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2013年3月2日

『マハーバーラタ』 フランスツアー日記(18)

2013年2月18日(月) カーン
SPAC文芸部 横山義志

8時45分ホテル発、コメディー・ド・カーン/ノルマンディー国立演劇センターのエルーヴィル劇場へ。実はこの劇場では十数年前にも宮城聰演出『メデイア』を上演している。私を含めてたぶん十数人は、2回目の訪問となる。劇場のスタッフにも憶えてくれているスタッフがいた。

ここは今回のツアーでは唯一、演出家がディレクターになっていて、クリエーションを中心とする「国立演劇センター」と呼ばれる劇場。芸術監督はSPACで『スガンさんのやぎ』を上演したジャン・ランベール=ヴィルド。劇場奥の防火壁を開けてみると、『スガンさんのやぎ』の装置が見えてきた。

このエルーヴィル劇場はカーン郊外のエルーヴィル市にあり、ちょっとかつての「東側」を思わせる建築。左派が強い土地柄なのだろう。舞台横には手引きの綱がずらっとならぶ。今では珍しい手動式のバトン。重いものを吊るときには体重をかけたり錘をつけたりして上げていく。劇場のスタッフによれば、「こっちの方がいろいろ微妙な操作ができるし、本番中に上げ下げしたってモーターの音が出ないから、変えようなんていう話は出たことがない」とのこと。とはいえ、200キロのスチールデッキをバトンで上げ下げしようとするときには、舞台班総出の作業になり、かなりの緊張感が漂う。


17時から20時まで講演会があって使えないため、俳優には17時で上がってもらい、スタッフは24時まで作業。


地下室の落書き。「誰も自らの国では予言者たり得ない」。