするような、参加者の厳粛な表情が印象的でした。

ひと段落すると、スペシャルゲストとして、このたびSAPC製作の『ブラスティッド』を演出するダニエル・ジャンヌトーが登場。会場は拍手に包まれます。ジャンヌトー氏がこの作品について話をはじめると、演出家ならではの鋭い洞察力に、会場からは思わず唸り声が。たとえば、こんな言葉… この作品のなかでは男が男を強姦するという過剰な暴力が表現されていますが、それは愛情でもあるんです… 

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演出家だけではなく、『ブラスティッド』に出演する俳優も駆けつけました。阿部一徳、大高浩一、布施安寿香の三人です。阿部さんからは舞台美術家でもあるジャンヌトー氏を絶賛する声が! 今回の『ブラスティッド』の舞台美術はジャンヌトー氏のデザインです。阿部さんは、舞台美術も見逃せない!、と力をこめて語ったのでした。

また、鷹匠のお店を紹介するミニコーナーも設けました。撮らせていただいたお店の写真をスライドショーで紹介しました。SPAC制作部の成島洋子と佐伯風土、それから鷹匠企画の立役者、劇団伽藍博物堂の佐藤剛史さんが登場、鷹匠の魅力を語りました。鷹匠には独特のポリシーをもった素敵なお店がいくつもあります。スライドショーを見て、行ってみたい!、と思った方も多いはず。ぜひ、鷹匠の路地を散策してみてください。

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50人もの方に集まっていただき、SPACとしても、どうなることかと不安もありましたが、蓋を開けてみると、唯一無二の、文化的な空間が生まれた、と思います。

思えば、戯曲を読むためにこんなにも人が集まるのも、文化的な遊びを楽しむ心をもっている方々が、そうした気持を発散できずに、きっとまだまだいらっしゃるということでしょう。SPACとしては県民の皆様のそうした欲求に応える必要があると考えていますから、今回の試みはまずもって成功裡に終えることができたと思います。

これからも、様々な境遇の人が集い、文化を通して、同じ物事について思いを巡らせたり、新しい人間関係を築いたり… という企画を続けたいと思っていますので、応援していただければ幸いです。

鷹匠ナイト、次回は6月14日(日)から始まる「barがらんどう」@伽藍博物堂です!春の芸術祭で来日する海外カンパニーのメンバーと交流するチャンス!
詳細はこちら。http://spac.or.jp/news/?p=617