7月に静岡芸術劇場でも上演したNoism劇的舞踊『ラ・バヤデール‐幻の国』が、9月24日、無事鳥取で終演した。
6月の新潟公演を皮切りに、すでに5都市を周ったが、今回の鳥取公演では、新しいメンバーが加わり、フレッシュなところも残りつつ、初演メンバーは個々に役を深まった中、いい緊張感の中公演が行われた感じがする。
しかも、今回でNoismを卒業するメンバーもいたりして、彼ら彼女らが日々このカンパニーでどれだけの研鑽を積んで今日を迎えたかを目の当たりにしているだけに、一抹の寂しさも漂う公演でもあった。
今回の鳥取公演は今年で23回目を迎える日中韓合同演劇祭BeSeTo演劇祭の一環で行われており、実は8月に埼玉で上演されたNoism0『愛と精霊の家』は、このBeSeTo演劇祭 新潟のプレ公演ということだったのであるが、近隣の三国が継続的に協力し、持ち回りで開催されているこの演劇祭は、ここ数年の難しい時局の中にあっても、一回も途切れることなく開催され続けたのだから、国際委員の皆様方の努力と絆の深さをうかがい知ることができる。
というのも、日本側の設立者はSPAC初代芸術総監督の鈴木忠志氏だったわけで、彼の志は鳥の劇場の中島諒人さんはじめ、穣さんも名を連ねる国際委員の皆様に受け継がれているのであろう。
10月は新潟でもこのBeSeTo演劇祭は開催される。日本側としては、Noism0『愛と精霊の家』が上演され、私も出演させていただく。
日本の舞台芸術史に残る名作との呼び声も高いこの作品だけに、10月7日の本番が楽しみである。
Noism0『愛と精霊の家』についてはこちら
8月のNoism0『愛と精霊の家』埼玉公演は故蜷川幸雄氏の拠点として有名な彩の国さいたま芸術劇場での公演だったので、まだ、そこかしこに蜷川さんのいた証のようなものが残っていて、戦いの軌跡の一端を垣間見るようで、気が引き締まる思いがした。
そんな埼玉でのNoism0の公演を無事終えた翌日の8月22日は、台風の影響でダイヤの乱れが心配されたが、熱海にて途中下車して、この当時絶賛改装中、9月、11月と続けてリーディング・カフェを開催してくださる、エタブルの新居さんのお店を訪ねてみた。
代表の新居さんは、Noism劇的舞踊『カルメン』の衣裳も担当してくださり、素材にもこだわった衣裳はリアルで好評だった。
熱海といえば近年観光客の増加が話題になったが、ここは熱海の目抜き通り、銀座通りの老舗デパートを改装してるのだが、昭和の時代を彷彿とさせる懐かしさの漂う作りだ。
また上の階はコミュニティースペースになっていて、一人で作業をする人や打ち合わせをする人が散見された。
今、この界隈の若い方々が結集し、アートイベントや様々な試みを通じて熱海の良さを発信している。
そんな熱海ではいろいろなアートイベントなども開催されており、そういう催しにも新居さんは積極的に関わっていて、町の活性化の一端を担っている。
是非、これからも活発に活動していただきたい。
<SPACリーディング・カフェ情報>
9月:読む戯曲『高き彼物(かのもの)』(作:マキノノゾミ)
10~11月:読む戯曲『サーカス物語』(作:ミヒャエル・エンデ)
11~12月:読む戯曲『冬物語』(作:ウィリアム・シェイクスピア)