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2015年4月7日

『メフィストと呼ばれた男』稽古場ブログ3 出演者インタビュー鈴木陽代

出演者インタビュー、第2回は、主人公クルト・ケプラーの母親ママヒルダを演じる鈴木陽代です。

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◆鈴木陽代(すずき・はるよ)◆

登場人物紹介◆ママヒルダ
主人公の俳優クルト・ケプラーの母親。劇場ではプロンプとケータリングを担当。

Q. 鈴木陽代さんの演じるママヒルダはどんな人物ですか。
 阿部さんが演じる主人公クルトの母親です。このお話は第二次世界大戦前・中のベルリンの国立劇場の劇団員たちのお話ですが、ママヒルダは俳優ではなく、俳優が稽古や本番で台詞を忘れてしまったときに台詞を教えるプロンプやケータリング(楽屋のお茶場)を担当しています。俳優たちを下から支える、可愛らしいおばあさんです。
 演出の宮城さんには、「ママヒルダはこの劇場の守り神やミューズのような存在だ」と言われました。ママヒルダは、登場する劇団員の中で、ただ一人俳優ではありません。劇場という場所は、お客さんが入って初めて演劇を上演することができて、本来の意味での劇場となる。ただ、この作品には観客役は登場しないので、ママヒルダがお客さんに一番近い目線で俳優たちを見守っていることで、この空間を劇場として成立させているのかもしれません。

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【稽古風景より】

 ラノワさんの翻案では、ト書きに「ママヒルダはプロンプをしながら、編み物をしている」とあります。SPACにはプロンプターはいないんですが、西洋の劇場ではとても専門的な職業としてあって、すごい集中力で稽古や本番をこなしているそうです。だから、本来はプロンプをしながら編み物なんてできないんです。でも、そういう設定になっている。ラノワさんは、ママヒルダを、プロンプをしながら編み物をすることが許されるような、そういうみんなから愛されている存在として描いているんじゃないかなと思います。稽古で行きづまったり、ピリピリしたムードになった時に、ママヒルダがお茶を入れたり、俳優たちに声をかけたりする。すると稽古場の空気が和むような、そんな存在なんじゃないかと思っています。

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【稽古風景より】
【右は俳優ヴィクター・ミュラーを演じる渡辺敬彦】

Q. お客様にぜひ注目してもらいたいシーンはありますか。
 まだ1回1回の稽古で、いろいろなことが変わっている状況なので、このシーンがというのは難しいのですが… 台本がとても面白いです。劇を創作している時に、喧嘩が起きることもあれば、いきなりシェイクスピアやチェーホフがはじまったり… ママヒルダはプロンプターなので、劇中劇には加わっていないんですけれども、他の出演者の演技を、こんなにバリエーションがあるんだと、楽しんで見ています(笑)
宮城さんがSPACで演出してきた作品は、現実からは離れたどこかの美しい世界だったり、怖い世界だったりということが、これまで多かったのですが、今回の作品は本当に、私たちが生きている現実と同じ地平にある作品です。宮城さんにとっても私たち劇団員にとっても、挑戦です。いつも見てくださっているSPACのファンのみなさんには、SPACの俳優はこんなこともできるんだと見てもらえたらと思っています。
 あと、ママヒルダ的には、稽古で編み物をしていて、いろんな作品ができています。没にならなければ、本番でママヒルダの持つバッグは、私が稽古中に手編みで作ったものが採用される予定です。それっぽいバッグを持っていたら、これは私が手編みで作ったんだなと思いながら、見ていただけたら(笑)

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【稽古風景より】

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〈開催直前シンポジウム〉
抵抗と服従の狭間で ―「政治の季節」の演劇―
4/10(金) 19:30~21:30
スノドカフェ七間町 (静岡市葵区) 【定員30名】
登壇者:片山杜秀(音楽評論家、思想史研究者)、高田里惠子(ドイツ文学研究者)、
大澤真幸、大岡淳、横山義志 (以上、SPAC文芸部)

◆ご予約:
電話 SPACチケットセンター Tel.054-202-3399
(受付時間10:00~18:00)

http://spac.or.jp/15_symposium.html
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SPAC新作『メフィストと呼ばれた男』
4/24(金)・4/25(土)・4/26(日)
静岡芸術劇場
http://spac.or.jp/15_mefisto-for-ever.html
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