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2019年9月30日

【新人ルカのセチュアン・レポート#3】「静岡の善人」を探しました。

みなさんこんにちは。
今年もぞくぞくと発行されている「すぱっく新聞」。
『RITA&RICO』号もついに発行されました!
 
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これから静岡芸術劇場をはじめ、各所に配架していく予定なので見かけた際はぜひお手にとってご覧ください!
SPACまで取りに行けない……でも、今すぐ読みたい!というそこのあなた!
こちらからもご覧いただけますのでご安心ください!

私も『制作部新人北堀が行く!「静岡の善人」探しの旅』というルポを書かせていただきました。
このルポは、神様が善人を探すために地上に降りるところから始まる『セチュアンの善人』と「子どもの未来のために……」という想いが込められている渡辺敬彦さん演出の『RITA&RICO』にちなみ、静岡県内で“食”を通して子どものために活動している方に会いに行きました。
今回のブログで新聞の限られたスペースだけではお伝えしきれなかったルポ内容をご紹介いたします!!
 
最初に訪れたのは、演出家・渡辺敬彦さんの出身地、三島市にあるイタリアンレストラン「マリオパスタ」さん。
取材に行った日は夏休みということもあり、店内は子ども連れのお客さんでいっぱいでした。
名前の通りパスタがとても美味しいのはもちろん、地元で採れた旬のお野菜を使用したサラダバー、それにセルフサービスの綿菓子やソフトクリームの機械まで置いてあるので、なんでも自分でやりたい精神旺盛の子どもたちにとってはとても楽しいレストランなのだと思います。
そんなマリオパスタを経営している土屋さんご夫妻は、通常営業もしながらひとり親家庭を対象にフードバンク活動を行っています。
フードバンクとは、品質に問題はないがパッケージに傷が付き流通することができなくなった食品や、家庭内で余って食べないという食品を受け取り、生活困窮者など必要としている人に提供する取り組みのことです。一般的に、食品の受け取りから提供までに時間がかかるため、提供されるのは日持ちする加工食品が多いのですが、マリオパスタさんでは「食べに来られるフードバンク」として、温かい食事を提供しています。
始めたきっかけは2018年に同市内で起きた、母子家庭の親子心中未遂。このニュースを知り、自分たちに何かできることはないかと考え、今年3月からお店で活動を開始。開始するにあたってアドバイスをいただいたのが「おたまちゃん食堂」という、同じ三島市内の子ども食堂の代表・押田さん。押田さんとは子ども食堂を実施する場所を提供したことがあり、以前より交流があったそうです。
また、活動を知ったお客さんが活動資金のための募金を提案してくださり、店内に募金箱を設置したところ、現在では募金のために来店してくださる方もいるのだとか。
また、お金だけではなく洗剤などの実用品を持ってきて、渡して欲しいというお客様もいるとのことです。

実際に利用された方からは、「子どもの誕生日をレストランで祝えて嬉しかった」というような声がある一方で、この取り組み自体がまだまだ浸透していないこともあり、遠慮してしまう人も多いのだそうです。
店主の土屋さんご夫妻は「フードバンクを実施するお店を広げていき、利用することへの抵抗感をなくさせたい」とおっしゃっていました。

調べてみると、イタリアでは「カフェ・ソスペーゾ」というシステムがあるそう。
「ソスペーゾ」というのは「保留」という意味で、お金に余裕のある人がコーヒーを買う時に余分にお金を出し、貧しい人の分も払っておきます。その後来た貧しい人は保留された分のコーヒーを飲むことができるというシステムです。

実は日本にもいくつか同じようなことを行っているお店があるのですが数も少なく、知られていないのが現状です。
こういった取り組みが日本でも増えるといいですね!!
 
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お近くに寄られた際には、ぜひ訪れてみてください。
(フードバンクをご利用の場合は要予約となっております。)
 
次に訪れたのは静岡市内にある「しずおかキッズカフェ」
現役大学生である小林タバサさんが切り盛りする子ども食堂です。

小林さんは中学、高校で不登校を経験。
この経験を通して、学校以外にも子どもの居場所を作りたいと思い、食にも興味があったため「子ども食堂だ!」と思い、開設。最初は店舗を時間単位で間借りして行っていたが活動が広がり、現在は瀬名川に拠点を構え、第2、第4土曜日に実施されています。使用する食品のほとんどは寄付から賄われているとのこと。

取材に行った日は流しそうめんのイベントが開催されており、近所の方やタバサさんの知人などお手伝いの方がたくさん!もちろん子どももたくさんいて、世代を超えた交流の場となっていました。
 
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▲使用した竹は近所の人から提供していただいたもの。
 
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▲こんにゃくが人の形!手が込んでいますね!
 
「大変なこともあるけど、子どもたちが楽しみにしてくれているので頑張れる」と笑顔でおしゃっていたタバサさん。
タバサさんは子どもたちと家族のようになれたので、今後もこの活動を続けていきたいとおっしゃっていました。

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▲タバサさん。うしろではボランティアの方が料理を作っていました。
 
今回、2か所に取材に行き、どちらも「まわりの協力があってこそ」とおっしゃっていました。
善人探しの旅を行い、活動をしている人の周りには募金や寄付という形で協力している人々がたくさんいることに気づかされました。
静岡には善い人がたくさんいるのだろうと思います。しかし、他人(ひと)のために行動することは決して楽なことではないでしょう。

善い行いをしていることで悩み苦しむ1人の女性がここに……。
『RITA&RICO(リタとリコ)』でその様子をご覧ください。

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SPAC秋→春のシーズン2019-2020 #3
『RITA&RICO(リタとリコ)~「セチュアンの善人」より~』
2019年12月14日(土)、15日(日)、21日(土)、22日(日)
各日14:00開演
会場:静岡芸術劇場
原案:ベルトルト・ブレヒト
構成・演出・台本:渡辺敬彦
台本協力:守山真利恵
出演:泉陽二、大内智美、木内琴子、貴島豪、小長谷勝彦、三島景太、山本実幸、吉植荘一郎
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