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2016年6月16日

イナバとナバホの白兎/パリ日記(20)

2016年6月9日(木)
SPAC文芸部 横山義志

今日はいよいよ初日。気持ちのいい天気。

衣裳班は午前10時劇場入り、技術・制作班は12時入り。ジャン・ヌーヴェルを見た!と制作部の丹治・仲村。ジャン・ヌーヴェルはフランスで最も重要な建築家の一人で、ケ・ブランリー美術館も手がけた。美術館の裏口受付で打ち合わせをしていたらしい。制作部の二人は建築学科出身で、かなり興奮していた。

明日からサッカーのユーロ杯(UEFA EURO 2016)がパリで行われるのだが、それを記念して、今夜はエッフェル塔の下で野外コンサートが行われる。2万人以上の集客が見込まれているという。ケ・ブランリー美術館のすぐそばなので、影響があるらしい。

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19時半開場。受付に行ってみると、お客さんたちが口々に「ここまでたどりつくのが大変だった」という話。エッフェル塔からケ・ブランリー美術館までを含む地区では、車の通行がブロックされていて、道に人が溢れ、歩くのにもいつもの倍以上時間がかかったという。

たどりつけなかったお客さんもいらしたようで、今日のお客さんは250人ほど。第一幕では、昨日のゲネ(最終通し稽古)よりも笑いが起きず、ちょっと不安になる。だが、すごく集中してみてくださっている。

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終幕してみると、昨日以上の盛り上がり。ダブルコールでは客席の半分近くがスタンディングオベーション。トリプルコールまで、ほとんどのお客さんが残ってくれていた。

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制作のアンヌさんによれば、初日は作品の価値が定まっていないので、お客さんが緊張しがちだという。また、初日のお客さんは社会的地位の高い方が多く、あまり感情を表に出さない人が少なくないとのこと。美術館でプログラムの統括をしているエレーヌさん(かつて地方の劇場で館長を務めていらした方)からも、パリのお客さんはあまり立ち上がって拍手をする習慣はなく、これだけ盛り上がるのは珍しい、とのお話があった。

何人かの批評家が、「すばらしかった」「これだけの舞台はなかなか見られない、ありがとう」と声をかけてくれた。上々の初日。

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フランス国立ケ・ブランリー美術館開館10周年記念委嘱作品
『イナバとナバホの白兎』
6/9(木)~19(日) ケ・ブランリー美術館クロード・レヴィ=ストロース劇場
◆公演の詳細はこちら
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