2018年9月20日

『顕れ』パリ日記(3) ~仕込み二日目・三日目、俳優到着、舞台美術サラディン・カティールさんの話~

SPAC文芸部 横山義志
2018年9月12日(水)

 
舞台スタッフは午前9時から作業。
午後5時頃、第二陣の俳優たちがパリ・シャルル・ド・ゴール空港に到着。大荷物。
スタッフは24時まで作業。

太陽と月

 

2018年9月13日(木)

午後2時に俳優が劇場に到着。別の稽古場でトレーニング。

トレーニング1

トレーニング2

劇場スタッフと顔合わせ。

顔合わせ1

顔合わせ2

舞台はだいぶ準備が整ってきた。
早速楽器や小道具を運び込み、設置。

楽器セッティング

この『顕れ』の舞台美術を担当してくれたのはサラディン・カティールさんという舞台美術家。現場で作業も進めてくれている。

サラディン作業中1

カティールはShizuoka春の芸術祭2010で上演した『彼方へ 海の讃歌』、ふじのくに⇄せかい演劇祭2013で初演し、世界各地で上演を重ねた『室内』、そしてふじのくに⇄せかい演劇祭2018の『夢と錯乱』など、近年のクロード・レジ演出作品の舞台美術を一手に引き受けてきた。SPACとの共同製作だった『室内』を一緒に作ってきたこともあり、気心の知れた仲間。

カティールは、はじめレジ作品の舞台美術を手がけていたダニエル・ジャンヌトー(今秋東京芸術祭で『ガラスの動物園』を上演)のアシスタントとして現場に入り、ジャンヌトーが演出家となってレジの現場から離れてからは、舞台美術のコンセプトや設計も手がけるようになった。フランスでは比較的珍しい、現場叩き上げの舞台美術家。もともとは舞台装置やインスタレーションを実際に作る仕事をしていて、川俣正の作品も手がけたことがある。素材選びと加工については自信がある、という。

サラディン作業中2

(参考)レジ『彼方へ 海の讃歌』奮戦の記(2010年4月19日)

サラディン・カティールさんの出自は、この『顕れ』の物語と少し関係している。

サラディン

カティールという名前はトルコ語から来ているが、トルコ人ではない。オスマントルコによるアルジェリア支配の名残だという。サラディンという名は十字軍から聖地エルサレムを奪い返し、エジプトにアイユーブ朝を樹立したクルド人の武将の名にちなんでいる。

両親は北アフリカ・アルジェリアの出身。お父さんはカビリア人。アルジェリアのカビリア地方に住むベルベル系の民族で、色が白い。サラディンさんがお父さんの故郷に行くと、「黒人」と見られるという。

お母さんもアルジェリア出身だが、色が黒かった。お母さんのお母さんはアラブ系とベルベル系のハーフのエジプト人で、色が白く、青い目をしていた。黒人のモーリタニア人と結婚したために、村から追放されたという。このお母さんのお父さんは元奴隷だった。

北アフリカのアラブ人たちは、かつてモーリタニアなどブラックアフリカの人々を奴隷としていた。そしてフランスによる北アフリカの植民地化が始まってからも、すぐに奴隷がいなくなったわけではなかった。お母さんは1936年生まれだというので、20世紀はじめの話。

カティールさんにしても、日本を通じてアフリカと出会うことになったわけで、ちょっと不思議な縁を感じる。

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『顕れ』 フランス公演
2018年9/20(木)~10/20(土) 全27公演
 ※9/24(月)、10/1(月)、8(月)、15(月)休演
会場:コリーヌ国立劇場
◆公演の詳細はこちら
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年明け、日本でも「秋→春のシーズン」3作品目として上演します!
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『顕れ ~女神イニイエの涙~
2019年1/14(月・祝)~2/3(日) 静岡芸術劇場
◆公演の詳細はこちら
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