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2009年9月11日

<萌目線。vol.10>『ドン・ファン』稽古場より

涼しくなってきましたね。

もうすぐ秋のシーズンのチケット前売り開始になります!

上演作品の一つ、『ドン・ファン』は、春の芸術祭で『スカパンの悪だくみ』を上演していただいたテアトロマランドロの作品です。

今回は、テアトロマランドロのメンバーを静岡に招き、SPACの俳優が出演するという共同製作なのです。

スイスからいらっしゃったフランス語を話すマランドロのメンバーと、静岡で日本語を話すSPACのメンバー、言葉も文化も違いますが、一つの舞台を作るという仕事に対しての熱意は一緒です!

演出のオマール・ポラス氏はコロンビア出身でいらっしゃる本物のラテン系の方です!

日本人にはないソウルフルさ、あったかーい笑顔、本当にアツーイ心を持っていらっしゃいます!

私はオマール氏に出会って、人生観が変わりそうです。

アマチュア時代から今日まで演劇を続けてきましたが、浜松という地方出身で特別美人というわけでもない私が俳優になりたいだなんて、周りの人から否定されることがほとんどでした。。

稽古場でも、学校でも。

厳しい世界なので当然なのですが、

「お前ごときが舞台に立ちたいだって?なめるなよ!」

と怒られることから始まり、稽古になれば

「違う!そうじゃない!出来てない!間違っている!足りてない!」

とダメ出しを浴びることの連続。(もちろん今でもそうです。新人なので。すいません。)

それでも、否定されても厳しくあたられても、這い上がって立ち向かっていかないと認めてもらえないと思っていました。(いえ実際そうなんですけど。)

でも、オマール氏は違います。

提出したものに対して、まず

「Tr´es bien(素晴らしい)!」

と言ってくれるのです。

やっていること、全力をつくしていることを、まず認めてくれます。

日本人ってなかなか簡単に人を褒めませんし、

夢なんて見るだけ無駄、楽しむより先にやらなきゃいけないことがある、魔法なんてありえない、愛なんて綺麗なものじゃないってのが一般的な考えじゃないですか。

でも、オマール氏は違うんです。

「現実が大変で、辛いことがいっぱいだからこそ笑って、ちょっとしたことから楽しみを見出すんだ。こんな世界だからこそ、演劇が必要なんだよ。」

「人間だけの力では成しえないことが魔法なのだとしたら、ここは自然がいっぱいあって、人間の力以外のものを感じる。ここにはまだ魔法がある。」

「楽しんで!楽しんでいるあなたたちを見せてください!」

と、言ってくださいました。

とても嬉しいことです。

そんな風に言ってくれる人には初めて出会いました。

毎日とにかくポジティブなことを求められる稽古場は、体力的にキツイこともあります。

それでもオマール氏の言葉を聞くと、なんだか世界が輝いて見えて、頑張れるんです。

ハンカチ一枚で即興を始めて、稽古場中を笑わせてしまうオマール氏を見たら、

日常に面白いことが溢れていることに気づきました。

オマール氏は魔法使いです。

私たちはオマール氏と一緒に作品を創ることができて本当に幸せだと思っています。

本当に、夢がいっぱいで、魔法にかけられるような、愛に溢れた作品になります。

是非!観に来てください!!

女2

<萌目線。>とは・・・

SPAC新人俳優石井萠水の目線で稽古場や舞台裏の様子をお届けしています。