昨日は2月に公演がはじまる『本物のフィアンセ』の衣裳合わせがありました。衣裳デザイナーの堂本さんも来静です。
そして幕が開いて2週間となる『少女と悪魔と風車小屋』でも、日々、技術スタッフが俳優とともに調整を重ねています。・・・今回は、照明デザインの大迫浩二さんにお話をうかがいました。
Q.照明デザインとはどんな仕事ですか?
色々考え方はありますが、いわゆる明かりで舞台空間をどう見せるか、あるいは見せないかということと、場面をどう見せるか決めて、どのタイミングで変化させるのか、あるいはさせないかを考えること。当然演出家との共同作業の中でになりますが。
Q.どういう手順で照明をデザインされるんですか?
台本と通し稽古をみて、きっかけをどこに作るか大体考えます。必然的なきっかけと、ここで変化が入れられるかな、というところの台本に線を引き、そして具体的にどういう明かりか、機材は何を使うかということを場面ごとに作っていく。当然機材の数、種類、予算には制限があるので全てができるわけではないけど、ある中で組み合わせていきます。
Q.照明をデザインされるときに大切にしていることはありますか?
作品への関わり方によって違いますが、頭から最後まで通せる段階、お客さんと近い状態で作品をみることを大切にしています。結局は何回も稽古をみることになって、お客さんとは違う感覚になるだろうけど、はじめてみたときの感覚は持っておきたいと思っています。
Q.照明デザインの仕事で苦労する点はどんなところですか?
稽古場の段階で、こういう照明を考えている、というのを具体的にみせるのが難しいという点です。舞台美術は絵にかき、模型をつくったり、予算がゆるせば稽古場にある程度のものを組むことも可能です。音響も、完全に舞台空間での音を再現できなくても素材自体は聞くことができる。しかし照明の場合、実際に劇場に入ってからでないとわからない。例えば「ふわふわした明かり」と言ったとき、その人の言う「ふわふわ」はどういうことだろうと考える。それが実際どういう明かりなんだろうかと。自分自身でさえも照明を当ててみないとわからない。絵や言葉ではイメージを共有するのが難しく、劇場に入ってからの勝負になるという点ですかね。
写真は照明デザインを書き込んだ台本。増やしたり削ったり復活したり・・・きっかけは200を超えているとか。気づかないところで色々変化がおこっているのです。
Q.照明デザインをはじめたきっかけは何ですか?
宮城さんはぼくが照明を始めるきっかけの人なんです。大学の学祭で、クラスで演劇をやることになり、宮城さんがやっていた学生劇団の裏方の手伝いをはじめました。偶々照明の人でが足りなかったので照明の手伝いをはじめ、宮城さんの1人芝居の照明をやって、ク・ナウカにつながって・・・という感じですね。
Q.『グリム童話』は他の作品とくらべていかがですか?
照明としてはなかなか難しいことに挑戦しています。みてもらえばわかるけど、俳優、裏方も含めて、すごい力技を使っています。・・・というかローテク(笑)。ちょっとしたタイミングの変更や役者の動きに合わせて、毎日直して、変えて、互いの共同作業として繰り返し調整してます。映像を使って出来るようなことを、あえてアナログな方法でやっている点も多いので、その辺りに気づくとちょっとおもしろいと思う。バックステージツアーで裏を見てもらうとナンダこりゃ!となると思いますよ。美術や衣裳との関係では色がシンプルなので、照明もごく限られた部分でしか色を使っていないですが、他の面で割りとあれこれ表現しています。
★★★
照明デザインをされる大迫さんですが、自宅では「普通に蛍光灯つけちゃってます。いけないなと思いつつも(笑)。」と照れくさそう。「少女と悪魔と風車小屋」と「本物のフィアンセ」での照明の変化に注目するのもおもしろそうです!・・・今日はここまで!