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2018年11月29日

『マハーバーラタ』パリ・サウジ日記(7)初日

SPAC文芸部 横山義志
2018年11月19日(月)

寒さが厳しくなり、ラ・ヴィレット公園の木々からだいぶ葉が落ちてきた。

落葉

寒いが、気持ちのいい朝。ピクニックしている人も。

ピクニック

今日は初日。技術スタッフは朝9時入り。俳優は13時半からトレーニング、17時楽屋入り。

空間デザインの木津さんのお話。かつて大学で演劇をやっていて、舞台美術を手がけていたときに、舞台美術家として有名な朝倉摂さんのお話を聞きにいった。Q&Aの時間があったので、「野外での舞台美術で気をつけることは?」と聞いたら、「客席の方向を決めることくらいでしょうか」という、拍子抜けするような、意外な答えが返ってきた。

そのときには、その答えの意味があまりよく分かっていなかったが、実際に野外での空間デザインを手がけるようになって、ようやくその言葉の意味が分かってきたという。

このマハーバーラタには、「舞台美術」と呼べるようなものはほとんどない。そのかわり、舞台と客席の空間全体がかなり特殊な形でデザインされている。客席のまわりを円形の舞台が取り囲み、観客は舞台を見上げる。ヨーロッパの劇場では、客席は舞台を見下ろすように作られているので、舞台の見え方が大きく異なる。これはインドなどアジアの劇場の構造にヒントを得ているという。こうすることによって、観客は舞台に登場する神々を下から見上げることになる。

今回はすでに全公演ソールドアウトだという。

初日の客席

終演後、ダブルコールでお客さん立ち上がりはじめ、スタンディングオベーション。

初日ダブルコール
多くのお客さんが「ありがとう」と声をかけてくれる。

初日の感想。「神聖なものと卑俗なものとがつねに同時に現れているのが面白い」というお客さんが多い。

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『マハーバーラタ』(ラ・ヴィレットのウェブサイトへリンク)
https://lavillette.com/programmation/satoshi-miyagi_e20

『マハーバーラタ』フランス公演(SPACウェブサイト内)
http://spac.or.jp/mahabharata_japonismes2018.html

ジャポニスム2018参加企画 ふじのくに魅力発信事業(SPACウェブサイト内/日仏併記)
静岡県は、ジャポニスム2018公式企画に選定されたSPACの『マハーバーラタ』公演を活用し、公演期間である2018年11月19日から11月25日の間、「Mt. FUJI × TOKAIDO(富士山と東海道)」をテーマに、パリ市内で静岡県の魅力を世界に向けて発信するさまざまな事業を展開します。
http://spac.or.jp/news/?p=14636
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