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2016年4月1日

『イナバとナバホの白兎』~新作誕生までの道のり~vol.4

「作品との出会い&制作過程」

皆様こんにちは。
SPAC俳優の横山央です。“央”で“ひさし”って読みます。
掛川出身の地元人、演劇がもっと気軽に触れられるものになればいいなと思い日々活動しております。

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さてさて、『イナバとナバホの白兎』、只今絶賛稽古中でございます。
気が付けば、公演まで1ヶ月となりました。(えぇ!?)

「イナバの白兎」といえば、古事記に登場するお話の1つとして皆様ご存知かと思いますが、「ナバホ」ってなんじゃろな?という方も多いはず。
「ナバホ」はアメリカ先住民の1つで、現在も南西部に住んでいる民族になります。
そのナバホ族に代々伝わっている神話があるのですが、不思議な程に古事記と似た話が存在しており、この共通点については人類学者 故クロード・レヴィ=ストロース氏が指摘しており、しかし未だにその謎は解明されておりません。
レヴィ氏の残した人類に対しての宿題、「何故、古事記(日本)・ナバホ(アメリカ)の神話と似た話が、離れた大陸で存在するのか、それはどの様に伝わったのか。またその基になったストーリーは何なのか?」ということを、今回演劇的想像力を駆使して考えてみようという試みの作品となっております。

余談ですが、レヴィ=ストロース氏は、画家だった父親にこどもの頃に浮世絵をもらったところから日本にはずっと興味があり身近に感じていたと語っています。
また、レヴィ=ストロース氏が生前に日本に関して出版した本『月の裏側』には「イナバの白兎」について書かれたりもしてます。
6月に上演します、フランスのケ・ブランリー美術館内の劇場の名前も「クロード・レヴィ=ストロース劇場」でして、様々なところで不思議なご縁を感じます。

ということで、難しい宿題に挑戦しているわけでありまして、まずは古事記やナバホ族について調べるところから始まりました。
今回作品を作る上で大きな特徴の一つとして、俳優がセリフを考え、それを具体的に身体に起こしているというのがあります。
台本もない状態なので、各々に様々な資料を調べ活かせる要素を抽出・提示し、それを俳優で集まって議論し台本を作り、身体に起こしたところに演出が入り、それを踏まえてまた作り直すという作業をひたすら繰り返します。
ある程度形になったら、今度は無駄を省き精彩にしていく作業に移り、加えてそこに楽器も入り・・・と、とにかくやる事が多い!毎日頭も身体もフル回転です。

台本を作るにあたり同じく共に作成してくれている久保田さんは、実際アメリカに赴きナバホ族と接触、その地を取材して得た情報を持ち帰り俳優に届けてくれました。
作品を作る上で大切なこととして、“共有”があり、俳優は実際にその地に足を運ぶ事ができなくても現地の情報や雰囲気を皆で共有し、それを作品に取り入れます。
答えはないわけですから、とにかく重要なのは想像力。
そしてその想像力は、後に公演に足を運んでくださる皆様との“共有”に繋がるわけです。

「ふじのくに野外芸術フェスタ」での『イナバとナバホの白兎』は、パリでの世界初演に先駆けてのプレ上演となります。
舞台はお客様がいて初めて成立するものです。
僕はたちは手探りで作品を作りやがて公演を迎えるわけですが、特に今回駿府城公園での公演で、お客様と作品を共有した時にどんなものが生まれるかを大切にしたいと思っております。
多くの方にご覧頂けたら嬉しいです、心よりお待ちしております。

今回はこの辺で。
次回はもう少し稽古の中身に踏み込んで書きたいと思います。

横山央

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ふじのくに野外芸術フェスタ2016
フランス国立ケ・ブランリー美術館開館10周年記念委嘱作品
『イナバとナバホの白兎』
5/2(月)~5(木・祝)
駿府城公園 紅葉山庭園前広場 特設会場
◆公演の詳細はこちら
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