『真夏の夜の夢』出演者インタビュー、
第9回は、割烹料理屋ハナキンの娘
「ときたまご」(シェイクスピアの原作ではハーミア)を演じる
池田真紀子です。
–池田さんが演じるときたまごの魅力を教えてください。
そうですねぇ、ときたまごの親友のそぼろちゃんと比較して考えると… そぼろちゃんは、誰かに「愛している!」と急に言われたら、かまえてしまって「素直に受け取れないわ。私、不幸になるのが怖い」という感じだけれども、ときたまごは、自分の好きなライさんとの結婚をお父さんにダメだと言われたら、ドーンと落ち込んで不幸せになり、でも彼に駆け落ちしようって言われたら、心にぱっとお花が咲いて、親友や恋人に裏切られたらドーンと落ちて… 本当に素直な女の子です。キャラクターが一定ではなくて、状況によって全く変わっていきます。すごくピュアなところもあれば、ぶりぶりしていたり、怒鳴ることもある。その幅が演じていて面白いです。かわいいところは、もっとかわいく、毒気のあるところは、もっと毒をだしていいんだと思って演じています。
<稽古風景 ときたまご演じる池田真紀子&ライ演じる泉陽二>
<ライに突然「君がきらいになったんだ」と言われた ときたまご>
–ときたまごには、詩的な美しい台詞も沢山ありますよね。
そうですね。野田さんの潤色の中で、特にときたまごの台詞には詩的な部分が多いです。ダイナミズムとテンポが命の作品の中で、それまで走り回っていた状態から、突如スイッチを切り替えるかのように身体も心も別状態にして、繊細な言葉を発しなくてはいけないのは、非常に難しいです。
–『真夏の夜の夢』の中で、好きな台詞・シーンを教えてください。
「目が悪い精」のこの台詞です。
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この世から気のせいが消えると
おもしろくもなんともなくなるぞ。
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野田さん潤色の『真夏の夜の夢』では、最初のシーンから「気のせい」は、森の中に住む妖精たち「木の精」とかけられています。この台詞は、物語の終盤で、知られざる森が燃えていく中での妖精達の悲痛な叫びなのですが、「おもしろくもなんともなくなるぞ」という切迫感のなさそうな言葉選びが好きです。森が燃えてなくなり木の精がいなくなり、「気のせい」のない世の中はきっととても恐ろしいものだと思うと、おもしろくもなんともなくなるぞ!と叫ぶ妖精の存在を切なく感じます。
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ご好評をいただいている『真夏の夜の夢』ロングラン公演、
週末の公演はいよいよ3月1日が最後となりますが、
平日の中高生向けの鑑賞事業公演は3月14日まで続きます。
中高生鑑賞事業公演は、一般の方もご観劇いただけます。
また、3月10日(月)には平日の夜公演(18:00開演)もありますので、
まだ観ていないという方、もう一度観たいという方、
どうか、お見逃しなく!
中高生鑑賞事業公演の日程はこちらをご覧ください。