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2016年6月5日

イナバとナバホの白兎/パリ日記(11)

2016年5月31日(火)
SPAC文芸部 横山義志

昨晩からの豪雨で、テレビでは洪水のニュースばかり。フランス北部全体に大雨警報。連日の雨で、セーヌ川も満水。あちこちで電車が止まっているが、幸いメトロは無事。

今日は稽古なしなので、はじめての午後入り。スタッフは布地の買い出し。午後1時に劇場入り、午後10時退館。

午後4時、『イナバとナバホの白兎』公演前ガイドツアーを担当するガイドさんがいらして、仮面・衣裳の高橋佳代さんと常設展を見に行く。兎と亀を描いたイランのタイル。日本では「ずるがしこい兎」というイメージは「イナバの白兎」以外にはあまり出てこない気がするが、兎は多くの神話でずるがしこいトリックスターとして活躍している、という。

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ワニ、双子、月、星などの仮面。人間の身長をはるかに超えるものもあり、圧巻。西アフリカのドゴン族の神話では、人間は両性具有の完全な存在から生まれた、不完全な存在とされている。双子(とりわけ男女の双子)はこの完全な存在に近いものみなされる。

最後にパプア・ニューギニアのワニを型取ったオブジェを見る。ご神体のような、文様が刻み込まれた石を覆っていたもので、藁や獣の牙や貝などでできている。ガイドさんによれば、パプアの神話では、はじめ世界には水があるだけだった。そのなかから、まずワニが現れ、大地も天も、星も生き物も、全てがこのワニから生まれたという。

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今回の公演では、このガイドツアーが4回企画されている。『イナバとナバホの白兎』の物語がどこから来たのか、この美術館以上によく体感できるところはないだろう。

(ご案内)

◆ガイドツアー「世界とその起源」~『イナバとナバホの白兎』特別限定版~
Visite guidée « Le Monde et ses origines », Spéciale Lièvre blanc d’Inaba et des Navajos (série limitée)

日時:6月11日(土)18:30~19:30
   6月12日(日)15:30~16:30
   6月18日(土)18:30~19:30
   6月19日(日)15:30~16:30
場所:Plateau des Collections
料金:無料

*詳細はこちら

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フランス国立ケ・ブランリー美術館開館10周年記念委嘱作品
『イナバとナバホの白兎』
6/9(木)~19(日) ケ・ブランリー美術館クロード・レヴィ=ストロース劇場
◆公演の詳細はこちら
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