『真夏の夜の夢』出演者インタビュー、
第14回は、割烹料理屋ハナキンの従業員を演じるふたりです。
仲居おてもと:桜内結う(さくらうち ゆう)
愛知県出身 A型
福助:小長谷勝彦(こながや かつひこ)
静岡県静岡市出身 O型
–おふたりが演じる「福助」と「仲居おてもと」はどんな人物ですか?
小長谷:福助は、割烹料理屋ハナキンの下足番です。シェイクスピアの原作だと、職人たちの中の機屋ボトムにあたります。森の中で結婚式の余興の芝居をしていると、頭がロバになる人物です。
桜内:私は、ハナキンに勤める仲居です。ハナキンのお嬢様「ときたまご」の近くにいて、彼女のことを気遣う存在です。私たち従業員ふたりは、ハナキンの出入り業者3人と、ときたまごの結婚式の余興芝居の練習を森の中でします。
–おふたりの役の見せどころはどこですか。
小長谷:福助は原作ではロバになるけれども、野田版だとタコになるところだね(笑)
<タコになった福助(小長谷)と妖精の女王タイテーニア(たきい)>
桜内:私たちが登場するシーンの最初の2つは、全ての動きが紙芝居のように平面的な演出で作られています。それに対して、中盤、森の中での芝居の稽古シーンは、自由に動ける演出となっています。その2つの対照的な面白さを楽しんでもらえたらいいですね。この、最初の2シーンは形式が決まっている上に、舞台の最も前側で演じるので、お客さんの様子や表情も本当に良く見えます。だからとりわけ緊張しますよね。
<福助とおてもとの最初の登場シーン
左から4番目が福助(小長谷)、5番目が仲居おてもと(桜内)>
小長谷:だから毎回このシーンが終わるとホッとするね。動きが制限されているだけじゃなくて、台詞も生演奏の音楽に完全にはめられているから、何かが突発的に起こってもアドリブはきかせられない。だから本当に緊張する。
桜内:音楽と台詞が1拍ずれただけでも影響が大きいので、舞台の袖で出番を待っている間もドキドキですよね。
小長谷:2011年の初演の時は、宮城作品に出演するのも初めてで、ここまで音楽と台詞が一つになった芝居をするのも初めてだった。当時はまだ若気の至りで怖いもの知らずでやれたけれども、今回はこのシーンの怖さが分かってきたね。でも、セリフもリズムも面白くて、笑いの要素もたくさんあるから、まずここまででお客さんに受けるとやっぱりうれしいね。
–『真夏の夜の夢』で好きなシーンを教えてください。
小長谷:森で芝居の稽古をするシーンで、「塀を立てよう。アリスの夢とそうでないところの間にさ。」という台詞の部分の曲が好き。ぽっぽっぽっぽ、ぽっぽっぽっぽ♪っていう。
桜内:そうそう。しかもあの曲はこのシーンでしか使われないんですよね。本当に楽しい曲です。私も好きですね。
小長谷:あの、のーてんきな感じが、「ほんとバカだなこいつら」っていうのをよく表してる曲だと思います。
桜内:私たち従業員と出入り業者は、笑いを巻き起こす滑稽な役どころなので、音楽もポップで軽快な感じですよね。
<森で芝居の稽古 不思議の国のアリスになりきる仲居おてもと>
小長谷:演出に関しては、毎回本番が終わった後に宮城さんのノーツ(通し稽古や本番の後、演出家によって出される改善点の指摘)がある。当たり前のことだけど、芝居は何回本番をやっても完成しないということなんだよね。作品をよりよくしていくために、いろいろな課題を与えてもらえるから、常に新鮮な気持ちで本番に臨める。ロングラン公演でも、こうして毎日ノーツをもらえるのは役者にとって幸せなことだよね。
初演でも福助を演じた小長谷の2011年のインタビューは、こちらで読むことができます。
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ご好評をいただいている『真夏の夜の夢』ロングラン公演、
平日の中高生向けの鑑賞事業公演は3月14日までです。
中高生鑑賞事業公演は、一般の方もご観劇いただけます。
3月10日(月)は平日の夜公演(18:00開演)です。
まだ観ていないという方、もう一度観たいという方、
どうか、お見逃しなく!
★公演詳細、中高生鑑賞事業公演の日程は、こちらからご確認ください。